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2026.07.12 08:02

AIの経済効果を測る7つの視点──雇用・投資・生産性の行方

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人工知能(AI)が経済に及ぼす影響のペースを予測することは容易ではないが、注視すべき重要な論点を特定することはできる。これらの要因の変化を追跡することで、AIの経済的影響についてより正確な予測を立てられるようになるだろう。

総雇用と賃金

これまでのところ、AIが総雇用や賃金水準に与えた影響はほとんど確認されていない。経済は巨大で、常に変化しているため、小さな影響は見えにくい。しかもAIが広く使われるようになって以降、移民政策、関税、イラン戦争など、ほかの変化も労働市場に突然影響を与えた。ベビーブーマー世代の退職、医療関連雇用の大幅な増加、DEI(多様性・公平性・包摂性)の取り組み、スキルギャップといった長期的な問題も作用している。これほど多くの変化が同時に進むなかでは、AIの影響がデータに表れるには相当大きなものでなければならない。小規模な変化、あるいは中程度の変化でさえ、最も慎重な分析でも容易に見落とされ得る。

とはいえ、これは継続的に監視すべき最重要課題である。

成果が出る前のAI投資

新技術の多くの便益は、研修、設備、プロセス再構築への初期投資を必要とする。チャットボットを使う個々の労働者は、さまざまな種類の質問やプロンプトを試すことで恩恵を受ける。その人物は試行錯誤を通じて、AIが迅速に解決を助けてくれる問題の種類と、時間の無駄になる問題の種類を学んでいく。この学習に費やす時間は、資本的支出に似ている。将来の便益のために、いま支払うのである。

さらに重要なのは、新技術の最大の便益は、そのツールの能力に合わせて業務プロセスが調整されたときに生まれることが多いという点だ。ベルト駆動の工場の時代には、機械は動力軸の周囲に密集し、作業の流れにとって最も合理的な場所に設備を配置する余地はほとんどなかった。電化によって工場レイアウトの柔軟性が高まり、アセンブリーライン(流れ作業)の誕生につながった。しかし、新技術の恩恵を得るために工場を再編するには、何年もの時間と努力を要した。

AIによって一部の業務はより容易に実行できるようになるが、新たな能力を最大限に活用するには、データ収集や情報伝達の経路を変える必要がある。それには時間がかかり、一定の先行コストも伴う。この問題は通常の経済データからは明確に見えない。進展を把握するには、個々の企業の行動を注視する必要がある。

ビジネスリーダーは、この問題に自社組織内で取り組むと同時に、広範な経済データの中でも注視している。AIを活用するために必要な投資は、資本的支出として評価されるべきである。ただし、その一部は財務報告上、通常の費用として計上されるだろう。この点に関する企業戦略については、以前の記事で取り上げた。

データに表れる生産性への影響

総生産性、すなわち労働1時間あたりの産出は、経済全体の成長にとって極めて重要である。それが高ければ、財政政策と金融政策は経済を刺激できる。しかし生産性の伸びが低ければ、刺激策はインフレに転じるだけだ。少なすぎる商品を、多すぎるドルが追いかけることになるからである。ただし、生産性データを正しく把握するには、インフレデータが正確でなければならない。自動車の価格が上昇した場合、その価格変化のうち、どれだけが品質向上(安全センサーの増加、より快適な座席など)によるもので、どれだけがインフレによるものなのか。生産される製品の種類が膨大で、機能も多様であり、多くの製品が継続的に変化していることを考えると、それを見極めるのは難しい。

AIの影響の一部は、測定されない可能性のある形で品質を高めることにある。つまり、生産性は実際には高まっている。製品が何らかの意味でより良くなっているからだ。私のクレジットカード会社がAIを使って私の口座に関する質問により速く、より正確に答えるなら、私はより良いサービス(製品)を得ていることになる。しかし経済統計にはそれが表れない。

AIはより優れた統計の開発に大いに役立つ可能性がある。だが現時点では、既存の数値を見守り、労働1時間あたりの産出が大きく伸びることを期待することになる。同時に、品質改善を示す事例証拠にも目を向ける。

能力拡張か自動化か

特定の労働者とその業務に関する研究の多くは、AIが労働者を置き換えるのではなく、能力を拡張し、より速く、より良く業務を遂行できるようにしていることを示している。これは特に経験の浅い労働者に当てはまる。労働者の代替、すなわち自動化は、まだほとんど見られていない。これは一部のケースでは確実に起こり、おそらく多くのケースで起こるだろう。まずは事例として確認され、その後、総雇用と賃金のデータに表れることになる。

業種によって、ビジネスリーダーの対応は異なる可能性がある。厳しいコスト競争に直面する企業は、可能な限り人員を削減したいと考えるだろう。一方で、過重労働や燃え尽き症候群による従業員の離職に悩まされている組織もある。現在の医療分野はその典型のように見える。スタッフがより少ない時間とストレスで仕事を終えられるよう支援することのほうが、より良い戦略かもしれない。

産業と企業をまたぐAIの普及

企業や経済部門に関する調査によれば、AIの導入状況は現在、大きくばらついている。競争圧力は、企業に生産性向上ツールを導入させるか、さもなければ後れを取らせることになる。実際、過去のデータは、省力化技術に関して最も革新的だった企業が、コスト削減ツールを使わなかった競合他社を犠牲にして、雇用を増やしてきたことを示している。

ビジネスリーダーは、自社の業界を注視し、競合他社がAIからどれほど恩恵を受けているかを評価したいと考えるだろう。また、導入のアイデアを得るために、他業界を広く見ることも望むかもしれない。私はマッキンゼーの調査から得られた教訓の一部をまとめた記事を書いており、より新しい調査も利用可能である。ほとんど成果がないまま資金を費やしてしまう、いわゆる「最先端の罠(bleeding edge)」に陥るリスクは常に存在する。しかし技術が急速に変化するなかで、コスト削減技術を導入しないことで競争力を失うリスクを無視できる者はいない。

AIがもたらすインフレ動学

インフレは消費者と企業に影響を与えるだけでなく、米連邦準備制度理事会(FRB)が金利について下す判断にも影響する。AIがインフレに及ぼす効果は、一般的な期待に大きく左右される。意思決定者がAIによって将来的に大きな生産性向上がもたらされると見込むなら、AI導入のために多額の支出をいとわないだろう。導入費用に加え、一部の消費者も景気拡大を予期して、現時点で支出を増やす可能性がある。それは総生産が実際に増加するまで、インフレ要因となる。

しかし、生産性向上が期待されていなければ、現在の支出はそれほど増えない。やがて生産性が表れると、財とサービスの供給増加は価格を押し下げる方向に働く。

私はこれまでの文章でこの点を無視し、代わりに金融政策は生産性の伸びと整合する必要があると強調してきた。それは今も重要だが、期待もまた重要である。

エントリーレベル採用とAI

一部の職種では、エントリーレベル(未経験・新卒レベル)の採用が減っている可能性がある。データは確定的ではないが、妥当な仮説とは整合している。企業は依然として熟練したプロフェッショナルを必要としているが、AIは多くの下位職を代替できる。たとえば過去には、シニアプログラマーが単純で退屈なプログラミング作業を新人に割り振っていた。現在はAIコーディングエージェントがその作業を担う。

エントリーレベル採用の不足は、総雇用数を超えた影響を及ぼす。経験豊富な人物と一緒に働くジュニアプログラマーとしての経験なしに、人はどのようにシニアプログラマーになるのか。

一方で、その裏側にあるのがスキル圧縮である。一部の職種では、経験の浅い人でもAIを使えば、熟練労働者の仕事をこなせる可能性がある。AIは、経験の多い顧客サービス担当者よりも、経験の少ない担当者をより大きく助けている。たとえば、経験豊富な担当者は過去の事例から、顧客が3つの特定の特徴を持つ場合、通常の回答は誤りになると知っていた。新人はそれを知らない。しかしAIは知っている。AIを使う新人は、ベテランと同等に業務を遂行する。

これは、過去に経験が有用であることが証明されてきた職種において、綿密に注視すべき問題である。

AIと経済:結論

AIの領域の初期に、私たち経済学者の多くが導いた大まかな結論は、今も変わっていない。生産性は向上する。その結果、財とサービスの価格は賃金に対して低下し、消費者の一般的な購買力は改善するだろう。しかし、大多数の人にとって全般的な改善があったとしても、失業によって状況が悪化する人々は存在する。

そのタイミングの詳細、誰が最も利益を得て、誰が最も大きな打撃を受けるのかは変化しつつある。ここで挙げた論点は、その変化を見極める助けになる。

エリック・フルーツとクリスチャン・ストウトによる優れた背景論文は、上記で論じた問題をより詳しく説明している。

forbes.com 原文

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