マーケティングへの投資について議論する際、その会話は広告、ソーシャルメディア、コンテンツ制作、検索エンジン最適化(SEO)、デジタルキャンペーンに集中しがちである。パブリックリレーションズ(PR)は、成長戦略の基盤となる要素ではなく、オプションの追加要素として扱われることが多い。
そうした考え方は、PRが持つ最も価値ある機能の1つ、すなわち信頼性を見落としている。
マーケティングは、自分が何者であるかを人々に伝える。一方、PRは、他者がそれを検証し、裏付けるのを手助けする。
さまざまな業界の組織と長年仕事をしてきて気づいたのは、多くのリーダーがPRを誤解しているということだ。彼らはPRをメディア露出の観点からのみ捉えている。メディア掲載は依然として重要だが、効果的なPRはインタビューや記事、テレビ出演を確保するだけにとどまらない。その本質において、PRは評判を形成し、権威を確立し、最も重要なオーディエンスとの間に信頼を築くのを支援するものだ。
消費者、投資家、パートナー、従業員がオンラインで組織を絶えず評価する時代において、信頼は最も価値あるビジネス資産の1つとなっている。PRは、その信頼を築くうえで重要な役割を果たす。
PRが第三者による信頼性を生み出す
あらゆるビジネスが直面する最大の課題の1つは、自社の主張が正当であることを証明することだ。企業が自社の製品、サービス、リーダーシップチームについて好意的に語るのは当然であり、オーディエンスもそれを織り込み済みだ。
PRは、重要な第三者による検証という客観的な視点をもたらす。獲得メディア(パブリシティ)による報道、講演の機会、業界内での表彰、ポッドキャストでのインタビュー、専門団体への参加、ソートリーダーシップ(思想的先導)コンテンツなどを通じて、PRは独立した第三者の声が組織の専門知識や価値を裏付ける機会を創出する。
潜在顧客が企業について調べる際、その企業のウェブサイトだけに頼ることは滅多にない。彼らは、他者がその組織を信頼でき、知識が豊富であると認めている証拠を探す。PRは、時間をかけてその証拠を積み上げるのを支援する。
「認知度」と「信頼性」は別物である
多くの組織が、信頼性を見落としながら、認知度を高めることばかりに注力しているのを私は目にする。
広告は急速に認知を高めることができる。ソーシャルメディアはリーチを拡大できる。デジタルキャンペーンはトラフィックを呼び込むことができる。これらはすべて重要なマーケティング機能だ。しかし、認知度だけでは自動的に信頼にはつながらない。
ある企業が膨大なオーディエンスを抱えていながらも、業界内での権威を確立するのに苦労しているケースがある。PRは、リーダーを単なる自社ビジネスのプロモーター(宣伝者)ではなく、より広範な議論に対する知識豊富な貢献者として位置づけることで、そのギャップを埋める役割を果たす。
この違いは、専門サービス企業、起業家、著者、経営幹部、そして評判が購買判断に影響を及ぼすことの多い競争の激しい市場で事業を展開する組織にとって、特に重要になる。
PRはマーケティングのエコシステム全体を強化する
もう1つのよくある誤解は、PRとマーケティングが別々に機能するというものだ。最も強力なブランドは、この2つを統合している。
メディアのインタビューからソーシャルメディア用のコンテンツを生み出すことができる。ソートリーダーシップの記事は、商談をサポートする。講演活動は経営陣の露出を強化できる。業界からの評価は採用活動を有利にする。好意的なプレス報道は広告キャンペーンの効果を高めることができる。
PRは別個の取り組みとして機能するのではなく、他のマーケティング投資の効果を増幅させることが多い。
PRとマーケティングの取り組みを連携させる組織は、多くの場合、複数のチャネルにわたって、より一貫したメッセージとより強いブランドポジショニングを生み出す。
レピュテーションマネジメントは危機が訪れる前に始まる
多くの経営陣は、課題が生じて初めてPRについて考える。しかし現実には、最も効果的なレピュテーションマネジメント(評判管理)は、問題が発生するはるか前に実施されているものだ。
一貫したPR戦略をとることで、組織は好意を築き、ステークホルダーとの関係を強化し、業界内で信頼される意見としての地位を確立できる。これらの資産は、不確実性や変化の時期において、特に価値を発揮する。
強力な評判を持つ企業は、それを必要とする前にすでに信頼性と信用への投資を行っているため、より優れた回復力(レジリエンス)を備えていることが多い。
「ソートリーダーシップ」が競争優位性に
今日のオーディエンスは、ロゴ(企業)からではなく、リーダー(個人)からの言葉を聞きたがっている。
有意義なインサイトを共有する経営陣、創設者、分野の専門家は、顧客、従業員、投資家、業界の仲間とより強い結びつきを築くことが多い。PRは、リーダーを広告主ではなく貢献者として位置づける機会を提供し、専門知識を認知度へと変換するのを支援する。
ソートリーダーシップとは、自己宣伝ではない。有益な視点を提供し、得られた教訓を共有し、他者が課題を解決するのを助けることである。それを一貫して行うことで、個人と組織の双方のブランドを強化できる。
PRの長期的な価値
PRが過小評価されることがある理由の1つは、広告キャンペーンに適用されるのと同じ指標を使ってその効果を測定することが難しいためである。
信頼、評判、権威、信頼性は、目先のリード(見込み客)獲得レポートに必ずしも反映されるわけではない。それでも、これらの要素はビジネス上の意思決定に大きな影響を与えることが多い。
顧客は信頼できる組織と関わりを持ちたいと考え、投資家は自分が認知しているリーダーの意見に耳を傾けたいと思う。パートナーは信頼性を確立している企業と協力したいと考え、従業員は好意的な評判を持つ組織に加わりたいと思うものだ。
PRは、そうした条件をつくり出す助けとなる。
マーケティングが進化し続けるなか、認知度だけに焦点を当てている組織は、信頼性の重要性を見落とすリスクがある。最も効果的な戦略とは、認知と信頼が相乗効果をもたらすものであると認識している。PRは、その双方を構築するために利用できる最も強力なツールの1つであり続けている。



