22年8月のオープン以降、PRして観光地化するのでなく「アーティスト界隈に面白がってもらえる場所」を目指してきた。金~月曜に公開し、年平均1万人が来場。約5割がアート関係者で、まちづくりのヒントを探すデベロッパーも多いという。その内容と維持を考えれば入場料があってもいいほどだが、「作品を買っていただく、あるいはメンバーシップや寄付などのかたちが健全」と、あえて無料にしている。
アーティストインレジデンスは紹介制で募りながら、3年間で10カ国から約50人を受け入れてきた。訪問時に黙々と作業をしていたアニメーション作家の山中千尋は、「季節の移ろいや日々の空の変化、ギャラリー内の作品から普段得られない刺激やエネルギーを得ている」と話す。
西野は、こうして訪れたアーティストがミツバチのように地域の魅力の伝達役となり、「試住」や移住、二拠点生活者が増えていくサイクルを描く。実際、この数年でギャラリーやレストランが増え、近く宿泊施設も開業予定だ。GASBONも参画する北杜アート協会は、各所をまわるバスツアーなどを実施。行政や企業を巻き込み、制作環境を拡充させるアーティストビレッジ構想もあるという。
「メタボリズムとは新陳代謝という意味ですが、リノベーションしたこの場所の成り立ちと、子どもの絵から80代の作家の作品までを見せるなど、アートを次の世代につなぎたいという思いから名付けました」と西野。未来へと続く新たな循環が、着実に動き始めている。


