中東での戦争は、世界の液化天然ガス(LNG)市場の短期的な見通しに影を落としているかもしれない。しかし、電力部門が牽引するLNG需要の拡大予測に、異論を唱える声はほとんどない。
人工知能(AI)とハイパースケールデータセンターによる世界的なエネルギー需要の増加が見込まれる中、再生可能エネルギーだけでは到底まかなえないこの需要は、LNG取引だけでなく、天然ガス市場の支持者全般にとって明るい兆しとなっている。
これは、その中心にいる生産国・輸出国である米国にとって、特に大きな意味を持つ。米国は世界で最も多くデータセンターを建設している国であり、ハイパースケールデータセンターの数でも世界最多を占める。カリフォルニア州のシリコンバレーとバージニア州アッシュバーンは、米国内でなお増加し続ける約5500カ所のデータセンターを支える二大主要拠点となっている。
米国はまた、2024年にカタールやオーストラリアを抜き、世界最大のLNG輸出国となった。米国はまた、日量1100億立方フィートを産出する、量ベースで世界最大の天然ガス生産国でもある。これは世界供給の4分の1を超える規模だ。
原子力と再生可能エネルギーによるソリューションの拡大は、米国内に限らず世界的にも、データセンターの拡張ペースに追いつかない可能性が高いという認識が、業界内で急速に広がっている。
現状を見る限り、米国が一世代に一度の規模となる最大級のエネルギーインフラ拡張に乗り出す中、データセンターへの数十億ドル規模の投資と、天然ガスインフラおよびLNGへの数十億ドル規模の投資は、ほぼ歩調を合わせて進んでいる。
数字を検証する
このエネルギーインフラ拡張は今後10年で2兆ドル(約324兆円)規模に達する可能性があり、そのかなりの部分がLNGと、より広範な天然ガス投資に向かう公算が大きい。それには十分な理由がある。
昨年、米国は発表済み・着工前・建設中の各段階にあるガス火力発電の開発容量を、合計252ギガワット強とほぼ3倍に増やした。INGリサーチによると、2030年までに、AI主導で急拡大する米国のデータセンター産業は、現在の4%から増えて米国の電力の10%超を消費する可能性がある。
こうした予測は、業界に対し、国内の天然ガス投資を進め、原料ガスとして輸出志向のLNG産業も押し上げる十分な自信を与えている。実際、2016年の発足以降、米国のLNG産業はどの年を見ても、国内で生産される天然ガス全体の10~15%超を取り込んできた。



