【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

リーダーシップ

2026.07.10 10:12

ビバ・イタリア:イタリアに学ぶ、時代を超えたリーダーシップの教訓5選

Adobe Stock

Adobe Stock

イタリアはこれまで、レーシングドライバーのエンツォ・フェラーリ、ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニやミウッチャ・プラダなど、世界で最も刺激的なリーダーや創業者を数多く輩出してきた。彼らは創造性への献身と卓越性への情熱を融合させることで、傑出した成功を収めてきた。

では、イタリアの文化、価値観、そしてビジネスの伝統は、他の市場のリーダーに成長イノベーションについて何を教えてくれるのだろうか。イタリアのリーダーとリーダーシップの専門家5人が、それぞれの見解を語る。

1. 美と機能を結びつける術を知る

「イタリア文化の多くは、創造性、センス、歴史、そして美と機能を組み合わせる能力を中心に成り立っています」と語るのは、ソーシャルラーニングプラットフォームDocsityの創業者兼CEO、リカルド・オクレッポだ。「こうした特質は、リーダーシップにおいて非常に強力な思考様式を形づくります。イタリアには、技術的にも堅牢で、感情的にも意味のある製品、ブランド、組織を築いてきた長い伝統があります。イタリアのリーダーはしばしば、人々は効率だけでつながるのではなく、アイデンティティ、信頼、品質、目的でつながるのだと理解しています」

創造性やセンスを優先することには、負の側面もあり得るとオクレッポは認める。「イタリアのリーダーは、時に職人技、人間関係、あるいは家族経営のダイナミクスに執着しすぎることがあります」と彼は言う。「それが、困難な意思決定、プロフェッショナルなマネジメント、国際化、スケーラビリティを遅らせてしまうのです」。しかしながら、新世代のイタリア人創業者や経営者はより国際的でデータ重視になりつつあり、イタリア的な創造性と独自性を、よりスケーラブルでグローバルなマインドセットと組み合わせる好機を捉えていると彼は考えている。

オクレッポは、優れた製品アイデアをグローバルな成功物語へと転換したイタリア企業の好例として、菓子メーカーのフェレロを挙げる。ヘーゼルナッツとカカオのスプレッド「ヌテラ」は、時代を超えたエバーグリーン製品の傑出した例だと彼は言う。「シンプルで認知度が高く、感情に訴える力があり、時を経てもほとんど変わらない」のだ。

2. 人間中心のアプローチを取る

イタリアではリーダーシップは、取引的である前に関係的なものだと語るのは、高等教育機関OPIT(Open Institute of Technology)の学長、フランチェスコ・プロフーモだ。「イタリアのリーダーシップは、人、文脈、判断力の上に築かれています」と彼は言う。「イタリアにおいて、信頼、共感、長期的な関係はソフトスキルではない。ハードな資産なのです」

人工知能(AI)の台頭により、関係構築のスキルはさらに重要性を増しているとプロフーモは主張する。「AIは知識、仕事、意思決定の本質を再定義しつつあります」と彼は語る。「そうした状況下では、リーダーシップは効率や統制に還元されるものではありません。その中核的な機能、すなわち意味と方向性を与えることを再発見しなければならないのです。我々は知識が希少だった世界から、意味が希少な世界へと移行しつつあります。AIの時代における真の競争優位性はテクノロジーではなく、それを導く人間の思考の質なのです」

プロフーモによれば、自らの名を冠したタイプライター会社オリベッティの故創業者アドリアーノ・オリベッティは、イタリア流リーダーシップの好例だという。なぜなら彼は、企業が技術的に先進的であると同時に、社会的にも先見性を持ちうることを理解していたからだ。「ESGがグローバルな枠組みとなるはるか以前から、オリベッティはすでにそれを実践していました」とプロフーモは説明する。「イノベーション、デザイン、教育、そして労働者と地域社会のウェルビーイングに投資したのです。彼は今日でもまだ十分に理解されていないことを理解していました。すなわち、経済的価値と社会的価値は対立するものではなく、互いに強化し合うものだということです」

3. 短期的利益より長期的な卓越性を優先する

ビジネスでは、コストを最小限に抑えて利益を押し上げるために、安易な近道をしたくなる誘惑にかられることが少なくない。しかし、安易な道を選ぶという考え方は、イタリアのリーダーにとっては相容れないものだ。「イタリアの文化は品質や職人技を強く重視し、卓越性と熟練の技に対して深い敬意を払っている」と、ミラノ工科大学ビジネススクール(POLIMI Graduate School of Management)の学部長、フェデリコ・フラッティーニは語る。「これは、短期的な利益よりも、卓越性、細部への配慮、長期的な評判を深く重んじるリーダーへとつながっているのです」

イタリアのリーダーはまた、製品を通じて物語を語ることを好むとフラッティーニは考える。「イタリアのリーダーは、しばしば機能性を超えていく」と彼は言う。「製品や組織に美、デザイン、意味を統合し、強い感情的・文化的アイデンティティを持つブランドをつくり上げるのです」

フラッティーニは、イタリアのリーダーの成功を妨げかねない「盲点」をいくつか指摘する。1つは、リーダーシップの過度な個人化である。「多くの組織はカリスマ的な創業者やファミリーリーダーを中心に回っており、それが権限委譲、ガバナンス、後継者計画に課題を生むことがあります」と彼は言う。もう1つは、他国と比べて経営の形式知化が不足していることだ。「プロセス、データに基づく意思決定、構造化されたガバナンスは、必ずしも優先事項ではなかった。ただし、これは急速に変わりつつあります」とフラッティーニは指摘する。「重要なのは、強いアイデンティティも、開放性と構造を伴わなければ、競争優位ではなく制約になり得るという点です」

4. 地域への根ざしと進化する力を融合させる

過去の強みを活かしながら未来を見据える能力もまた、イタリアのリーダーに共通する前向きな資質だ。「イタリアのリーダーシップは、地元に根ざすことと進化する能力という、一見相反するような要素を両立させている点で際立っている」と、ボッコーニ大学(Bocconi University)の学長、フランチェスコ・ビッラーリは語る。彼は、ワイナリーを営むアンジェロ・ガヤやアンティノリ家を、イタリア人リーダーの例として挙げる。彼らは「自らのテロワール(風土)に関する非常に深い知識を出発点としてグローバルブランドを築き上げ、同時にプロセスや国際的なポジショニングにおいて常に革新を続けてきた」。

ビッラーリによれば、このモデルは、アイデンティティと開放性、伝統とイノベーションを同時に保持し、2つの世界の最良のものを組み合わせる能力に依拠している。「こうしたケースにおいて、リーダーシップは単なるマネジメントではなく、歴史を解釈し、それを未来へ投影することなのです」と彼は説明する。

当然ながら、イタリアのリーダーがこのアプローチを取り入れるには、克服すべき課題もある。1つは、アイデンティティを失わずに規模を拡大(スケールアップ)すること。もう1つは、移行期、特に世代交代の管理だ。さらにビッラーリは、世代間のトレンドを過小評価するリスクについても警告している。「イタリアの企業は、世界で最も高齢化が進む人口の中で事業を展開しているが、自社の戦略や製品、組織モデルをこの現実に必ずしも適応させているわけではない」と彼は指摘する。「これは、将来の競争力に悪影響を及ぼしかねない盲点である」

5. 自らを事業のスチュワードと捉える

「イタリアのリーダーシップは、文化、アイデンティティ、伝統への信念に深く根ざしています」と語るのは、アイルランドのUCD Michael Smurfit Graduate Business Schoolの副学部長兼ディレクター、フェデリカ・パッツァリアだ。「変化や不確実性の時代には、安定と帰属の源泉として、これらの根に立ち返る傾向があります。これにより、単に業績に焦点を当てるのではなく、スチュワードシップに重きを置くリーダーが生まれます。つまり、進化を導きながら、意味と継続性を守るリーダーです。イタリアのリーダーが意思決定を行う際により頻繁に問うのは、『この決定は、私たちの中核的価値観とどのように合致するのか』ということです。これが、根本的に異なる質の意思決定を生み出すのです」

パッツァリアは、スチュワードシップの哲学は、イタリアに豊富に存在する中小規模のファミリービジネスのエコシステムに顕著に表れていると考えている。「これらの組織は、個々としては必ずしもグローバルな規模で事業を展開しているわけではないが、強固で信頼に基づいたネットワークを通じて、集団として国際的に競い合っている」と彼女は言う。「この文脈におけるリーダーシップは極めて関係性を重視したものであり、長期的なパートナーシップ、共有された価値観、そして技術と品質への深い理解の上に築かれている。信頼は時間をかけて個人的に構築され、徹底的に守られる。その結果、数十年にわたって互いを支え合う協力者、サプライヤー、同業者からなる緊密なネットワーク、すなわち評判と互恵性がビジネスに不可欠なプロフェッショナルのエコシステムが形成される」

とはいえパッツァリアは、緊密なネットワークはレジリエンスの源泉になり得る一方で、「内向きになり、新しいアイデア、多様な視点、代替的な運営方法に触れる機会を制限する」可能性もあると認める。したがって、外部人材を引きつけ、異論に耳を傾け、真の開放性を必要とする形で規模を拡大するには、信頼を内輪の外へと広げる必要がある。

パッツァリアは、ミウッチャ・プラダをイタリアにおけるリーダーシップの説得力のある一例として挙げる。彼女は、当時は高級皮革製品会社だった組織に政治学のバックグラウンドを持ち込み、それをブランドの創造的な強みの源泉としたからだ。「単にブランドの遺産を守るだけでなく、彼女はそれを再解釈した」とパッツァリアは言う。「ブランドのアイデンティティにしっかりと根ざしながらも、業界の常識に挑むような、知性的で、しばしば意図的に型破りなラグジュアリーへのアプローチを導入したのだ」

イタリアから学ぶ究極のリーダーシップの教訓

品質へのこだわりから長期思考まで、イタリアのリーダーが世界中の同業者に教えられることは多い。しかし、フラッティーニが言うように、おそらく最も重要な教訓は、アイデンティティとイノベーションを統合することだ。「イタリアのリーダーは、成功とは伝統と未来のどちらかを選ぶことから生まれるのではないことを示している」と彼は説明する。「真の競争優位は、リーダーが明確なアイデンティティを捨てるのではなく、継続的に再解釈できるときに生まれるのだ」

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事