お土産に依頼された「ネッククーラー」
数日前、日本からベルギーに戻ってきた。ベルギーは7月にはいってようやく「いつもの」気温、つまり最高気温が24度程度の日常を取り戻した。しかし、それでも腕時計では28度、日差しが例年より暑く感じる。数日後には例年通り、南フランスでバカンスだ。
いつもは楽しみだが、不安定な欧州の気温が、今年は少し怖い。
今年のヨーロッパの友人たちの関心は「どこで太陽にあたるか」ではなく「どこで涼むか」のようだ。南フランスで日焼け止めをぬり、大きなつばの麦わら帽子をかぶっていた私に「太陽を避ける? 正気なの?」とジョークを言っていた友人たちが、日本で売っている「ネッククーラー 」をお土産に依頼してきて驚いた。
日本では当たり前のように整備されたインフラ(コンビニ、地下街、クーラーの効いた公共交通)があるが、安心はできない。気象庁のデータによれば、日本の夏の平均気温は過去100年で1.5℃以上上昇している。クーラーがあっても、電力需要の急増は毎年夏の課題となっている。
ヨーロッパで起きていることは、数年後の日本の話でもある。
気候変動を「将来の問題」として語るのは、もはや古い感覚かもしれない。フランス人の友人が静かに語ったように、それはすでに「今年の夏」の話だ。逃げ場がないとき、人は初めて動く。では、まだ逃げ場がある私たちは、いつ動くのだろうか。
雨宮百子(あめみや・ももこ)◎編集者。日本経済新聞社で記者としてスタートアップや労働市場を取材。その後、日経BP(旧・日本経済新聞出版社)で60冊超のビジネス書編集に携わる。2022年にベルギーへ渡り、ルーヴァン・カトリック大学経営大学院(LSM)で欧州ビジネス・経済政策を学ぶ。現在は日本とベルギーを拠点に、欧州企業の日本進出支援や企業のインナーブランディング、執筆活動を行う。


