難しい会話を避けることは、短期的には楽に感じられるかもしれない。しかし長期的には、より大きな摩擦や誤解につながりやすい。難しい話し合いを先送りすることは、少なくとも一時的には平穏を保てるため、安全な選択に思える。だが実際には、一見穏やかな表面の下で問題が積み重なり続けるのを許しているにすぎない。対立解消は誰にとっても役立つスキルだが、とりわけリーダーは「正しく戦う」方法を学ぶことで大きな恩恵を得られる。
対立を避けることの問題
私はリーダーシップ研修で、「オレンジ大論争」と呼ぶ演習を使っている。2つのグループがあり、一方は医師、もう一方は医学研究者を代表していて、同じオレンジをめぐって争っている。最初のうち、彼らはどちらの側もオレンジを丸ごと必要としているわけではないことに気づいていない。医師が患者を治療するために必要なのは皮だけであり、研究者が研究を進めるために必要なのは果汁だけだ。誰も負ける必要はない。だが、時間をかけて話し合い、互いのニーズを理解しなければ、そのことに気づけず、双方が何も得られないまま終わるリスクがある。多くの対立はゼロサムではない。しかしそれに気づくには、回避ではなく、関わる姿勢が必要だ。
対立解消のための手法
最初から中立的な場をつくることは、相手が防衛的な姿勢で会話に入るのを防ぐ助けになる。非難や要求から入るよりも、「私たち双方にとって大切なことについて話しましょう」といった形で話し合いを始めるほうが効果的だ。相手に先に話してもらうことも、善意を示す行為であり、場を落ち着かせる助けにもなる。
会話の間は、断定よりも質問の力を生かしたい。何かを断定すると攻撃のように受け取られ、防衛反応が強まることがある。一方で質問をすれば、防衛的な姿勢は和らぎやすい。共通点を探すことも有効だ。重要なのは、ただ返答するためではなく、理解するために聞くことだ。時には、実は同じことを言っていて、使っている言葉が違うだけだと気づくこともある。
どんな対立にも、表面からは見えない要因が必ずある。健康上の危機、経済的ストレス、家族の問題などだ。目に見えるもの以上の事情が常にあると意識して対立に向き合えば、自分の反応の仕方は変わる。相手が暗い水の中にいるところを想像してみてほしい。水面より上に出ている部分しか見えないため、相手は問題なさそうに見えるかもしれない。だが、水面下で何が起きているのかはわからない。
どのような対立解消のプロセスにおいても、心理的安全性を保つことは優先事項である。人は心理的に安全だと感じると、引きこもったり防衛的になったりするのではなく、本音を共有しやすくなる。双方にその安心感を生み出すうえで、「間」を置く力は非常に役立つ。重要なのは、反射的に反応するのではなく、意識して応答することだ。いったん間を置き、感情が落ち着くのを待てば、純粋な感情ではなく論理に基づいて応答できる。
最後に、どのような話し合いでも、私は必ず書面でフォローアップするようにしている。これにより明確さが生まれ、その後の誤解を防げる。オレンジ大論争に戻るなら、会話は次のような簡潔な書面での合意で終わるかもしれない。医療チームは患者治療のためにオレンジの皮を受け取り、研究チームは研究のために果汁を受け取る。両グループは、それぞれに十分な供給を確保するため、調達について連携する。
対立解消には勇気が必要
回避しても問題は解決しない。むしろ悪化させるリスクがある。回避はまた、自分に正直でない状態を生む。平穏を保つために「はい」と言い続け、感じよく振る舞い続けるとき、あなたは自分自身に対して誠実ではない。全員を満足させようとするより、正直でいるほうが、周囲にとってもよいかもしれない。そしてそれは間違いなく、自分自身の平穏にとってもよい。
対立解消は、実践と自己認識によって向上する、学べるスキルだ。そしてそれは、個人的にも職業的にも、意味のある人間関係の土台となる。習得には時間がかかり、実践には勇気がいる。それでも、努力するだけの価値は十分にある。



