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リーダーシップ

2026.07.13 09:33

顧客体験(CX)で勝つために、変革型リーダーが組織の「縦割り」を打破すべき理由

Adobe Stock

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フォーチュン100企業での新たな職務に就くことになり、私は胸を躍らせていた。そして、新しい仕事を始めるときにいつもするように、店舗に足を運んで時間を過ごした。顧客とどのように接しているかを学び、営業チームの状況を理解するためである。そこで私は、どの店舗でも繰り返されている、ある光景に気づいた。それは、どんな報告書よりも多くのことを物語っていた。従業員たちはシフトを終えると、店の外に出る前に、会社のロゴが入ったシャツを脱いでいたのだ。

そのシャツは危険信号だった。顧客に最も近い場所にいる人々が、会社が提供している価値を信じられなくなったとき、それは通常、企業が「誰のために存在しているのか」を見失っているか、あるいは会社のビジョンを実現できていないことを意味する。このような事態が起こると、組織のオペレーティングシステムに「縦割り(サイロ)」が忍び込み始める。

それぞれの部門が自らの領域だけを最適化し、部門間の引き継ぎが機能しなくなり、そのツケを顧客が払うことになる。Zendesk CX Trends 2026 reportによると、顧客の大多数(74%)は、別の担当者に同じ説明を何度も繰り返さなければならないときに不満を感じている。これは、部門同士が互いを見通せていないことの現れである。変革を主導するリーダーにとっての課題は、会社の一部を改善する際に、他の部分を置き去りにしない方法を見出すことだ。顧客はそれらすべてを同時に体験しているのである。

顧客は組織図を体験しているわけではない

変革への取り組みが失敗するのは、一度に1つの部門だけを対象にするからである。例えば、すべての部署がそれぞれ独自のCRM(顧客関係管理)システムを求めているとしよう。IT部門は個別に要件を取りまとめて構築するため、最終的に同じシステムのバージョンが何百個も存在することになる。そのツケは、すぐに顧客に回る。顧客がカスタマーサービスに電話をかけ、そこでの会話がある場所に記録されたとしても、次に営業担当者と話すときには、営業担当者にはその記録が見えないため、顧客は最初から説明をやり直さなければならない。企業はそれぞれの壁の内側では効率的であっても、壁を越えた全体としては、顧客に不満を与える存在になってしまうのだ。

顧客は、企業と接する際に「会社全体が一つの組織として機能しているか」で判断する。そのため、私のチームが何かを決定するときは、「それがカスタマーサービスチームにとってどう機能するか確認したか」「他にどの部門に影響が及ぶか」を問いかけるようにしている。システムなどを構築する前に、点と点をつなぐ手助けをしているのだ。引き継ぎが破綻したまま1つの部門だけを改善するのは、「忙しそうに後退している」状態にすぎないからである。

体験したことのないものはリードできない

部門を超えたデザインは、自分自身が顧客のたどる道を歩んでみることから始まる。サービスをローンチする前に、顧客が実際にスタートする地点からプロセスをたどり、「顧客はこれをどう体験するのか」と常に問いかけることだ。これこそが、自分たちの想定ではなく、顧客が実際に生きている現実を目にする唯一の方法である。

キャリアの初期、私は通信キャリア向けの携帯電話買い取りビジネスの立ち上げに携わった。最初に構築したシステムは非常に複雑で、営業担当者も顧客も行き詰まり、エラーや混乱が頻繁に発生した。顧客は窓口で提示された見積額と、最終的にバックエンドで受け取る金額が異なるという事態に直面した。私たちはシステム全体を、社内の論理に基づいて設計していたのだ。顧客と同じように下取りのプロセスをたどってみて、初めて問題の本質が見えた。そこで、誰でも答えられる4〜5つの質問にまで区分をシンプルにしたところ、見積額と実際の支払額の精度が大幅に向上した。

この原則はどの業界でも当てはまる。チームのメンバーを顧客と同じ立場に置くことで、そのような直感を植え付けることができる。ベライゾン(Verizon)では、リーダーシップチームが少なくとも2日間は現場で顧客と過ごすことが義務づけられていたが、こうした要件を課す企業は今や稀になっている。

第一印象は、組織との「握手」である。アップル(Apple)はこれを実に見事に実践している。彼らの製品の箱を開けるたびに特別な気分になれるのは、彼らがそのように設計したからである。

縦割りの壁を崩す

ほとんどの縦割りは、優秀な人々が自分たちの担当領域を運営することに追われ、ビジネス全体を見失うことによって生まれる。別のチームが遅れをとっているとき、私はそれを彼らだけの問題ではなく、私たちの共通の課題として捉える。仕事は、同僚たちが協力して解決して初めて前進するからである。私は、自身が「フルサークル・リーダーシップ(全方位型リーダーシップ)」と呼ぶものを常に意識している。自分のチームをマネジメントし、顧客に寄り添い、同僚たちとの時間を作り、そして上司をマネジメントする。キャリアが上がるにつれて、これらすべてをうまくこなすことが、単なる「実行者」や「管理者」にとどまらず、真のリーダーとしての役割へと引き上げるのである。

実践的なアプローチは、協調関係が自然に生まれるのを期待するのではない。業績評価指標(パフォーマンス・メトリクス)にコラボレーションを組み込むことだ。毎年、私のチームは部門横断的な業務に関連する目標を少なくとも2つ設定しており、私は個人の業績だけでなく、組織全体をどのように強化したかに基づいて評価を行っている。私は各部門を1枚のパイのスライスに見立てている。すべてのスライスが真に調和していれば、顧客はどの部門と接しても同じ体験を得ることができる。どれほどチームワークを求めたところで、部門ごとの成果のみを評価するリーダーは、部門最適の思考しか引き出せないのである。

効率性と人間らしさのバランス

迅速な行動を求めるプレッシャーから、リーダーは効率性と顧客体験をトレードオフの関係として捉えがちだが、実際にはこの2つは多くの場合、両立する。私たちは自分たちの論理に基づいてシステムを構築しがちだが、そのツケは「誰も正しく扱えない複雑さ」となって現れ、顧客は信頼を失っていく。顧客を中心に考えてシンプルにすることは、業務の効率化と顧客体験の向上を同時にもたらすのだ。

これこそが、変革型リーダーシップの本質的な役割である。業務運営と顧客体験の両方を常に視野に入れ、会社全体を犠牲にして一部の部門だけを完璧にすることを拒む。かつて会社のロゴを隠していた従業員たちも、自分たちが提供する体験に誇りを持てるようになれば、再びそのロゴを身にまとうようになるはずだ。

forbes.com 原文

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