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マーケティング

2026.07.10 09:33

AI時代の勝者を分ける「独自データ」 クリエイターエコノミーの新たな競争軸

stock.adobe.com

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この10年、クリエイターエコノミーは1つの約束を軸に売り込まれてきた。リーチである。適切な声を見つけ、適切なオーディエンスを買えば、ブランドは自力では決してつくれない信頼を借りることができる。その約束が、いまや世界で2500億ドル(約40兆6000億円)を超え、2030年までに5000億ドル(約81兆2000億円)を突破すると予測される市場を築いた。しかし、この業界を築いたものは、もはや勝者を決めるものではない。

次の段階を定義する資産はデータである。具体的には、エージェンシー、ネットワーク、プラットフォームが何年もかけて蓄積し、つい最近まで副産物として扱ってきた過去のキャンペーンデータだ。人工知能(AI)が目新しい技術からインフラへと移行するなか、その副産物はビジネス上で最も価値のある独自資産へと変わりつつある。これを早くから認識していた企業は、そうでなかった企業との差をまさに広げようとしている。

勘から台帳へ

クリエイターエコノミーは、静かだが全面的な再分類の渦中にある。ブランドはもはやクリエイターを、マーケティングの余剰予算で賄うブランド認知向上の実験とは見なしていない。中核予算をクリエイター中心に再構築し、彼らを主要なメディアチャネルとして位置づけ、有料検索やプログラマティック広告に求めるのと同じ説明責任を要求している。IABは今年に向けて、クリエイターとの提携における有料増幅だけで240億ドル(約3兆9000億円)を超えると予測しており、ソーシャルでの増幅は前年から約50%増加している。

240億ドル(約3兆9000億円)の予算項目を直感だけで運用することはできない。説明責任には台帳が必要であり、台帳にはデータが必要だ。成果につながったすべてのブリーフ、期待を上回ったすべてのクリエイターとオーディエンスの組み合わせ、公開直後に失敗したすべてのフォーマット。その一つひとつがデータポイントである。それを数千件のキャンペーンと何年にもわたる活動に掛け合わせれば、どれほどのベンチャー資金を投じても一夜で再現できないものが生まれる。実際の成果にひもづいた、何が機能するかの独自記録である。

Outloud GroupのCEOであるブラッド・フースはこう説明する。「データは私たちのあらゆる取り組みの土台だ。独自データこそが、ブランドが継続案件のためにエージェンシーに戻ってくるか、それとも離れていくかを分ける決定要因になる。キャンペーンが、過去何千ものエンゲージメントやROI期待値から得た学びに基づいていなければ、ブランドは去っていく」

市場が一貫して過小評価してきたのはこの部分である。従来の見方では、エージェンシーの価値は人間関係と審美眼に宿るとされてきた。どちらもなお重要だ。しかし、人間関係は持ち運べるものであり、審美眼は主観的である。10年分の、構造化され成果に結びついたキャンペーンデータはそのどちらでもない。競合が引き抜くことも、コピーすることも、資金力で上回ることもできない唯一の資産である。

AIが計算式を変える理由

過去のキャンペーンデータが、これほど短期間で「有用」から「不可欠」へと変わった理由は人工知能にある。クリエイターの間でのAI導入はもはや実験段階ではない。最近の調査では、少なくとも1つのAIツールを利用している割合は90%を超えている。しかし、より大きな変化は上流で起きている。かつて人間の判断で数週間かかっていたワークフローを、AIが機械支援による意思決定へと圧縮し、数時間で完了させるようになっているのだ。

AIの質は、与えるものによって決まる。オープンなインターネット上の情報で訓練されたモデルは、まずまずのブリーフを書くことができる。だが、自社の独自の履歴、すなわち、どのブリーフが、どのオーディエンスに対し、どの価格帯で、どのフォーマットにおいて成果につながったかで訓練されたモデルは、まったく別のことをしている。もはやそれらしいコンテンツを生成しているのではない。実証済みの成果に基づいて予測しているのである。クリエイターのコホートに対する予測型フォーキャスティング、つまりキャンペーンの開始前にパフォーマンスを計画する能力は、現実の機能になりつつあり、そのすべては背後にあるデータの質と深さにかかっている。

これこそが転換点である。10年間、過去のキャンペーンデータはコストセンターだった。保存し、時折監査し、めったに見返さないものだった。AIはそれを一夜にして、競争優位のための訓練基盤へと変えた。データ自体は変わっていない。その戦略的価値が変わったのである。

LaterのCEOであるスコット・サットンは、AIがデータにとって不可欠になるプロセスを「複利の効果のようなもの」と表現する。「得られるキャンペーンデータが増えるほど、より高度な知見を備えたクライアントと担当エージェンシーが生まれ、そこではクリエイターのマッチングとパフォーマンスが追跡される」

ブランドはすでに動き始めている。マーケターはAIで強化されたクリエイターコンテンツへ積極的に予算を振り向けており、問われているのは、どのパートナーがそこに応えるためのデータ基盤を持っているか、そしてどのパートナーが、台帳なきリーチはコモディティであるとまもなく気づくかである。

迫りくる二極化

これにより、今後数年を定義する構造的な分断が生まれる。一方には、キャンペーン履歴の取得、構造化、保持に規律を持って取り組んできた企業がある。彼らは今、新たな施策のたびに複利的に価値を増す独自データセットを保有している。もう一方には、各キャンペーンを単発案件として扱い、クライアントに請求し、データを蒸発させてきた企業がある。

第一のグループはフライホイールを築いている。キャンペーンが増えればデータが増え、データが増えればAIの精度が高まり、より精度の高いAIがさらに多くのキャンペーンを獲得し、その循環は強まる。第二のグループは、価値が目減りする資産に依存している。AIが着実にコモディティ化している人間関係と評判である。次の四半期に支出を増やしても、10年分の構造化データに追いつくことはできない。優位性は複利的に積み上がる。つまり、差は広がるのだ。

3つの力がこの分断を加速させている。第一に、アトリビューションはプラットフォーム内で完結する方向に進んでおり、ショッパブル動画はファーストパーティーの購買データを生み出し、凡庸な実績の担い手を長く守ってきた測定のギャップを埋めつつある。第二に、規制は強化されている。FTCは開示を、EUのデジタルサービス法はプラットフォームの説明責任を求めており、支出は握手だけの取引から、確立され、コンプライアンスを満たし、データガバナンスを備えたパートナーへと向かっている。そして第三に、キャンペーンの頻度は、四半期ごとの大型施策から常時稼働型のプログラムへと移行している。これによりデータは指数関数的に増え、そこからリアルタイムに学ぶ体制を備えた企業が報われる。

事業運営者と投資家にとっての意味

事業運営者にとっての命題は明確だ。キャンペーンデータを業務上の副産物ではなく、貸借対照表上の資産として扱うことである。構造を持って取得し、規律を持ってガバナンスする。ブランドに対して、誰と組むべきかだけでなく、キャンペーンがどう成果を出すかについてデータに基づく予測を示せるエージェンシーは、競合が構造的に提供できないものを売っている。

投資家や買収者にとって、その含意はさらに鋭い。市場が細分化するなかで、持続的な引受判断の問いはもはや「この資産はどれだけのリーチを支配しているか」ではない。「この資産はどのような独自の、AI対応可能なデータを保有し、それは複利的に増えるのか」である。リーチは買い直せる。人材は再契約できる。10年分の、構造化され成果に結びついたキャンペーンデータは、この業界では再現できないまれな資産であり、まさにそれゆえに対価を支払う価値のあるものになりつつある。

クリエイターエコノミーは最初の10年を、クリエイターがオーディエンスを動かせることの証明に費やした。次の10年は、誰がそれを予測できるかを証明することに費やされるだろう。静かに台帳を築いてきた企業は、すでにその答えを知っている。

forbes.com 原文

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