家族との価値観のすり合わせ:「人生の実験」を支える妻への誓い
━━ 破天荒とも言える挑戦を続ける中で、ご家族(奥様)とはどのように価値観をすり合わせ、サポートを得てきたのでしょうか?
カルロス:出会った当初から「飛び回る男だ」というセルフブランディング(前提の共有)は意識的にしていました(笑)。ただ、最初からアフリカ起業を想定・容認されていたわけではありません。
大きな転機は、上の子が生まれたばかりのタイミングで、私がタンザニアへ赴任するという話が出た時です。妻の母親からは猛反対されましたが、最終的に妻自身が「夫の挑戦に自分が納得してついていく」という覚悟を決めてくれました。その後、コロナ禍で赴任が延びたため私が1年半ほど日本で家族と濃密な時間を過ごせたことも、信頼関係の土台になりました。
━━経済的な面や、今後の人生設計についての約束はあるのですか?
カルロス:妻からは「45歳までは好きなことをやっていい」と言われていました。すでにその年齢は過ぎていますが(笑)、現在は「きちんと会社から役員報酬(生活の基盤となる給与)を受け取れること」を条件に、いわば「試用期間の延長」を認めてもらっています。
妻からは、「私は自分の人生をあなたにベット(賭け)したのだから、その選択が間違っていなかったことを証明してほしい」と言われています。株主へのリターン以上に、私にとって最も達成すべきゴールはこの「家族への証明」です。事業のために家族を不幸にするような経営リスクは絶対に冒さないよう、常に家庭へのケアは最優先しています。
日本人へのメッセージ:世界の広さを知り、一方通行の人生の時間を無駄にするな
━━ 最後に、海外への一歩を躊躇している日本人や、若い世代へ向けてメッセージをお願いします。
カルロス:「ニュースで聞き齧っただけ、欧米や東南アジアに少し暮らしただけで、そこが世界のすべて(グローバル)だ」と思い込んでいる人があまりにも多すぎます。世界はもっと広くて、多様で、泥臭くて、そして圧倒的に面白い場所です。それを知らないまま「誰かが言っていたグローバル」だけで一生を終えてしまうのは、純粋に「もったいない」と感じます。
日本の投資家250社、個人投資家600人と話をしても、アフリカというだけで門前払いされることが多いのが現実です。しかし、視点をヨーロッパに移せば、アフリカ市場の可能性を理解してくれるサポーターや投資家がたくさんいます。日本という枠に閉じこもる必要はありません。
40代を過ぎると、老眼が始まったり身体の衰えを感じたりと、「死」の存在がリアルに近づいてきます。若い世代には死がまだ遠いものに感じられるかもしれませんが、人生は完全に「一方通行」です。明日になったら、今日はもう昨日になってしまう。戻ることはできず、日々「死」に近づいていくのみ。突然いなくなった私の両親のように、自分も明日はこの世にはいないかもしれない。
「自分の中に1本通った芯(好きなこと、ワクワクすること)」があるなら、迷っている時間はありません。早く動かないと、あっという間に死んじゃいますよ。世界へ飛び出し、自分の知らない道を探す楽しさを、ぜひ1人でも多くの人に味わってほしいですね。
※後編では、カルロスを支える家族へのインタビューから、婚前旅行での価値観の衝突や、どのような考え方で支えているのか、そして、家族視点での苦労話・愚痴を生々しく本音でお伝えします。


