バルセロナはスペインで最も多くの観光客を集める都市の1つであり、2025年には2600万人を超える訪問者を迎えた。建築と美食の魅力は世界屈指で、見逃すべき都市ではない。だが、しばし混雑から逃れたいなら、長い行列や高額な料金を避けながら、地域色豊かな食を楽しめる近郊3都市への鉄道旅の出発点としても最適である。カタルーニャ州の州都を訪れる予定なら、あわせて楽しみたい鉄道旅のルート、旅費、グルメのヒントを紹介する。
バルセロナ発、グルメな列車の旅
バルセロナからカンプ・デ・タラゴナへ
バルセロナ・サンツ駅から、カンプ・デ・タラゴナ行きの列車に乗る。所要時間は30分強で、世界的な旅行予約プラットフォームOmioによると、チケットは12ドル(約1万未満円)からだ。
港町タラゴナは、古代ローマの植民都市タラコであった時代にまで遡る古代遺跡を有し、考古学ファンなら外せない場所の1つである。海岸のすぐそばには2世紀のローマ円形劇場「Amfiteatre Romà」があり、ローマ時代の墓が並ぶネクロポリスや、城壁に囲まれた中世の旧市街を歩く際に目にするフォルムの跡もある。
地中海に面しているため、シーフード料理も格別だ。マリーナ周辺や漁師町「エル・セラーリョ」一帯には、カソラ・デ・ロメスコ(濃厚なトマトとナッツソースで煮込むシーフードキャセロール)、アロス・ネグレ(イカ墨で炊いた米料理)、焼き魚や揚げ魚、アロセジャート(魚介の出汁で炊く海鮮米料理)、フィデウス・ロセジャッツ(魚介の出汁でパエリア風に炒めた短いパスタ)などを提供するレストランがずらりと並んでいる。
カンプ・デ・タラゴナからカステリョン・デ・ラ・プラナへ
再び列車に乗り、2時間かけてカステリョン・デ・ラ・プラナへ向かう。Omioの調査によると、チケットは23ドル(約1万未満円)からだ。市中心部には、ゴシック様式のサンタ・マリア共同大聖堂や、その八角形の鐘楼「エル・ファドリ」など、バラ色を帯びた歴史的建造物が美しく立ち並んでいる。
ここは過小評価されがちなグルメスポットでもあり、手頃な価格で味わえる郷土料理は、焼き魚介、米料理、そして旬の食材を大胆に活かしたものが多い。アロス・ア・バンダ(濃厚な岩魚の出汁で炊いた米にガーリックマヨネーズを添えた料理)や、アロシート・デ・カステリョ(アンコウ、車エビ、新鮮なアーティチョークを合わせた米料理)などがその代表格だ。
カステリョン・デ・ラ・プラナからバレンシアへ
3番目にして最後の区間は、1時間強でバレンシアへ。Omioによると、運賃は8ドル(約1万未満円)からだ。近年は観光需要が急増しているものの、この海辺の街はスペインの主要観光地に比べれば混雑も少なく、費用も抑えられる。
バレンシアは、はちみつ色のゴシック様式大聖堂をはじめとする歴史的名所と、科学博物館やIMAXシアターを擁する複合施設「芸術科学都市」のような未来的プロジェクトが共存する街として、建築ファンを惹きつけている。
食の面では、バレンシアはパエリア発祥の地だ。地元のパエリアは、鶏肉、ウサギ肉、サヤインゲン、ガロフォと呼ばれる大粒の白インゲン豆、サフランを使って作られる。また、米の代わりに短い中空のパスタを使った、シーフードパエリアに似たフィデウアも名物だ。



