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2026.07.13 09:28

富裕層の旅行者が「何もしないこと」により多くの対価を支払う理由

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富裕層は旅行中に「何もしないこと」に対してプレミアムな価格を支払っている。なぜなら、「確実性」と「時間」がラグジュアリー旅行における究極の通貨となっているからだ。こうしたハイエンドの旅行者は、ゆったりとした旅行体験を楽しむことで精神的な雑音を取り除くために対価を支払っている。そこには、スロートラベルや、自宅やオフィスから離れている間に接続を完全に遮断(ディスコネクト)できることが含まれる場合が多い。

最富裕層の旅行者は、あらゆる予定を詰め込もうとすることをやめた。彼らが今求めているのは、訪問先を減らし、通知をオフにし、単に回復を促すだけでなく、積極的に健康を高めて十分な休息を得られる休日だ。

ロンドン、シンガポール、香港からシドニー、ドバイ、米国に至るまで、世界各地にオフィスとエキスパートを擁する完全招待制の独立系トラベルデザイナー組織「360プライベートトラベル(360 Private Travel)」のCEOを務めるジェームズ・ターナー氏は、この変化をリアルタイムで目の当たりにしている。ターナー氏は次のように説明する。「今年の夏(6〜9月)における当社の平均旅行期間は、これまでの1週間強から2週間近くへと延びた。これは滞在期間が3分の1以上増えたことを意味する。人々は依然としてラグジュアリーな体験を求めているが、その時間をどう使うかについて、より慎重に考えるようになっている。当社のクライアントのほぼ全員が、大企業の経営や要求の厳しい指導的立場など、非常にプレッシャーの高い職務に就いている。そのため、彼らが休日に求めているのは、こなすべきTo-Doリストの追加ではない。まったくの逆で、彼らが今求めているのは、本物の『回復(リストレーション)』なのだ」

特に支出額の多いクライアントにとっては、この回復効果が帰宅後も持続することが重要となる。彼らは心身で実際に実感できる効果を求めており、帰国後のフォローアップや回復サポートを期待するケースが増えている。旅行の恩恵が、デスクに戻った瞬間に消え去ってしまわないようにするためだ。

この変化を牽引する、明確だが互いに関連し合う3つのトレンド:

1. デジタルデトックス:人々はデジタルデバイス、さらには衣服さえも奪われることに高額な費用を支払っている。富裕層の旅行者は、仕事だけでなく、オンラインであり続けることによる絶え間ない雑音から遮断された体験にプレミアムな料金を支払っている。たとえば、360プライベートトラベルによるラジャスタン州の「シックスセンシズ・フォート・バルワラ(Six Senses Fort Barwara)」への予約数は、前年比で倍増した。ここでは、ゲストは到着時にデバイスを預け、ステータスをそぎ落とすために共有の衣服を身に着け、完全にテクノロジーを排除した共有スペースで過ごす。

2. 長期滞在(リンガー・ロンガー):旅行者はより長期の滞在を予約するようになっているが、現地で行うことは減らしたいと考えている。360プライベートトラベルでは、夏の平均旅行期間が従来のほぼ1週間から2週間弱へと37%跳ね上がった。ひとつの目的地により長く腰を据えるという考え方が、急速に支持を広げている。求められているのは、厳選された豊かな体験、より深い文化的没入、ゆったりとしたウェルネス、そして帰路につく前にその効果を実感できるほど十分に一カ所に留まる時間だ。

3. 休日の投資対効果(ROI):富裕層は旅行を健康への投資とみなすようになっている。ウェルネスやロンジェビティ(長寿)を目的とした旅行は、市場の最上層においてニッチなものから主流へと移行した。過去12カ月間だけでも、360プライベートトラベルには「リトリート」というキーワードを含む問い合わせが69件寄せられた。特にスリープツーリズム(睡眠ツーリズム)が注目されており、クライアントは、エキノックス・ホテル・ニューヨークでのパーソナライズされた睡眠コーチングやクライオセラピー(超低温療法)、シックスセンシズ・ロンドンでのサーカディアン・ライティング(概日リズム照明)療法や特注の睡眠用チンキ剤など、科学的根拠に基づいたプログラムを予約している。これに加えて、オーストリア、スイス、タイ、メキシコ、インドなどのメディカルウェルネス・リトリートも人気だ。

「2020年以降に変化したことは、仕事と生活の境界線が事実上消滅したことだ」とターナー氏は語る。「多くのクライアントにとって、自宅がオフィスになり、オフィスは24時間いつでもアクセス可能になった。その結果、休日が唯一の『確実に仕事を遮断できる時間』となった。これはデータにも直接現れている。たとえば、サントロペでの当社の平均滞在日数は、2024年の3泊から今年は5泊に延びた。これは偶然ではなく、目的地を単なる経由地として扱うのではなく、緊張を解きほぐすために実際に必要な時間をクライアントが確保しているからだ。また、1月以降、ウェルネスに直接言及した問い合わせが76件あった。ウェルネスに特化したこれほどの量の要望があるということは、回復がもはや旅行の『おまけ』ではなくなったことを示している。現在のクライアントにとって、それこそが旅行の目的なのだ」

この変化の背景にある心理は、クライアントが休日に本当に求めるものと、従来の旅行が提供してきたものとの違いを、彼らがどう言語化しているかに根ざしている。

ターナー氏は言う。「クライアントから受ける要望(ブリーフ)は、非常に具体的な形で変化している。10年前、クライアントは、海が見えるスイートルーム、特定のキャビンクラス、プライベート送迎といった要件リストを携えて私たちのところに来た。しかし現在、クライアントは『自分がどう感じたいか』から会話を始める。彼らは何も考えたくないのだ。本当に休息した状態で帰ってきたい、そしてパートナーときちんと一緒に時間を過ごしたと感じたいと願っている。これは根本的に異なる設計指示書だ。私たちの仕事は、単に最も印象的な宿泊施設を見つけることではない。何がこの人を消耗させているのかを理解し、それを補う設計をすることだ。大半のクライアントにとって、彼らを消耗させているのは、常に接続されている状態と、強制的な境界線がないことだ。だからこそ、ルールが体系化されたウェルネスプログラムが、現在私たちが追跡しているような高水準の需要を獲得しているのだ」

真の回復を提供する宿泊施設には、共通する特徴がある。それは「ルールがあり、それを厳格に適用する」ということだ。サムイ島の「カマラヤ(Kamalaya)」が最も明確な例だ。ストレスや燃え尽き症候群から長寿まで対応するプログラムがあり、そこでデトックスプログラムに取り組む場合、ウェルネスの実践者にまず相談しなければ動物性食品を注文することはできない。スタッフからはデバイスを片付けるよう指示される。客室にハンバーガーを注文することもできない。

ターナー氏はさらに付け加える。「イタリアの『パラッツォ・フィウッジ(Palazzo Fiuggi)』も同様のアプローチを採用している。カフェインは禁止、個人のニーズによってはグルテンや乳製品も禁止される場合がある。スイスのメディカルウェルネス・クリニックである『シェノー・パレス(Chenot Palace)』や『クリニック・ラ・プレリー(Clinique la Prairie)』、スペインとメキシコに展開する『SHAウェルネス(SHA Wellness)』も、臨床レベルで同じ論理に基づいて運営されている。これらすべてに共通するのは、宿泊施設側がゲストの代わりに選択を行うという点だ。これこそが、高い実績を上げるクライアント自身が自分で行えないことなのだ。『ルールを強制すること』こそがサービスなのである」

forbes.com 原文

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