5月、米国では全米中小企業週間が祝われ、その後6月最終週にはAmazonプライムデーに注目が移った。現在の市場力学の根底にあるローカルからグローバルまでの連続性と、事業者が乗り越えなければならない複雑さとの鮮明な対比を示すものだ。小規模事業者は、地域経済の成長とレジリエンス(回復力)にとって引き続き最大級の機会の1つである。筆者は過去のForbes記事で、こうした事業者の成功を確かなものにするため、特に地方部における接続環境の改善の必要性に焦点を当てた。例えば、信頼できるインターネット接続と、テクノロジーを十分に活用するマーケティング戦略がなければ、小規模事業者はAmazonプライムデーにどうすれば成功裏に参加できただろうか。
加えて、コリ・ヘイル(Kori Hale)は、デジタルデバイドが続けば、地域や人口集団をまたぐ持続的な不平等に重大な影響を及ぼすと指摘した。接続性が投資によってどこで、どのように改善しているかを示すため、Forbesは米国の地域社会をつなぐ最良の地方向けインターネット事業者や全米規模の光ファイバー事業者を紹介してきた。しかし、小規模事業者が必要とするハードインフラに加え、市場機会と課題を十分に活用するために必要な技術支援や創業支援にも焦点を当てる取り組みを推進することが重要である。
テクノロジーが小規模スタートアップを促進
起業家の底上げと接続性の課題に同時に取り組むイニシアチブの1例が、AT&T Small Business Contestである。年間の大賞として5万ドル(約809万円)を提供する。AT&Tは今年1月、2025年AT&T Small Business Contestの受賞者として、初の自律型AI搭載食料品店Nourish + Bloom Marketを発表した。Nourish + Bloom Marketは、Bold Crumb House、Sensori、SOJO Coffee Company、The Blueprint Universityを含む有力なファイナリストの中から選ばれた。いずれも地域社会への影響と、成長および意義ある変化への取り組みが評価された企業である。
2025年の受賞コンセプトであるNourish and Bloom Marketは、イノベーションとテクノロジーの興味深い交差点を浮き彫りにしている。受賞者として、夫婦で共同創業者のジェイミー・ヘミングスとジレア・ヘミングスは、事業投資のための5万ドル(約809万円)、事業拠点向けのAT&T光ファイバーサービス1年分、新しいモバイル端末、継続的な成長に向けたリソースとネットワークへのアクセスを得た。
AT&Tはこのコンテストを通じて、イノベーションが規模や業歴を問わずあらゆる事業にとって重要な変革要因であることを示し、賞品パッケージの一部として光ファイバーサービスに加え、可視性やメンターシップも提供している。年次コンテストは、地域社会に前向きな変化をもたらしている従業員50人以下の小規模事業者を対象としている。今年は現在から2026年7月末まで応募を受け付けている。AT&Tのシニアバイスプレジデントであるシェリー・グッドマンによれば、「AT&Tは小規模事業者にとって信頼できるパートナーであることを目指している。Small Business Contestは4年間で、地域社会に真の変化を生み出す起業家の活発なネットワークへと成長した」という。
デジタルデバイドを越え、地域への影響を高める
Nourish and Bloomは、1万1000件を超える応募(前年に比べ推薦数が80%増)の中で際立っていた。明確に定義された地域社会への影響を生み出すために、テクノロジーを活用する意図が明確だったからだ。これはローカルに焦点を当てた小規模事業であり、Amazonの「常時営業、配送可能」モデルのようなグローバルな概念を、より地域密着型のソリューションへとどう転換するかを示す興味深い例である。同時に、サービス、利便性、高品質な商品へのアクセスを求める顧客の需要に応える形で、テクノロジーを統合している。要するに、この種のスタートアップにとって、あらゆる規模の事業に対応するエンタープライズレベルのソリューションが重要なのである。
Nourish and Bloomの共同所有者であるジレアに話を聞くと、彼女たちの事業アイデアは、パンデミック中に目にした食品アクセスをめぐる懸念から生まれたという。食品分野とテクノロジー分野での経験を踏まえ、AIを応用すれば、人々に24時間365日食品を届ける際の摩擦を取り除くソリューションを作れると考えた。ジレアは以前、食事制限のある自身の子どもにより良い選択肢を提供することに焦点を当てた食品ブランドを立ち上げた経験があり、市場アクセスの必要性を直接目の当たりにしていた。
Nourish and Bloomの1号店を開業すると、多くの地域社会における食品アクセスの障壁がいかに大きいかに気づかされ、影響を拡大する方法を模索し始めた。もう1つのテクノロジー統合は、AI駆動の決済技術を再配置することで、Electronic Benefits(米国農務省の補助的栄養支援プログラムの給付に接続された電子プラットフォーム)を受け入れる選択だった。これも食品への障壁を下げる方法の1つである。食品の買い物における別の障壁として距離も認識されている。彼女は、都市部では多くの世帯が食品から1マイル超、地方部では5マイル離れていると指摘し、そのため配送オプションも組み込んだ。
さらに、時間と利便性の障壁もある。複数の仕事を持つ人や非典型的な時間帯に働く人にとって、通常とは異なる時間帯(午後7時から午前7時)に食品を買うことは難しい。当然ながら、Nourish and Bloomが24時間365日の課題に対応するために最初の実証先として特定したのは、24時間新鮮な食品にアクセスする必要のある従業員を抱える外傷病院、Grady Hospitalとのパートナーシップだった。サンノゼのSage Accountingは、Nourish and Bloomの技術を組み込んだスマート冷蔵庫を職場に導入する別の選択肢を試している。次に予定されているのはSodexhoとの提携で、大学の食の領域へリーチを広げるものだ。ここも24時間365日の利便性に需要がある市場である。
自社店舗の展開を超えて、Nourish and Bloomはリーチを拡大しようとしている。既存の実店舗との提携から、スマート冷蔵庫や輸送用コンテナほど小さく柔軟な新拠点でのフランチャイズ機会の提供まで、あらゆる人に機能する、より良い食品アクセスのソリューションを提供したい考えだ。
小規模事業者のテクノロジーとメンタリングへの投資
想像できるように、こうした提携すべてにとって接続性は大きな課題である。ジレアは、AT&Tの賞を獲得したことが、スケールアップの重要な局面にあった同社にとって大きな後押しになったと述べた(挑戦は3回目だったが、今年が適切なタイミングだった)。賞金とメンターは、自社店舗の1つを強化する助けになっただけでなく、同社初の輸送用コンテナ型マーケット(拡大モデルにおける重要な試作品)を開くことも可能にした。現在、ジレアは、デジタル砂漠へ拡大する際に、各拠点が接続されるためのソリューションを提供できるよう、AT&Tにテクノロジーパートナーになってほしいと考えている。
このコンテストにとどまらず、テクノロジーとそれを利用し得る小規模事業者の潜在力を最大限に引き出すため、継続的な投資の必要性を強調するさまざまな政府および業界のリーダーの姿を見ることになるだろう。AT&Tは新たな全国的な接続性への投資コミットメントを発表し、Small Business Contestの範囲を超えた影響を生み出す意向を示した。もちろん、こうした刺激的な機会のすべては、データセンターとAIの影響をめぐる議論が広がる時代の中で示されている。その話題については、今後の執筆に委ねたい。



