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起業家

2026.07.17 11:00

有能な創業者ほど陥る依存の罠と企業価値を高める「仕組み化」の秘訣

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サラは、従業員20名を擁し、安定した収益を生み出す企業を築き上げた有能な経営者だ。しかし、彼女が待ち望んでいた7日間の休暇は、電話対応に追われるうちに終わってしまった。一体なぜ、このような事態に陥ったのだろうか。

彼女は、経営者として求められることを着実に実践してきた。懸命に働き、信頼できるチームを育成し、堅調に収益を伸ばしてきた。それでも、2年前にようやく取得した1週間の休暇では、そのうち6日間を仕事の電話対応に費やすことになった。

これは単なるスケジュール管理の問題ではない。事業の構造そのものに潜む課題である。そして、この落とし穴こそ、企業の収益規模を問わず、多くの経営者が陥りがちな共通の罠なのだ。

誰も教えてくれない落とし穴

従業員20名、安定した収益、そして強固な顧客基盤。客観的な指標だけを見れば、彼女は成功した経営者だった。

しかし、その日常は理想とはほど遠かった。毎朝、ノートPCを開けば未読メッセージは50件以上。新規顧客との契約からSNS投稿の配色に至るまで、あらゆる意思決定が彼女のもとへ持ち込まれる。チームには優秀な人材がそろっていた。だが、長年の積み重ねの中で、組織には一つの不文律が根付いていた。それは、「まずはサラに確認する」というルールである。

サラの事例は、全ての経営者に一つの問いを突きつける。「もし明日、自分が会社を離れたら、組織は機能し続けるだろうか」という問いだ。彼女にとって、その答えは率直に言って「ノー」だった。これは彼女への批判ではない。単なる事実である。

この現象には、「創業者依存の罠」という名前がある。業種や規模を問わず、多くの企業が陥るこの罠に意図して陥る者はいない。最初から、「自分がいなければ回らない会社をつくろう」と考える経営者など存在しない。この罠は、日々の小さな意思決定の積み重ねによって、気づかないうちに形づくられていく。そしてある日、経営者は思い知らされる。自分は事業を経営しているのではない。自らの名前が付いた、終わりの見えない仕事をただこなし続けているだけなのだ。

朗報もある。この問題は、経営者の資質に起因するものではない。あくまで組織設計の問題であり、適切に再設計すれば必ず改善できる。

次ページ > 「頼られる心地よさ」が招く組織の思考停止

編集=朝香実

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