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「作る」より「作らされている」 富山で住職に学んだ創造の哲学

富山県南砺市の大福寺本堂で開催したイベント「suzusan -BRIDGE-」にて

富山県南砺市の大福寺本堂で開催したイベント「suzusan -BRIDGE-」にて

先日、日本に出張した際に富山に行きました。2016年に富山デザインセンターに招かれて以来、ちょうど10年ぶりに訪れた富山は、人と土地から多くのことを学ぶ旅でした。

実は、ここ最近ずっと富山が気になっていたのです。昨年作った和装の新しいブランド「鈴三」を一緒にディレクションしている籔谷智恵さんが富山に住んでいたり、よく会う方々からも折々耳にすることがあり、どうやら今日本で富山が熱いらしい、と。

そこで籔谷さんに頼んでイベントを企画してもらい、行く理由をつくって、出張に。しかもそのイベントは「お寺でポップアップ&住職とトーク」という、僕の意表を付く内容。僕は神社仏閣が大好きで日本に行く度にお寺や神社を訪れているのです。今回は大福寺というお寺で和装や洋服のコレクションを紹介しながら、となみ民藝協会会長でもあるお寺の太田浩史住職と対談をしました。

住職は僕より二回りほども上になるかと思うのですが、穏やかそうな方というのが第一印象。夕方過ぎに着いて「まずは何か食べましょう」ということで食事に行ったところ、生中と富山の地酒「三笑楽」を両手にお話が止まらず、僕も負けじと加わり、楽しすぎて最後は記憶がうっすら。その夜はこの南砺地域の善徳寺にあるお宿、「杜人舎」で休みました。

時差ボケのまま早朝に起きて、朝焼けをサギが飛ぶ中、6時の鐘の音を静かに眺めて、6時半からは365日毎朝開催されるというお寺での説法、朝から学びのある気持ちの良い始まりでした。

お宿に戻り静かな朝の空気の中、土地の器で土地の食べ物をいただき、その後、大福寺に移動して太田住職のお父様の代から蒐集されていらっしゃる民藝の素晴らしい品の数々をトークの前に見せていただきました。1.5日の短い滞在で太田さんからは多くのことを学ばせていただいたのですが、最も響いたのは「他力」というこの土地に根付く教えです。

創造をすることは能動的な活動と考えられているところを、「作る < 作らされている」という、いい意味で受動的なものづくりをすることで、作為のない、自然と自分の手や手元にある素材が一緒になって、無我の境地のなかで、本当に美しいものが自ずと出来上がる、ということ。これがこの土地に深い関わりのある棟方志功の芸術や、柳宗悦の民藝思想と結び付いたということでした。

最近自分のなかで感じていたことが、この土地で輪郭が出てより深く、形あって触れられる言葉として理解できたような気がしました。絞りや染めはコントロールできない力が強く、それは一期一会の色や形で、デザインというより、むしろ「現象」に近いと常々感じています。作為はあれど、できないことの方が多く、その中に身を置くと、自我は自ずと薄れていくように感じることがよくあります。

そのなかにあって、自分の手は作らされている、という感覚になり、それは南無阿弥陀仏と唱えている状態に、もしかしたら近いのかもしれません。

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文=村瀬弘行

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