【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

国内

2026.07.10 14:15

【30 UNDER 30対談】 「誰にとっても嫌ではないデザイン」"銭湯"と”ヤフー"の共通点 ──小杉湯原宿・関根江里子×LINEヤフー・川邊健太郎 【前編】

「世界を変える30歳未満」30人の日本人を表彰する「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」企画の対談シリーズ。同企画アドバイザリーボードで、今年6月で代表取締役会長を退任したLINEヤフー川邊健太郎をホストに昨年から行ってきた本対談。今回の対談相手は、2025年の受賞者である、小杉湯副社長、ゆあそび代表取締役の関根江里子。昭和8年創業の老舗・小杉湯が東急プラザ原宿「ハラカド」の地下1階に開いた「小杉湯原宿」を立ち上げ、“街の銭湯”を都心のど真ん中で営む挑戦をしている。『7つの激変 いかがわしい者たちが主役の「インターネット産業」30年史』の著者でもある川邊と関根。インターネット産業の黎明期から四半世紀を走ってきた経営者と、「変わらない場所」を社会に残すことに人生を懸ける30歳。二人の対話は、銭湯のビジネスモデルから日本の広告史にまでおよんだ。


550円で入れる銭湯を、原宿につくる

川邊:2025年の「30 UNDER 30」の受賞者を見たときに、IT系やWeb3、ディープテックといった領域の起業家が多いなか、「銭湯」を営んでいるという関根さんが目に留まりました。意外性がありましたし、僕自身が風呂やサウナが好きなので、どこでどんなふうに運営しているのか純粋に興味が湧きました。

関根:ありがとうございます。

川邊:僕らが1995年に設立した電脳隊は恵比寿にオフィスを構えていたのですが、近所に「新橋湯」という銭湯がありました。深夜まで働いたあとにみんなで風呂に入って、戻ってまた明け方まで仕事する。そういう生活をしていたので、銭湯というとあの時期がいちばん記憶に残っています。

関根:小杉湯原宿にも、起業したばかりだろうという方がいらっしゃいます。朝7時から夜23時まで営業しているので、徹夜明けに身体を起こしに来る方もいれば、もうひと踏ん張りする前に気合を入れに来る方もいます。

高円寺にある本店の小杉湯は、今年で創業93年目を迎えます。いわゆる街の銭湯は「一般公衆浴場」という認可を受けて運営されており、入浴料金は都道府県ごとに物価統制令で上限が定められています。国が生活インフラとして銭湯を存続させる方針をとっており、その代わりに補助金や助成金で経営を下支えする仕組みです。

ただ、この仕組みに頼り続けるだけでは難しい側面もあります。小杉湯の場合、宮造の歴史ある建物のため、毎年の修繕費の負担も重く、550円の入浴料で昔ながらの建物を変わらず残していくためには、新たな挑戦をする必要があると考えていました。そうした経緯から、補助金に頼らずとも事業として成り立つ銭湯のかたちをつくれないかと考えたのが、小杉湯原宿の出発点なんです。

次ページ > 原宿では約20年前を最後に銭湯がすべてなくなっていた

加藤智朗=文 若原瑞昌=写真

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事