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2026.07.13 07:00

ナイキ株の回復は本物か、ブランド復活の裏に潜むバリュエーションの罠

alekseyliss - stock.adobe.com

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ナイキは再び、本来の自分たちを取り戻しつつあるようだ。だが、それによって自動的にナイキ株が買い推奨になるわけではない。

私は一般的に業績回復(ターンアラウンド)途上の銘柄を好まないが、これまでに十分な数の銘柄を保有し、観察してきた経験から、最初の改善は通常、感情的なものであることを知っている。数字がついてくるのはその後だ。そこが投資家としての試練の場となる。彼らは馴染みのあるブランド、自分たちが望むストーリー、およびすでに動き始めている株価を目にする。これこそが、バリュエーションに対する規律が最も重要になる瞬間なのだ。

これこそが投資家が理解すべき違いである。株価が魅力的になる前に、ビジネスが改善することはある。バリュエーションが妥当になる前に、ブランドが回復することもある。回復が本物であったとしても、投資家がその回復を前倒しで織り込みすぎて高い株価を払ってしまえば、期待外れの投資リターンに終わることもあるのだ。

ナイキは投資家に対し、検討材料を提供した。同社は再びスポーツ、製品、イノベーション、定価販売、卸売関係、およびブランドの規律について語り始めている。これは重要なことだ。直販(D2C)中心のライフスタイル製品や自社ブランドの強みに頼りすぎた結果、強みの一部を失ってしまった同社にとって、スポーツへの原点回帰は形だけのものではない。それは戦略的なものである。しかし、投資家はストーリーの改善と、適切な買い場(エントリー価格)を混同すべきではない。

株式市場が完璧な証拠を待つことはほとんどない。すべての数字が改善した時点では、容易に得られる利益はたいてい消えている。35年以上にわたり、私の仕事は市場の1歩か2歩先を考えること、少なくとも群衆より先にリスクを理解することだった。だからこそ、魅力的なターンアラウンドもある。投資家は、損益計算書に完全に反映される前に、事実が変わりつつあるかを判断することで報われる。しかし、初期の安定化を完全な回復と取り違えると罰せられる。ナイキは今、まさにその位置にいる。

ナイキ株に必要なのはストーリーの改善だけではない

ナイキの最新決算は、これが単純な回復ストーリーではない理由を示している。2026年度通期の売上高は464億ドル(約7兆5100億円)で、公表ベースで横ばい、現地通貨ベース(為替変動の影響を除く)で2%減となった。第4四半期の売上高は110億ドル(約1兆7800億円)で、公表ベースで1%減、現地通貨ベースで4%減だった。第4四半期の「Nike Direct(直販部門)」売上高は、公表ベースで7%減、現地通貨ベースで9%減となった。

北米市場はナイキ・ブランドを支えたものの、中華圏およびEMEA(欧州・中東・アフリカ地域)が引き続き下押し圧力となった。これらの数値は回復を力強く示すものではない。むしろ、同社が安定化に努めていることを物語っている。

これは批判ではない。安定化は通常、業績回復の第一段階である。企業が再び成長軌道に乗るためには、在庫を整理し、流通ルートをリセットし、卸売パートナーとの信頼関係を再構築し、製品の焦点を絞り、質の低い売上を追うのをやめなければならないことが多い。ナイキの場合、この取り組みは極めて重要だ。

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