メンターの紹介で、憧れている企業の社長と夕食をご一緒できるという、非常に幸運な機会を得ました。話したいことのリストを用意して臨みましたが、席に着いてみると、相手はご自身の歩みについて話すのを楽しんでいるようでした。そこで私は直感的に「ジャーナリストモード」に切り替え、具体的なお願いをする前に、人として好印象を持ってもらい、信頼関係を築きたいと思って、よく考えた質問をすることに集中しました。夕食の間、メンターは何度か会話に入り、私のほうに話題を戻そうとしてくれました(私の経歴の主なポイントを紹介してくれました)。その後、夕食はうまくいったと思うかメンターに尋ねました。メンターは、とてもよかったが、面接のように感じられ、私自身について十分に話せていなかったと言いました。また、多忙な人に対しては、自分が何を求めているのかを明確にすることが役に立つとも言われました。お願いが具体的でなく、自分のストーリーも印象に残らなければ、相手は私が誰だったか忘れてしまうかもしれないからです。翌日、私はフォローアップのメールを送り、私が社長の役に立てることをまとめました。最後の段落で、自分の仕事について少しだけ遠慮なくアピールし、もし採用の機会があるなら、ぜひ検討してほしいと伝えました。もっとよい対応ができたと思いますか。
これは、多忙なエグゼクティブとのネットワーキングをテーマにした最近3本目のQ&Aだ(シニア層の支援を得る方法、およびシニア層の支援を得ようとするのはいつやめるべきかを参照)。このコラムではキャリアに関するさまざまなテーマを選ぶようにしているが、競争の激しい現在の雇用市場では、ネットワーキングがとりわけ重要である。AIによって候補者が多数の求人に手当たり次第に応募しやすくなり、企業側には未対応の履歴書が積み上がっている。そうした状況を乗り越えるうえでも、ネットワーキングは今まさに必要なスキルだ。
この質問に共感できる点も印象的だった。重要な面談や採用面接のあとに、「うまくできなかったかもしれない」と感じながら部屋を出た経験は、誰にでもあるのではないだろうか。働きたい企業のトップと会う機会に恵まれたら、何を期待すべきなのか。このジャーナリストは、どうすればよりよく面談に臨めたのだろうか。
自分の強みを土台にする
改善できた点に入る前に、このジャーナリストが正しく対応できていたことを強調しておく価値がある。まず、話し合いに向けて準備をしていた。それでいて、その場で相手の話に耳を傾け、相手にとってよりよく機能していると思われる方向へ柔軟に軌道修正した。自分を売り込むことよりも、信頼関係(そう、雑談は重要だ)を優先し、誠実な関係を築こうとしたのである。
主体的な準備、積極的に聞く力、そして高いEQは、このジャーナリストが今後の転職活動全体に生かせる強みだ。あなたの場合はどうだろうか。直近のネットワーキング面談や採用面接で何がうまくいかなかったのかを分解する前に、うまくいったことを探してみてほしい。それは単に気分をよくするためだけではない(もちろん、自信を高めること自体にも価値がある)。繰り返し、さらに伸ばすべき強みを見つけるためでもある。
ネットワーキングは長期戦で考える
相手が多忙なシニアエグゼクティブであればなおさら、誰かと一度会っただけで、契約ベースの役割であれ、フルタイムの仕事であれ、継続的な仕事上の関係であれ、プロフェッショナルな協働につながることはほとんどない。ネットワーキングでは長期戦で考え、特に重要な意思決定者とは、数カ月、場合によっては数年にわたって定期的にフォローアップする前提で臨むべきだ。このジャーナリストは社長の歩みを直接聞いたのだから、今後のフォローアップは、社長個人の関心、事業上の課題、その他話題に上った内容に合わせて調整できる。
あなたのネットワーキングのフォローアップも、関係を深めたい相手に合わせるべきである。たとえば、相手と共通する専門的関心に関するカンファレンスや講演に参加したなら、その要点を送ってみてほしい。そうすることで、相手はあなたをトレンドや最新ニュースを把握している人だと認識する。そこに自分の見解も添えれば、相手はあなたが何を考え、どのように課題に向き合うのかを垣間見ることができる。さらに、その見解が相手の状況にどう役立つのかを具体的に示せれば、その働きかけの価値は一段と高まる。
相手があなたを助けやすいようにする
このジャーナリストが、相手の役に立つ方法を中心にフォローアップしたのはよい判断だった。ただし、自分自身について、そして自分が何を望んでいるのかをもっと共有すべきだというメンターの指摘は、覚えておく価値がある。人に助けてもらうには、相手が助けやすいようにする必要がある。特に、多くの関係者が時間と注意を求めている、多忙で影響力のある人に対してはなおさらだ。
多忙な人と会う機会に恵まれたなら、その面談を次の機会につなげるために使おう。どのように連絡を取り合うのがよいかを尋ねれば、最適なコミュニケーション方法がわかる。話し合った内容の要約や、相手が取り組んでいることに関連する資料など、何かを送ると約束すれば、相手はあなたから今後も連絡が来ることを想定できる。再び会うことを提案し、できれば相手が直面している事業課題に対するあなたの見解を持ち込むことで、会話をプロフェッショナルな協働へと進めていけるだろう。



