40年近く前、筆者は資産運用会社USグローバル・インベスターズの経営権を取得したのを機に、カナダからアメリカへ移住した。以来、人生もキャリアもすべてこの国で築いてきたが、その間ずっと、この第二の祖国への驚嘆の念が薄れたことはない。
この国には、ほかのどの国にもないものがある。それは、ごく普通の人でも、少しの行動力と強い信念さえあれば、とても大きなものを築いていくことができるという考え方だ。
こうした考え方、理念には名前がある。それこそ「アメリカ合衆国」だ。わたしたちは今月、その250周年を祝っている。
米国民に広がる憂国の情、稀代の投資家の金言
残念ながら、いまのアメリカには、自国の将来に強い懸念を抱いている国民がずいぶんと多い。調査会社ギャラップによる最近の調査では、建国の父たちは現在のアメリカの姿に失望するだろうと答えた人が全体の4分の3強にのぼった。この割合は2001年の42%から大幅に増えている。
こうした悲観論は特定の政党や年齢層に限ったものでもない。
ほかの人たちが感じていることを否定するつもりは毛頭ないが、筆者はウォーレン・バフェットの考えに賛同する。投資会社バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)を昨年退いたバフェットは2020年、株主への手紙にこうつづった。「アメリカほど、人間の可能性を育み、最大限に開花させる土壌になってきた場所はありません。(中略)けっして、アメリカは衰退するという方向に賭けてはならないのです」
「アメリカ例外主義」を裏づける数字
アメリカが実際にどれほどの価値を生み出しているかを考えてみよう。世界の人口に占めるアメリカの割合は4%程度にすぎないが、この国は世界全体の国内総生産(GDP)の26%前後、株式時価総額の半分以上を生み出している。
英誌エコノミストは昨年末、アメリカで最も貧しい州である南部ミシシッピ州の平均賃金は現在、イギリスやカナダ、ドイツの平均賃金を上回っていると伝えた。
富が集まるのは当然の結果だ。スイスの金融大手UBSによれば、アメリカには資産100万ドル(約1億6200万円)以上のミリオネアがざっと2400万人いる。この数は世界全体の約40%を占め、西欧諸国の合計や中国を上回る。もっと言えば、2位以下の9カ国を足し合わせた数よりも多い。



