もとより、地上ロボットの能力が拡大しても歩兵が不要になるわけではない。米シンクタンク、戦争研究所(ISW)のジョージ・バロスは筆者の取材に、UGVについて「正面攻撃を支援し、敵の戦力を弱体化させることができる」としつつ、「歩兵を完全に代替できるわけではありません。最終的には、土地の占領・確保のために昔ながらの歩兵が必ず必要になります」と解説した。また、現在のUGVが依然としてFPV(一人称視点)ドローンや地雷に対して脆弱であることや、武装UGVも弾薬を使い切れば人の手で再装填する必要がある点にも言及した。
ウクライナの防衛テックに特化した米ベンチャーキャピタル(VC)、グリーン・フラッグ・ベンチャーズのファウンディングパートナーであるデボラ・フェアラムは「この分野の進歩は、ソフトウェアと同じくらいハードウェアにもかかっています」との見解を筆者に示した。ソフトウェアやAIの進歩に加え、より優れたハードウェアが戦場に投入されることで、UGVの能力はさらに向上していくと見込まれる。
後送任務では、1人の負傷兵を救出するために複数のロボットを投入し、最終的に1台が成功するまでに何台かを失う場合もある。ウクライナのUGVメーカー、NUMO Robotics(ヌーモ・ロボティクス)のユリヤ・トリブシュナは筆者にこう語った。「兵士1人を失うより、機械4台を失うほうがましです」
ウクライナは今年、5万台を超えるUGVを配備する計画だが、トリブシュナの見積もりでは、前線の大半の陣地で人間を代替するにはロボットが年間およそ15万~20万台必要になるという。一方で彼女は、戦闘用UGVが依然として比較的珍しい存在にとどまっているのは、別にそれが失敗したからではなく、大規模な運用に必要なドクトリンがまだ形成途上だからとの見方を示す。まず戦場で個別に成功が積み重ねられ、その後に標準的な戦術が確立されることになる。
近い将来、地上ロボットが歩兵に取って代わる可能性は低い。それでも、ロボットはこれまで兵士が担ってきた任務の多くを着実に引き継ぎつつあり、兵士が陣地にとどまり、機械が前に進む戦場の姿を垣間見せ始めている。


