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食&酒

2026.07.12 09:19

ワインになる前の一杯、オーストリアが愛する季節限定の「シュトゥルム」

Adobe Stock

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毎年秋、その年のヴィンテージが正式にワインとなる前に、オーストリアの人々はワイン造りの工程の中でほんの短い期間だけ存在するものを飲み始める。

シュトゥルム(Sturm)として知られるこの濁った発酵途中のブドウ果汁(マスト)は、収穫期に姿を現し、ワインへと変わりゆく途中の姿を映し出す。かすかに発泡し、自然な甘みがあり、なおも発酵を続けるシュトゥルムは、短い季節限定の伝統であり、オーストリアのワイン文化と深く結びついてきた。とりわけウィーンでは、地元の人々が伝統的なワイン酒場「ホイリゲ」に集い、収穫を祝う。

「シュトゥルムを飲む習慣は、おそらくワイン造りそのものと同じくらい古い」と、ワイナリー・クリスト代表のライナー・クリストは語る。この飲み物は古代にルーツを持つが、18世紀後半にウィーンでホイリゲの伝統が広まるとともに、同市の文化にしっかりと根付いたという。無濾過で加工を最小限にとどめ、注がれた後も発酵が続くため、シュトゥルムを味わえるのは収穫期だけである。

完成したワインとは異なり、シュトゥルムはブドウジュースとワインの間で絶えず変化する段階にある。発酵が進むにつれて糖分は徐々にアルコールへと変わるため、風味もアルコール度数も時間とともに変化していく。その結果、軽く発泡し、白く濁った外観を持ち、飲む時期によってはっきりと異なる表情を見せる飲み物となる。クリストにとって、そこが魅力の一部だ。

「シュトゥルムは秋の収穫の精神をとらえている」と彼は言い、季節のアペリティフ(食前酒)として理想的であり、ウィーンの各地で売られる秋の定番スナック、焼き栗と特によく合うと指摘する。

伝統的なホイリゲでは、収穫期を通じて複数のタンクが同時に発酵しているため、発酵の異なる段階にあるシュトゥルムを試飲できることもある。より甘く果実味の強いものもあれば、発酵が進むにつれてより辛口で骨格のある味わいになるものもある。

クリストによれば、印象に残る優れたシュトゥルムと一般的なシュトゥルムを最終的に分けるのはバランスだという。

「発酵の早い段階で飲むと、シュトゥルムはブドウジュースに近い味わいになる。逆に長く置きすぎると、角が立ち、辛口になる」と彼は言う。「最もよい状態では、完璧なバランスを備え、乳白色に見える自然な濁りがあり、穏やかに発泡している」

絶えず変化するその個性こそが、シュトゥルムの輸出や保管を難しくしている理由でもある。発酵がなお進行しているため二酸化炭素が発生し続け、密閉した瓶ではなく、ガスを逃がせる容器が必要になる。この飲み物が主に地元で味わうものにとどまっている理由のひとつだ。ワインになり切る前、オーストリアの収穫期にこそ楽しむべき一杯である。

(forbes.com 原文)

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