【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

働き方

2026.07.10 08:11

独立した7人のジャーナリストが語る、組織を離れて学んだ教訓

Adobe Stock

Adobe Stock

67歳のホルヘ・ラモスは、スペイン語テレビニュースの「最も有名な顔」として活躍した約40年のキャリアに終止符を打ち、個人によるデジタルニュース事業を立ち上げた。多くのジャーナリストがキャリア全体をかけて追い求める組織的なバックアップを、彼は手放したのだ。

地球の反対側では、元NPR(全米公共ラジオ放送)記者のティム・マックが、キーウの窓の外で続くウクライナ戦争について記事を発信している。米国に戻れば、元テレビニュース記者のリサ・レミヤードが、自宅スタジオでTikTok向けのニュース解説動画を撮影し、数百万回の再生を積み上げている。

同様に思い切って独立の道を選んだジャーナリストは、ほかにもいる。デーブ・ジョーゲンソンは、ワシントン・ポスト紙の「TikTok担当」という仕事を辞め、ニュースとコメディを「ザ・デイリー・ショー(The Daily Show)」風に融合させる計画を携えて独立した。一方、ザック・グリフはウォートン・スクールでMBAを取得後、ニューヨークに戻り、自身の旅行ニュースレターを立ち上げた。旅行情報サイト「ザ・ポインツ・ガイ(The Points Guy)」で7年間執筆してきた実績と、現在約30万人を誇るInstagramのフォロワーが、十分な助走期間をもたらしてくれると賭けたのだ。

ワシントンD.C.では、クリス・シリザが何の前触れもなく、儀礼的な見送りもなく、プランBを用意する間もなくCNNから解雇されたため、急遽プランBを構築せざるを得なくなった。CNNといえば、かつて同局のテクノロジー特派員を務めていたローリー・セガルも、周囲のメディアインフラが、自身の追求したいストーリーテリングに適さなくなったと判断して退社している。

筆者はこの1年間、ここに挙げたジャーナリスト全員に個別にインタビューを行い、それぞれのプロフィール記事を執筆してきた(各記事へのリンクは以下に記載)。ほぼあらゆる場所で人員削減が続き、ニュースルームが縮小している今、彼らのストーリーを改めてまとめ、オリジナルの記事に入りきらなかった詳細やコメントを交えて紹介することには大きな意義があると考えた。

また、特にニュースルームの縮小が加速し続けるなかで、彼らの経験から得られた実践的な教訓に焦点を当てることにも価値があるからだ。

大手メディアを去る動きは後を絶たない。グルメメディア「イーター(Eater)」の元ジャーナリスト5人は最近、解雇されたことを逆手に取り、読者支援型のフード&カルチャー・ベンチャー「ラバナス(Ravenous)」を立ち上げた。また、長年テクノロジー記者を務めたジョアンナ・スターンは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙からの退社を機に、YouTubeチャンネルやニュースレターを運営する独立系企業「ニュー・シングス(New Things)」を起業している。

ニッチを極めることが生き残りの鍵

取材した独立ジャーナリスト全員から最も多く聞かれたアドバイスを一つ挙げるなら、それは「明確に定義された焦点」と「特定のターゲット層」を持つことの重要性だ。

「ニッチを持たなければならない」と、シリザは筆者に語った。「特定の切り口を持ち、そのテーマに関心がある人々にとって、その切り口を絶対的に不可欠なものにするのだ。最終的には、提供するコンテンツにお金を払う価値がある理由を読者に納得させなければならないからだ」。彼にとっての領域は、親しみやすく分かりやすい語り口での政治分析だ。

レミヤードにとっての領域は、連邦政府に関する解説だ。議会、最高裁判所、ホワイトハウスといったテーマを、レガシーメディアが退屈すぎて扱う価値がないと判断した形式で届けている。「人々、すなわち視聴者は、何が起きているのかを切実に理解したがっている」と彼女は語った。

グリフは、トラベルジャーナリズムにおける特定の隙間、具体的には「正規の取材資格を持つ記者」と「旅行専門インフルエンサー」の間の領域に着目し、ザ・ポインツ・ガイ退社後の自らのアイデンティティを、その領域を独占することに求めた。マックは、一つの戦争、一つの都市を、一つの独自の視点、すなわち「人間に焦点を当てた側面」から取材している。

「主流メディアは、ニュースの何が、いつ、どこで起きたかという問いに答えることには優れているが、『誰が』については非常に表面的な調査にとどまっている」とマックは語った。このアプローチこそが、マックの「ザ・カウンターオフェンシブ(The Counteroffensive)」をSubstackで最も読まれている国際ニュースレターの一つに押し上げた。そこには、停電のなかで新生児を育てる母親たちのストレスから、ウクライナの高齢者が戦争によるストレスに対処するためにどのようにTikTokを活用しているかまで、多様なストーリーが詰め込まれている。

そして、取材したすべてのジャーナリストのなかで、最も明確に定義されたニッチを持っているのがラモスだ。その視点は「移民支持」「民主主義支持」に貫かれている。「多くの自由と、多くの不確実性を伴う新たなスペースに移行した」とラモスは語った。「私はオーディエンスがいる場所へ行く」

彼はさらにこう付け加えた。「ジャーナリストに引退はないと信じている。私にはまだ戦うべき戦いがある」

増した自由と、高まったリスク

取材したすべてのジャーナリストに共通する最も意外性のない事実は、彼らのほぼ全員が、以前所属していた組織にいた頃よりも、長く、そして懸命に働いていると語ったことだろう。

マックは、主流メディアが自分の望む形で伝えていなかった物語を報じるために、独立を選んだと語った。戦地の内部から、一人称で、時には敵のドローンが近づきすぎると浴槽のような場所に身を隠しながら。

レミヤードは、自身のトレードオフについて率直だった。「自分のスケジュールで、好きなときにこれをできる」と彼女は筆者に語った。「ただしマイナス面は、週の毎日、これまでより長い時間これをやっていることだ。そのうえ、2週間ごとに保証された給与が入るわけでもない」

2人の同僚とともにワシントン・ポスト紙を去り、「ローカル・ニュース・インターナショナル(Local News International)」を立ち上げたジョーゲンソンは、好調なスタートを切った。報道によると、彼の会社はすでに黒字化しており、広告や助成金などの多様な収益源を確保している。YouTubeやTikTokには、すでに数十万人の登録者がいることは言うまでもない。

「ユーザーのコメントから、彼らにとって自分が特定のニュースの第一情報源になっていると気づかされることが多い」とジョーゲンソンは語った。「だからこそ、ユーモラスでありながら有益であるという自身のニュースのスタイルを、非常に真剣に捉えている」

十人十色の自立への道のり

独立することの隠された秘密は、結局のところ、スタート時には誰も自分が何をしているのか本当に分かっていないということだ。

セガルは、クリエイター主導のメディアネットワークである「モストリー・ヒューマン(Mostly Human)」を立ち上げたが、クリエイター主導のAIメディア企業がどうあるべきかについての明確な手本はなかったと語った。スペイン語圏で最も有名なジャーナリストの一人であるラモスも、自身のデジタル事業をどのように収益化するかは、今も模索中であると筆者に語っている。

「テレビの後は、自分を再発明する必要があることは分かっていた」と彼は言った。「オンラインで自分の発信を何百万人もの人々が見ているという数値を確認できるし、以前は得られなかったオーディエンスとの即座のコミュニケーションが生まれている」

取材したジャーナリストは、それぞれ異なる7つの専門分野を持ち、独立することが実際に何を意味するかについても、7つの非常に異なる定義を持っていた。彼らが思い切って一歩を踏み出したとき、誰一人として、その後に向けた完璧な計画を持ち合わせてはいなかった。

「今も88歳で医師を続けている祖父のことをよく考える」とグリフは語った。「病理医である祖父は、仕事は喜びだといつも私に言っているが、それこそが、私が旅行ジャーナリズム、コンテンツ制作、そして報道に対して感じていることそのものだ」

レミヤードは、収入がなかった2年間を単なる「ビジネスのコスト」と呼ぶ。マックは、戦地で暮らし、そこから報道することが、これまでの人生で最も意義のある仕事だと証明されたと語った。

彼らはみな、進みながら自分たちの設計図をいまも書き続けている。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事