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キャリア

2026.07.12 08:00

AIに仕事を奪われるより深刻な「職業アイデンティティ崩壊」を防ぐには

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私はこれまで何千人ものリーダーにインタビューする機会に恵まれたが、「私は問題を解決する人間です」と自己紹介した人はほとんどいなかった。代わりに、彼らは職業で自分を定義していた。人は自分が仕事をうまくこなせる強みよりも「何をしているか」に自分のアイデンティティを結び付けることが多い。私が米ニューヨーク大学の心理学者ジェイ・ヴァン・バヴェルにインタビューした際、バヴェルはアイデンティティが私たちの思考や行動にどれほど深く影響を及ぼしているかを説明してくれた。その後、元NFL選手のアンソニー・トラックスが私の番組に出演したとき、トラックスは人生における大きな転機によって1つの役割で自分を定義するのではなく、アイデンティティを再考することを余儀なくされたと語ってくれた。

もしアイデンティティが私たちの思考や行動を形作るのであれば、多くの人が自らのアイデンティティの基盤としてきた職業を人工知能(AI)が変え始めたとき、何が起こるのだろうか。AIはこれまでのどの技術よりも職業と自分の存在の区別を揺るがす可能性がある。この2つを強く結び付ければ結びつけるほど、AIがもたらす変化はより破壊的に感じられるだろう。もしあなたの職業があなたのアイデンティティの一部になっているなら、かつてあなたの専門性を象徴していた仕事の多くをAIがこなし始めたとき、何が起きるのだろうか。おそらくこの問いは今後10年間で仕事に関する最も重要な議論の1つになるだろう。

AIが職業アイデンティティを揺るがしている理由

これまでに起こった大きな技術革新はいずれも人々の働き方を変えてきた。だがAIは少し違う。多くのプロフェッショナルが長年の教育や経験、専門知識があってこそできると考えていた仕事を担い始めているからだ。たとえAIがあなたの役割を完全に代替しなかったとしても、自分の価値は一体どこにあるのかと自問させられるほど日々の業務を変えてしまうかもしれない。

この問いは給料の問題をはるかに超えてあなたのアイデンティティに関わるものだ。ほとんどの人は何十年もかけて専門性を築く。学位や資格を取得し、長時間働き、職業人としての評価を徐々に積み上げる。その過程で自分の職業とアイデンティティを混同してしまいがちになる。あなたはもはや単に法律を実務として扱う人、学生を教える人、プロジェクトを管理する人、ソフトウェアを書く人ではなくなる。あなたは「弁護士」「教授」「プロジェクトマネジャー」「プログラマー」になるのだ。職業は自分を説明する方法の一部となり、自身の成功を測る尺度にもなる。

AIをめぐる議論がすぐに感情的なものになりやすいのはこのためだ。今シーズンの卒業式でAIについて言及した講演者に対して学生たちがブーイングを浴びせたのには理由がある。多くの学生は何年もかけて社会人として歩む準備をしてきたが、突然キャリアがそれほど確かなものではなくなったように感じている。彼らは懸命に努力して得た教育の価値について不安を抱き、おそらく何年もかけて築き上げてきた自分のアイデンティティが将来も同様の意味を持ち続けるのかどうか疑問に思っていたのだろう。AIに期待を寄せる人でさえ「AIが自分の仕事の一部をこなせるなら、自分の価値はどこにあるのか」「誰もが同じテクノロジーを使えるなら、差別化を図れるものは何なのか」といった、自分でも予想していなかった疑問を抱くことがある。

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翻訳=溝口慈子

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