ロボットの方が人間よりも高くつくかもしれない。そうだとすれば、人間の仕事は私たちが考えるより長く守られる可能性がある。建設業向けソフトウェア会社がまとめた新たな報告書によると、看護補助者1人を人型ロボットに置き換えるには、年間約37万5100ドル(約6090万円)かかる。これは、看護補助者の実際の年収4万2200ドル(約685万円)の9倍近い。また、年収が5万ドル(約812万円)弱の建設作業員を代替できるロボットには、年間30万ドル(約4871万円)近くかかるという。
「長年、最初になくなるのは低賃金で高度な技能を必要としない仕事だと考えられてきました。しかし、データが示しているのはその逆です」と、報告書を作成したソフトウェア会社Planeraの広報担当者は、筆者への電子メールで語った。
この10年間、自動化を巡る物語には、はっきりした悪役と被害者がいた。悪役はロボット、あるいはロボットを作る側であり、被害者は、反復的で「熟練を要しない」とされる仕事に従事する低賃金労働者だった。レジ係、組立工、介護補助者など、機械がやって来れば真っ先に仕事を失うと言われてきた人々である。
今回の調査によれば、私たちはこの構図をほぼ正反対に捉えていたことになる。理由は、性能の高いロボットは決して安くないからだ。
報告書は、米国で最も一般的な30の職種を調べている。連邦政府の賃金データと、自動化・ロボット関連企業が提示する最新の実勢価格を組み合わせ、労働者1人を機械に置き換えた場合の年間総費用を算出した。技術の購入・設置費、稼働を維持する費用に加え、機械を監督するために引き続き必要となる人員の人件費も含まれる。
その結果、自動化に最も費用がかかる仕事は、必ずしも高度な専門知識を要するハイテク職ではないことが分かった。むしろ、看護補助者だった。
以下がそのデータである。
「賃金が最も低い労働者ほど、肉体的な負担が大きく、人と直接向き合う仕事をしている傾向があります。そして、それこそが機械の最も苦手とする仕事なのです。現在、より大きなリスクにさらされているのはホワイトカラー職です。かつては安泰だと考えられていたソフトウェア開発者も、すでに影響を受け始めています。大手テクノロジー企業がエンジニアを削減しているのは、まさにAIコーディングツールの性能が実用に足る水準に達しつつあるからです」と、Planeraの担当者は語った。



