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マーケティング

2026.07.12 09:27

D2Cブランドの盲点:獲得と維持のチームが見ている「顧客」は同じではない

Adobe Stock

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パフォーマンスマーケティングの責任者は、ROAS(広告費用対効果)やCPA(顧客獲得単価)、新規顧客獲得数を報告する。ライフサイクルマーケティングの責任者は、メール経由の売上、SMS開封率、フローのコンバージョン率を報告する。リテンションディレクター(そのような役職が社内にあればだが)は、30日リピート率とアクティブ会員数を報告する。そしてCFO(最高財務責任者)は、総合CACと限界利益を報告する。それぞれの発表は単体で見れば筋が通っている。しかし、誰一人として同じ「顧客」の定義を用いてはいない。

LTV(顧客生涯価値)について語りながらも、実際にはそれを向上させられていない、ほぼすべてのD2C(消費者直接取引)企業に共通する構造的な問題がここにある。LTVの向上を担う各チームが、LTVとは何か、何がそれを動かすのか、あるいは自分たちの部門がどのように貢献しているのかについて、共通のメンタルモデル(思考の枠組み)を持って活動していないのだ。各チームは、それぞれのスコアボードに照らし合わせて優秀な仕事をこなしている。しかし、そのスコアボード同士が繋がっていない。

この「ズレ」がもたらす現実

14日間の計測期間に合わせて最適化を行うパフォーマンスマーケターは、手っ取り早くコンバージョンに至るトラフィックを獲得しようとする。すなわち、割引目的のユーザーや1回限りの購入意図を持つ層など、獲得コストが最も低く、最も早く離脱するコホート(顧客群)だ。メールの売上シェアで評価されるライフサイクルマーケターは、すでに購入する可能性が最も高いオーディエンスに対してキャンペーンを数多く送信する。そうすれば今月の売上として計上しやすくなるからだ。アクティブ会員の総数で評価されるリテンションの責任者は、値引きや一時停止のフローを活用してその数値を死守しようとする。しかし、これは顧客がなぜそもそも解約したがっているのかという根本的な原因に向き合わず、解約(チャーン)を先延ばしにしているにすぎない。

各チームは、自らのKPI(重要業績評価指標)が示す通りの仕事をしている。その結果が重なり合うと、企業は間違った顧客獲得を行い、その顧客を理解していないリテンションのプロセスへと引き渡し、メール経由の売上は堅調だと報告することになる。その一方で、サブスクリプションボックス(定期便)解約の44%が最初の90日以内に発生し、年間経常収益の10%が決済エラーの発生だけで毎年ひっそりと消失していくのだ。

全員が目標を達成しているにもかかわらず、なぜLTVが伸び悩んでいるのかと経営陣が尋ねても、誰も明確な答えを出せない。各チームはそれぞれの四半期の実績を擁護することはできても、自分たちの仕事が全体としてどのように噛み合うべきだったのかを説明できるチームは一つもない。

新しいツールやチャネルの導入が、分断をさらに悪化させる

LTVが伸び悩んだとき、反射的にとられる対策は、機能を増やすことだ。新しいSMSプラットフォーム、ロイヤルティアプリ、WhatsAppの連携機能、AIによるパーソナライズ機能などの導入である。これらのツールが追加されるたびに、それぞれに独自の「成功の定義」、独自のアトリビューション手法、そして社内の推進者が生まれる。1年も経てば、社内には6つのプラットフォーム、4つの代理店、3つの社内チームが存在し、同じ顧客行動を異なるレンズで測定し、それぞれのツールがいかに増分売上をもたらしているかを示す資料をそれぞれ作成するようになる。

どの資料も、それ単体で見れば正しいが、全体を合算すると矛盾が生じる。顧客獲得単価(CAC)は8年前と比べて222%も高騰しており、サブスクリプションブランドの88%が前年比でCAC上昇を報告している。このような社内の分断状態では、採算が保たなくなるのは当然だ。かつての3倍のコストをかけて1人の顧客を獲得している企業にとって、その顧客に対応するすべてのチームが「時間の経過とともに価値がどのように構築されるか」について同じモデルに基づいて行動することが不可欠である。しかし、大半のD2C企業はそうなっていない。

共通言語が実際にもたらす効果

この解決策は構造的なものであり、新しいツールを購入するよりも時間がかかる。経営陣は、ホワイトボードに収まるほどシンプルでありながら、あらゆる意思決定を評価できるほど具体的な、企業の単一モデルを定義しなければならない。すべてのチームのKPIがそれに紐付き、ベンダーからのあらゆる提案がそれを通してフィルタリングされ、すべての四半期レビューがその共通言語を使って行われるようにする。

サブスクリプション型のD2Cにおいて、その計算は複雑ではない。ビジネスのLTVは、3つの動きによって決定される。それは、「有料会員数がどれだけの速さで増えるか」「どれだけの速さで減るか」、そして「会員が継続している間にどれだけの価値を生み出すか」である。これらの動きはそれぞれ、少数の測定可能なインプットに分解される。新規注文のうち定期購読から始まる割合、1回限りの購入者が会員に移行する割合、解約した会員が再登録する割合、能動的な解約率、決済エラー率、「割引目的で登録してすぐに辞める」コホートの0カ月目解約(チャーン)率。新規注文の平均注文額(AOV)、定期注文のAOV、購読継続期間などだ。

私たちは社内でこのフレームワークを「LTVパルテノン」と呼んでおり、新規獲得、ライフサイクル、リテンション、そして財務を繋ぐ結合組織として活用している。どのような名称をつけるかよりも重要なのは、このフレームワークがもたらす強制力である。すべてのチームが同じ地図に基づいて動くようになるのだ。すべての取り組みは、同じ9〜12個の数値に基づいて評価される。ベンダーからのすべての提案について、それらの数値のどれを改善できるのかを明確にするよう求める。

自社での名称が何であれ、検証すべきは、パフォーマンスマーケティングの責任者とライフサイクルの責任者に対して個別に質問した際、彼らが自社のビジネスを同じように説明するかどうかだ。もし一致しないのであれば、それ以降のすべての施策はその「ズレ」の弊害を受けることになる。

リーダーシップが果たすべき役割

今後5年間で規模を拡大できるD2Cブランドは、各チームが並行して個別最適化を行うのをやめ、同じモデルに沿って全体最適化を始めるブランドだろう。最初に行うべき対話は、チャネルやツール、あるいはキャンペーンのカレンダーについてではない。新規獲得、ライフサイクル、リテンション、そして財務の責任者が同じ部屋に集まり、ビジネスが複利的に成長するかどうかを決定づける3〜5個の数値に合意できるかどうかである。

もし合意できないのであれば、それこそが取り組むべき仕事である。そうでなければ、組織図の他のメンバーが個々の目標を達成し続ける一方で、LTVの曲線は平坦なまま横ばいを続けることになるだろう。


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forbes.com 原文

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