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「作る」より「作らされている」 富山で住職に学んだ創造の哲学

富山県南砺市の大福寺本堂で開催したイベント「suzusan -BRIDGE-」にて

絞りのワークショップを体験された方は感じられたかもしれませんが、集中して絞りをしている姿を後ろから見ていると皆さんマインドフルネスの状態に映ります。

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また、どういうものが出来上がるかは、染めて糸を切って広げたときに初めて出てくるもの。そこは自然や偶然が、人間の意思より上位にあることを受け入れる、ただそれが硬くて強いものが降ってくるのではなく、優しい物に包まれる一体感となって、自我が自然のなかに溶けていくように、僕は感じます。

そういう他力、またこの土地の言葉で言えば「土徳(どとく)」という思想が気持ちよく自分のなかに広がっていきました。

お寺のある南砺の地域に車で入ると、ふっと道路沿いの看板が消えて、山々や田んぼの景色が広がり、自分を大きく出す必要がない、誇張する必要のない健やかな土地の自然観や思想に出会います。イベントが終わった後にお寺を出ると、満月と、田んぼに映る月の光とカエルの鳴き声がとても印象的でした。

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もう一つ面白かったのが、「心惹かれたものは、買うこと」というお話です。要するに、買うことで失敗もしながら目が鍛えられ、自分の好き嫌いがわかる、買うことで作った人へのリスペクトになる、さらにものづくりや歴史の一部になれる、なので頑張って買い物しなさい、と。

お坊さんが物欲を誘うのはどうなのか、と最初は驚きましたが、僕はこの考えがとてもしっくりきました。日本は作る文化が様々な地域に根付いていますが、同時に使う文化もあり、一般家庭の食卓の上にも各地の焼き物のお茶碗や小皿、味噌椀の塗り物、漆のお箸など、いつも肌に触れる場所に手仕事があります。

使うことで、文化と歴史とつながる。暮らしの中で美を見出す、ある意味で使い手のプロとしての太田さんからの言葉には、ファッションやトレンドという「消費されるもの」は一切ありません。そこに作り手である職人は使い手を想像しながら真摯にものづくりに向き合う姿勢が生まれ、作り手と使い手の静かな緊張感、一体感が生まれるのです。

「世界から日本の経済が周回遅れになり、その日本からさらに周回遅れにある奥まった場所、それがこの南砺です」と話されていた太田さん。それはこの土地を卑下しているのではなく、「そんなガラパゴス化した土地に、いま混沌とする社会の中で世界中の最先端の人たちが求める『救い』が、日本や南砺にあるんだと思うのです」というメッセージでもあります。

僕もさまざまな国や地域を巡る中でこの場所に辿り着き、まさにそうだなと感じる時間でした。ものを作ること、大切に使うことが救いになる。加速化する経済を中心に回る世界からふっと離れ、日本の地方が持つ他力のソフトパワーを感じた富山、南砺での滞在でした。

文=村瀬弘行

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