今月はじめ、ブルゴーニュ地方を車で走っていたとき、道路脇に「起業家の庭(entrepreneurial garden)」と書かれた看板を目にした。この地域は、フランスの経済学者ジャン=バティスト・セイ(1767〜1832年)が「entrepreneur(起業家)」という言葉を広めた場所から、およそ150キロメートルほどしか離れていない。フランス語の「間(entre)」と「取る(prendre)」に由来する言葉だ。つまりこの庭は、起業家精神の発祥の地のすぐ近くにあったといえる。
セイは、起業家が供給を生み出し、その供給が需要を喚起するという「セイの法則」で知られる。起業家は市場を待たない。自ら作り出すのだ。セイの時代から、この言葉は長い旅路をたどってきた。そして起業家自身もまた進化してきた。過去2世紀の間に、その定義は4つの明確な世代を経て変遷し、それぞれの時代の経済的な力によって形作られてきた。
起業家1.0:マーケットメイカー(1800年代)
初代の起業家は、本質的にセールスマンだった。買い手と売り手の間に身を置き、本来なら成立しなかった取引を可能にする存在だ。果物屋を想像してみてほしい。オレンジを卸値の1個20セントで仕入れ、街角のスタンドで1ドル(約1万未満円)に値付けして売り、諸経費と税金を差し引いた差額を懐に入れる。ほら、あなたも起業家だ。シンプルで、取引ベースで、そして息の長い形態である。
1980年代までに、リー・アイアコッカのような豪腕CEOたちが、マーケットメイカーをグローバル規模へと押し上げた。自伝を書き、それをただ『Iacocca』と題するほど自信に満ちた男である。マーケットメイカーは1世紀以上にわたって起業家精神を支配し、多くの点で今もそうあり続けている。
起業家2.0:インベンター(1980年代)
マーケットメイカーは、シリコンバレーがルールを書き換えるまで、その座を守り続けた。1970年代までに、巨大コングロマリットは畜産からプラスチックまであらゆるものを網羅する帝国を築き上げていた。そこにシリコンチップが登場した。彼らは、それが来るとは予想もしていなかった。ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授は後にこの現象に「破壊的イノベーション」という学術的な名前を与えたが、スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツはすでにそれを実践していた。彼らは単にテクノロジーを発明したのではない。他者の発明を軸にビジネスを構築し、技術ができることと、世界がまだそれを必要としていると気づいていないこととの狭間に、自らを正面から差し込んだのである。こうしてインベンター型の起業家が誕生した。未来を手にするために現在を破壊する者たちである。
起業家3.0:リーダー(1990年代)
1990年代を通じて起業のペースが加速するにつれ、新たな課題が浮上した。ビジネスを築くことは、もはや最高の製品を持っていることや、鋭い市場感覚を備えていることだけではなくなった。給料や業務リスト以上のものを雇用主に期待する人々を集め、彼らを鼓舞することが問われる時代となったのだ。経済は工業型から知識型へと移行しつつあった。ナレッジワーカーは意味、自律性、そしてビジョンを求めた。フリードリヒ・ハイエクは数十年前に、資本主義は見知らぬ者同士の協力によって成り立つと書いていたが、それが企業内で実際にどう機能するかを起業家たちに示すには、実践者にして著述家でもある新世代の登場を待たなければならなかった。トニー・シェイ(『ザッポス伝説』)、ジャック・スタック(『The Great Game of Business』)、ジーノ・ウィックマン(『トラクション』)は、リーダーが従うことのできる実践的な道筋を作り上げ、それが膨大な価値創造へとつながった。
起業家4.0:キャピタリスト(2015年〜現在)
ここからが興味深い。そして、ほとんどの経営者が危険なほど取り残されている領域だ。
過去10年、プライベート市場では静かながらも地殻変動級の変化が起きた。プライベートエクイティ(PE)ファームの数は、1982年のおよそ25社から、今日では1万5000社以上へと爆発的に増加した。これらのファームは、公開市場を上回るリターンを渇望する機関投資家から集められた数兆ドルを運用している。長らく彼らはEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が2500万ドル(約40億6000万円)以上の大企業に焦点を絞っていた。次にEBITDA 500万ドル(約8億1200万円)規模の企業へと移った。そして今、PEは、EBITDA 200万ドル(約3億2500万円)規模の企業、いわゆる「ローワー・ミドルマーケット」の下限に照準を定めている。
これは決定的な瞬間だ。そして、その規模帯にいる経営者の大半は、それが起きていることに気づいていない。
その影響は計り知れない。プライベートエクイティがあなたの市場に参入すると、資本、規律、統合、そしてこれまで経験したことのない競争がもたらされる。こうした資本の配分者たちは、すでに複数の産業を再編し、競合を買収でまとめ上げ、時には失敗に終わった取引や不満を抱くオーナーたちを後に残してきた。しかし彼らが歩みを緩めることはない。背後にある資金はあまりに大きく、リターンはあまりに魅力的だからだ。
この時代に繁栄する起業家は、ビジネスの運営方法だけでなく、資本の仕組みを理解する者たちである。プライベートエクイティがどう考え、企業がどう評価され、何が事業を「投資可能」にし、そして時が来たときに取引に向けて自らをどう位置づけるべきかを理解する必要がある。
私の友人スティーブン・ウィルキンソンは見事に言い表した。経営者が「創業者に優しい資本」を引き寄せる最良の方法は、「資本に優しい創業者」になることだ、と。
あるいは、ジャン=バティスト・セイならこう言うかもしれない。資本が求めるものと、あなたの会社が向かおうとしているものの間に自らの居場所を見つけ、そこを取れ、と。
キャピタリスト型の起業家は、単に事業を築いているのではない。資産を築いているのだ。今日の市場において、その違いこそがすべてである。
あなたが現代のキャピタリスト起業家を思い浮かべるとき、誰が心をとらえるだろうか。私はこの1年、キュービクル勤めのサラリーマンから起業家の名手へと駆け上がるある経営者の物語を、フィクションとして書き上げてきた。タイトルは『Swimming Lessons for Clayton』だ。抜粋はこちらから。



