毎年、カンヌライオンズが終わると、私たちは丸1週間オフィスを閉じる。会議もない。メールもない。期待もない。連絡を入れなければというプレッシャーもない。ただ、余白があるだけだ。
その時間の使い方は人それぞれだ。旅に出る人もいれば、ひたすら眠る人もいる。家族と過ごす人もいれば、枕元に積まれたままだった本をようやく手に取る人もいる。何もしないで過ごす人もいる。そして、それこそがまさに狙いなのだ。
長年にわたり、私たちは「ハッスルカルチャー」を称賛してきた。長時間労働、詰め込まれたスケジュール、常時対応できる姿勢を評価してきた。疲労困憊を勲章のように誇ってきた。だが、いつの間にか私たちは「忙しいこと」と「生産的であること」を取り違えてしまった。
実のところ、人間は機械ではない。人は、1年365日フル稼働できるようには設計されていない。集中した努力の期間の後には、回復の期間が必要だ。アスリートはそれを理解している。一流のパフォーマーもそれを理解している。それなのに、ビジネスの世界では、持続的な成功に不可欠な要素の1つである「休息」がしばしば軽視されている。
職場のウェルネスをめぐる議論は、これまで福利厚生、プログラム、特典に焦点が当てられてきた。それらも重要ではあるが、多くの場合、原因ではなく症状に対処しているにすぎない。本当の問題は、多くの人が「立ち止まる許可」を得られていると感じられないことにある。有給休暇制度があっても、従業員は往々にして仕事に遅れることを心配する。ビーチからメールに返信する。夕食中にメッセージを確認する。休暇から戻ったときには、出発前より疲れ果てているという事態も珍しくない。
組織全体で一斉に業務を停止すれば、この構図は根本から変わる。全員が休んでいれば、全員が本当の意味で仕事から離れられる。重要な会議を逃す恐れもない。溜まっていく受信トレイへの不安もない。自分抜きで仕事が進んでしまうという心配もない。その結果として得られるのは、常時稼働の現代においてますます希少になっているもの、すなわち本物の回復である。そして回復は、生産性の対極にあるものではない。生産性を可能にするものなのだ。
1週間の業務停止はすべての組織にとって現実的とは限らないが、その根底にある原則は普遍的だ。回復こそがパフォーマンスを高める。研究は一貫して、休息が創造性、意思決定、問題解決、そして総合的なパフォーマンスを向上させることを示している。最高のアイデアは、仕事を無理に押し進めているときではなく、仕事から離れているときに生まれることが多い。シャワーを浴びているとき、散歩をしているとき、休暇中に突然ひらめきを得た経験のある人なら、直感的にわかるだろう。余白は視点を生む。視点は創造性を育む。創造性はイノベーションを生む。
リーダーとして、私たちはチームが最高のパフォーマンスを発揮するためにどうすればよいかを問い続けている。テクノロジー、トレーニング、戦略に投資する。効率性や競争優位を追い求める。しかし、最も効果的な投資の1つは、実は最もシンプルなものでもある。それは、社員に充電するための時間と許可を与えることだ。
だからこそ私は、ウェルネスは特典ではなく、パフォーマンス戦略だと考えるようになった。リーダーシップの未来は、より少ないリソースでより多くを求めることではない。人々が最高のエネルギー、創造性、そして人間性を、最も重要な仕事に注げるように支えることだ。なぜなら、最強のチームとは決して止まらないチームではなく、いつ立ち止まり、回復し、より強くなって戻るべきかを知っているチームだからだ。
カンヌ後の1週間は、仕事から距離を置くためのものではない。仕事を成り立たせている人々への投資なのだ。その実践方法は組織ごとに異なるだろう。しかし、回復がパフォーマンスに不可欠だと認識しているリーダーは、疲弊を勲章として扱い続けるリーダーよりも優位に立つ。そしてそれは、企業が下せる最も健全で、最も生産的なビジネス判断の1つになるかもしれない。



