【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

働き方

2026.07.13 08:51

新しい規範を可能にする、責任共有への転換

Adobe Stock

Adobe Stock

新たな規範を可能にする、責任共有への転換。

誰もがそのような瞬間を経験したことがあるだろう。チーム合宿の始まりに、誰かがフリップチャートに基本ルールを書き出す。「お互いに敬意を払うこと」「問題を提起するときは、解決策も持参すること」「時間は厳守すること」といった具合だ。全員がうなずく。しかし合宿が進むにつれ、それらのルールに言及されることは二度となくなり、ルール違反が起きても誰も指摘しない。その結果、グループにはフリップチャートに書かれたどのルールよりも強力な「暗黙の規範」が確立される。それは、「書かれた規範は無視する」というものだ。

前回のForbesコラムで私は、規範を話し合えるものにすることが、それをともに形づくるための第一歩だと論じた。当然次に問われるのは、チームがそうした対話を行えるようにするにはどうすればよいか、だと考えていた。その課題にどう向き合っているのかを同僚たちに尋ね始めたところ、デイビッド・ブラッドフォードとのある会話から、別の出発点があるのではないかと思うようになった。

「問い」の前に存在する問い

最近、スタンフォード大学ビジネススクール(GSB)の名誉教授であり、同校の「対人関係ダイナミクス」プログラムの設計者の一人であるデイビッド・ブラッドフォードに、まさにその疑問を投げかける機会があった。その会話には、現在同プログラムを率いるアンドレア・コーニーと、イェール大学の「日常のリーダーシップ実践」プログラムのステイシー・カサマシマも同席していた。ブラッドフォードは、まず先にあるべきだと考える別の問いで応じた。「グループをケアするのは、誰の仕事なのか」という問いだ。ほとんどのチームは、この点について話し合うことなく、毎日この問いに対する答えを体現している。

この問いは、ほとんどの組織が言葉にすることのない本質を指し示している。すべてのグループは2種類の仕事を行っている。一つは「タスク(業務)活動」であり、グループが結成された目的である意思決定、実行、問題解決を指す。もう一つは「メンテナンス(維持)活動」であり、緊張関係、メンバーの参加、対立、基準、人間関係、そしてグループとしての自己認識への配慮を指す。ほとんどの組織は前者を正当な仕事として認める一方で、後者については自然に発生するものとして扱っている。

リーダーが一人で背負うことはできない

メンテナンス活動が目に見えないままである理由は、私たちのリーダーシップ観の奥深くに刷り込まれた「リーダーがグループの質に責任を持つべきだ」という信念にある。チームで問題が発生するたびに、私たちはこのような言葉を耳にする。

「なぜボスは何もしないのか」

「なぜマネージャーが対処しないのか」

このパターンは規範ではない。むしろ契約に近い。あるいは、グループの健全性に対する責任を誰が担うのかについての前提である。

ブラッドフォードと共著者のアラン・コーエンは、著書『Power Up』で、その契約の伝統的な形をこう説明している。全体に責任を負うのはリーダーであり、メンバーは自分の領域にだけ責任を負う、というものだ。

これはブラッドフォードが言うところの「不可能な義務」を生み出す。一人の人間に、仕事の調整、対立の解決、人間関係の維持、参加の管理、意思決定、成果の創出まで、すべてを期待することになるからだ。複雑な社会システムを一人で維持できる個人など存在しない。問題はリーダーの有能さではなく、契約そのものにあるのだ。

その代償はメンバーにも及ぶ。リーダーがグループに対して責任を負うようになると、メンバーは徐々に責任感を持たなくなる。それは彼らが関心を持っていないからではなく、メンテナンスは他人の仕事であると役割構造から学習してしまったからだ。対立、フィードバック、説明責任、困難な力学の指摘、それらすべてが責任者へと委ねられていく。全員が合理的に行動した結果、そのパターンが自己強化されていく。このような「ヒーロー型」のシステムは、リーダーを疲弊させるだけでなく、それ以外の全員の能力を十分に活用できない状況を生み出す。グループをケアする能力は、その場にいる全員がすでに持ち合わせている。ただ、それが正当な責任として認められていないだけなのだ。

規範の前に「役割」がある

リーダーシップ契約が重要である理由は、それが固定されたものではないからだ。グループ内の強力な前提と同じように、それも表面化させ、議論し、再交渉することができる。しかし、その契約が議論の俎上に載せられるようになるまで、メンバーは受け継がれてきた従来の前提に基づいて行動し続けるだろう。すなわち、リーダーが全体を担い、メンバーは自分の持ち分を担うという形である。だからこそ、これらの議論を行う「順番」が重要になる。

「規範が問題なのではない」と彼は私たちに語った。「問題は役割にあると私は考えている」。誰かがその規範を支持し維持する立場にあって初めて、規範は有効に機能する。問題はやる気の有無ではなく、正当性である。同僚に立ち向かったり、グループのペースを落としたり、言葉にされていない緊張関係を指摘したりすることが、自分の役割に含まれていないと信じている限り、人々がそのような行動を取ることはまずない。常に役割の構造が勝るのだ。

グループは、誰がグループを維持する責任を負うかを変えることなく、自分たちの行動を変えようとしがちだ。ブラッドフォードはその順序を逆にする。彼が説明する転換は、全員がボスになることでも、リーダーがいなくなることでもない。それは、グループの維持が共有された責任となり、メンバーが自分の領域だけでなく、全体をケアするための正当な立場を得ることだ。彼は何年もの間、さまざまな形でこの主張を行ってきた。『The Challenge of a Team』の中で、彼は、単なる集まりからチームへと移行するためには、リーダーがメンバーの新たな役割を明確にする必要があると書いている。なぜなら、人々は新しい行動が期待され、正当化されていることを理解して初めて、これまでとは異なる行動を取ることができるからだ。

最初にすべき会話

だからこそ、チームがどのように協力し合いたいかを尋ねる前に、まず異なる問いを投げかけてみよう。「私たちがどのように協力し合うかをケアするのは、誰の仕事なのか」という問いだ。その答えが、チームの規範が生きた実践となるのか、あるいは単なる「善意」としてフリップチャートの上に残るだけになるのかを決定づける。

アンドレア・コーニーは、これが非常に困難である人間的な理由を挙げた。「チームの他のメンバーと対峙することは、非常にストレスがかかる。だから、それはボスの仕事だと決め込んで信じている方が、はるかに都合が良いのだ。この状況が変わるのは、人々が本物の当事者意識、すなわち、自分が率いるチームだけでなく、自分がメンバーとして所属しているチームこそが自分たちのチームなのだと感じられたときだけである」

その共有された責任感は、それ自体が規範なのではない。新たな規範を可能にする条件なのである。

(forbes.com 原文)

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事