ライアン・ウェストは、主に知的財産訴訟向けの専門家証人サービスを提供する急成長企業CodexWestを創業して以来、従来型の雇用の世界を離れている。
ウェストは2020年、ユタ州ソルトレイクシティ地域に同社を設立した。コンピューターサイエンスの博士号取得を通じて学んだことを、自身のために生かしたいと考えたためだ。現在は、ソフトウェアに関する特許・著作権訴訟で原告または被告を代理する法律事務所などを顧客に、技術的なフォレンジック調査を行い、法廷で専門家証言を提供している。同社はまた、新たなアルゴリズムを開発したり技術論文を発表したりする企業向けに、ソフトウェア調査サービスも提供している。
ウェストは、このフォレンジック調査や調査業務においてAIを使用していない。彼が検証するソースコードの機密性は非常に高く、コードを精査する法律事務所のセキュリティルームに入る際には、すべての電子機器を室外に残すよう求められることも少なくない。
しかし、業務を効率的に進めるためのビジネス面ではAIを活用している。彼のお気に入りのツールには、Perplexity、Gemini、ChatGPT(チャットGPT)、Anthropic(アンソロピック)のClaude(クロード)Opusなどがある。彼は、社内規定の起草、財務・会計ワークフローの構築、および契約業者候補の特定などにAIを活用している。
同時に、多忙な時期に対応力を広げるため、複数の外部委託業者を雇っている。彼らは調査などの業務を支援し、時には顧客先でのプロジェクトに同行するため、ウェストとともに飛行機で移動する。「大規模案件に対応できるようになり、時間をかけて事業を成長させられる」とウェストは語る。
ウェストの例は、ひとり起業家やその他の小規模事業者の間でAI導入が進んでいることを示している。ただし、1人、あるいは小規模チームが成し遂げられることを広げるために彼らが使うツールや戦略は、AIだけではない。
ウェスト自身が給与支払いに利用している給与計算代行サービス大手Gustoが実施した最近の調査によると、2025年に新規に事業を立ち上げたビジネスオーナーの60%近くが起業時にAIを利用しており、プロフェッショナルサービス分野での利用率が最も高かった。「New Business Formation: The AI Advantage(新規ビジネス設立:AIの優位性)」と題された同調査によると、AIを利用した人々のうち、4分の3がビジネスアイデアの創出に、53%が管理業務や法務タスクに、51%が業務プロセスの構築にAIを活用したという。
「AIは、人々が新たなビジネスを始める方法を明らかに大きく変えつつある」とGustoのエコノミストであるアーロン・テラザスは語る。
テラザスは、AIがなければ起業しなかったと回答した人はわずか約3%にとどまったものの、50%がAIによって起業のプロセスがより安価に、そして迅速になったと回答した調査結果を指摘した。
「これは(AIに関する議論の中で)非常に見落とされがちな部分だと思う。AIは明らかに摩擦を減らし、ブレインストーミングを助け、場合によっては管理業務や法務といったタスクの遂行を支援している」とテラザスは述べた。
Gustoは今月初め、Cofounderという自社のエージェンティックAIパートナーを発表した。給与計算の自動実行、休暇申請の承認、コンプライアンス期限のリマインダー送信などの業務を処理でき、SMS、Slack、その他のプラットフォームを通じて利用できる。Gustoの既存プラットフォーム上で稼働する。
小規模事業において、AIの利用がどの程度の優位性をもたらすのか、また誰にとってそうなのかは、まだ見極める必要がある。利用率が最も高いのはZ世代(71.4%)で、ミレニアル世代(約63.9%)、X世代(52.5%)、ベビーブーマー世代(41.7%)が続く。Gustoの2026 New Business Formation Reportに掲載された同社の別の調査では、事業立ち上げにAIを使った男性が約3分の2だったのに対し、女性は半数強にとどまり、ジェンダー格差があることも明らかになった。
また、小規模ビジネス分野における採用活動への影響も未知数だ。AIが人々の雇用を奪うという懸念が多く聞かれる中、Gustoのデータは異なるストーリーを示している。「AIが『採用しない』理由として挙げられることは少なかった」とテラザスは言う。「実際、翌年に採用を計画している企業の割合は、過去3年間で最高を記録した」
従来型の従業員を採用しない理由として、より多く挙げられていたのは、AI以外の生産性向上だった。Gustoの調査が指摘するように、小規模事業者がより短い時間でより多くを成し遂げるために使っているのは、AIだけではない。
外部委託業者を雇うことで対応力を広げているのは、ウェストだけではない。同社の最近の調査結果によれば、ひとり起業家の10人に4人超が、少なくとも1人の外部委託業者に報酬を支払っている。
また、AI以外の技術も多くの人々にとって重要な役割を果たしている。テラザスは「AIが生産性を変化させている現代において、それが唯一の生産性向上手段ではないという事実は忘れられがちだ」と指摘する。「レストランやバーに行き、スマートフォンでQRコードを使って注文する行為は、AIとは一切関係のない生産性の向上である」
「現実には、小規模ビジネスは、過去10年間に起きたビッグデータ、スマート化、タッチレスといった変革によるテクノロジーを今なお導入し続けている」と彼は付け加える。「これらは今でも小規模ビジネスへと浸透しつつあり、実際の業務運営に実質的な影響を与えている」



