経営・戦略

2026.07.21 16:45

ラクスル田部正樹、CMOからCROへ 肩書き変更の裏にある「誤解」

田部正樹|ラクスル上級執行役員グループCRO 兼 ノバセル代表取締役社長

マーケター育成のカギは

マーケターが収益にコミットしてあらゆる手段を選択できる組織をつくるためには、田部のようなオーナーシップをもつマーケターの育成がカギとなる。プロモーションなどのマーケティングの一機能を掘り下げるキャリアだけでなく、マーケティングのジェネラリストになっていくキャリアも示していくことが必要だ。

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 そのためラクスルでは、マーケターが各事業のPL(損益)に直接コミットする体制を構築している。一人ひとりが担当事業の収益責任をもち、予算の配分から投資回収の判断までを一貫して担う。投資と回収の感覚を実戦のなかで研ぎ澄ませてオーナーシップを育てているのだ。田部自身も、戦略を収益に還元して事業成長をつくっていくなかで、経営の筋力を身につけてきた。

「小さな事業でいいので、マーケターが自分でお金を使って収益を伸ばすということを一通りやってみることが重要です。特に大手企業の総合職によくあるジョブローテーション制ではそうした経験が難しく、マーケティングのジェネラリストとしての専門性が深まりません。だからCMOを中途で採用することになる。私は、一貫したキャリアを築ける環境にすることも必要だと考えています」

ラクスルは非上場化が済んだ後、長期的な成長戦略と投資でJカーブの如く成長を加速させていく。「既存事業を伸ばすのはもちろん、新規事業も積み上げていくことで目標を達成できれば。成長のためのレバーをいくつももてることがCMOの強みであり本来のあるべき姿だと思っているので、これからも実践していきたいです。今まで以上に、ハイリスクハイリターンの挑戦はやりやすくなりますね」

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 AIの進化や浸透によって社会はこれまでと比べものにならないスピードで変化し、マーケティングツールやトレンドも次々と更新されている。「ここから2~3年で、AI時代に生き残れる会社とそうではない会社の勝敗が決する」と田部。収益を上げて事業成長につなげる経営者視点をもつマーケターをいかに擁するかが、未来を分けるのかもしれない。

KEYWORD_02|ノバセル
運用型テレビCMサービス「ノバセル」は、田部がラクスルで約60億円を投資して売上7億から300億規模までの伸長に寄与したマーケティングノウハウをベースにした事業。2022年に分社化し、現在約100億円にまで売り上げが伸びている。


たべ・まさき◎1980年生まれ。中央大学卒業後、丸井グループ、テイクアンドギヴ・ニーズを経て2014年にラクスルに入社。テレビCMを中心とした新規顧客獲得とデータドリブンなCRMによるリピート率の安定化を得意領域とし、4P戦略全般を管掌する。22年からノバセル代表取締役社長を兼任。 

文=三ツ井香菜 写真=若原瑞昌

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