窓のない大きな建物の脇を車で通り過ぎたことがあるなら、それはおそらくデータセンターだろう。米国ではその可能性が十分ある。そしておそらく、あなたが本稿を読んでいるこの瞬間、意識することなくその恩恵にあずかっているはずだ。
インターネット時代の大半において、これらの建物は人目に触れることがなかった。しかし今や、データセンターは突如としてあらゆる場所に現れているように見える。その理由を端的にいえば、規模(スケール)の問題だ。AI(人工知能)とクラウドの需要が急増したことで、データセンターは現代のインフラの中でも最も話題にのぼり、争いの的となる存在の1つとなった。
データセンターとは何か
データセンターとは、膨大な数のコンピューターを、高い信頼性と安全性を確保しながら24時間365日稼働させるために建てられた専用の施設だ。内部には、処理を担うサーバー、ストレージ、ネットワーク機器のほか、それらの安定稼働を維持するための強力な冷却システム、バックアップ電源、および物理的なセキュリティ設備が備わっている。
データセンターの規模は、サーバールームと呼ばれる小規模ものから、複数のスタジアムに匹敵する窓のないキャンパスまでさまざまだ。そして後者は冷却設備、バッテリー、発電機、さらにインターネットや電力網への大容量接続回線が張り巡らされている。全体を制御するのはソフトウェアであり、負荷の分散、障害の検知、セキュリティ管理などを行っている。
ここまでの情報は、すべて新しい話というわけではない。企業は数十年にわたってウェブサイト、電子メール、業務ソフトウェアをオンラインに保つためにデータセンターを運用してきた。変わったのは規模と役割だ。初期の施設は主にファイルを保存していたが、今日の最大級の施設の多くはAIの学習と実行のために構築されている。こうしたワークロード(処理負荷)には、かつての一般的なウェブサイトとは比較にならないほどの電力と専用ハードウェアが必要となる。
データセンターの役割とは
データセンターはデータを保存し、人々が日常的に利用するサービスの背後にあるソフトウェアを稼働させている。動画をストリーミング再生し、メールを送信し、レジでカードをかざし、写真をバックアップし、あるいはAIに質問を投げかけるとき、世界のどこかにあるデータセンターがその処理を行い、ほぼ瞬時に結果を送り届けている。
核心となる役割は、データの保存、処理、そしてネットワークを通じたデータの移動だ。企業が自社サーバーを運用する代わりに借りるクラウドプラットフォームをホストし、動画をストリーミングし、決済を処理し、業務システムをオンラインに維持し、そして今ではAIモデルの学習と実行までも担っている。企業データベースから、それを守るサイバーセキュリティシステムまで、目立たない仕事も引き受けている。AIの成長に伴い、新設される容量の多くはAIが依存する専用チップに割り当てられている。



