展覧会、芸術祭、フェア、オークションなど多彩な話題が飛び交うアートの世界。この連載では、毎月「数字」を切り口に知られざるアートな話をお届けしていく。アートツーリズムを掲げる北杜市の新たなハブ、GASBON METABOLISMの正体とは。
「東京・西麻布のギャラリーと家賃は同じですが、面積はおよそ100倍。やはりできることが違いますね」
八ヶ岳や南アルプスに囲まれた山梨県北杜市で、巨大なアート複合施設「GASBON METABOLISM」を運営する西野慎二郎は穏やかな笑顔でそう話す。
北杜市はクリエイターが増え、清春芸術村や中村キース・ヘリング美術館、平山郁夫シルクロード美術館の存在もあり、“文化度の高い”地域として発展してきた。「でも軽井沢ほどハイブロウじゃない、肩の力が抜けた感じがいいんです」と西野。
クリエイティブコンサルタンシーを経営しながら、都内で約20年ギャラリーを営んできた西野が二拠点生活を始めたのは約5年前。コロナ禍に移住していた友人を訪ねた際に、自然豊かな環境に惹かれたという。1000平米超の工場跡地を、アーティストインレジデンス、ギャラリー、倉庫へと改装。ブリュワリーなども併設し、毎月イベントを開催して人を集め、地域のコミュニティハブとして機能している。
施設内には大小さまざまな空間があり、そこでは年10回ほどの個展を開催したり、西野自らが“次元”をテーマに集めた作品を展示したり。さわひらきや玉山拓郎といった実力派のインスタレーション、“北杜市の先輩”小林泰彦の彫刻、米国のアーティストユニットMSHRのデジタル作品などが点在し、それらにはGASBONのコレクションもあれば、購入可能な作品もある。



