「第二に、応募が殺到する大企業の事務職ばかりを狙うのはやめ、求人が増えている一方で応募者が減っている、製造業やホスピタリティ業界などの需要の高いフロントライン(現場)部門に目を向けてみてください。そこではスキルを身につけ、より早く昇進することができ、その初期の勢いを次にやりたいことへの足がかりにすることができます」
筆者も、今日選んだキャリアが一生の選択になるわけではないと同感だ。さらに、今培うソフトスキルやプロフェッショナルとしてのスキルは、どのような業界や職務でも役立つ。それらは結局のところ、あなたを人間たらしめるスキルであり、AIには決して真似できないものだからだ。
AIは人間の代わりにはならない
Z世代の求職者にとって不利に傾いている労働市場も、近いうちに自分たちに有利な方向へと戻る可能性がある。「私の直感では、現在のAI導入は『とにかく撃ち、それから照準を合わせる』ような拙速なアプローチです」とコットンは言う。「企業はAIがコストを削減しつつ効率を高めることに期待しています。理論上はこれがAIの真の価値ですが、Forbesの記事でも指摘されているように、マサチューセッツ工科大学(MIT)などの共同調査では、企業のAIプロジェクトの大部分が期待通りの成果を出せていないか、PoC(概念実証)の段階にとどまっていることが示されています」
コットンは最近のデータに基づき、この揺り戻しの後、一部のエントリーレベルの仕事が市場に戻ってくると信じている。「IBMが特定のスキルを持つ人材の採用や社内リスキリングを強化しているといった動きは、近い将来に起こるであろう兆候を示しています」
エントリーレベル職に必要な戦略的計画
AIの恩恵を急いで享受しようとする中で、企業は従業員レベルでの価値創造を評価すべきだとコットンは主張する。「単に職務を削減するという性急な決定を下すのではなく、賢明な組織は、自社の価値創造チェーンにおいて、何が人間にしかできないことなのか、あるいは自動化すべきか、AIで強化すべきかを特定しようとするでしょう」
これを怠る組織は、自ら人材不足を招くことになる。これについては筆者も以前に書いた通りだ。「キャリア初期の職務は、業務を学び、実務をこなし、将来管理職として必要になる判断力を養う場所です」とコットンは言う。「そのハシゴの段を取り除いてしまうことは、リーダーシップの基盤を空洞化させる行為であり、それを『コスト削減』と呼んでいるにすぎません」
エントリーレベルの仕事は、本来「雑用」だけで定義されるべきではなかった。今日、これらの職務を再設計する必要性はかつてないほど高まっている。もし自社の人材戦略に、エントリーレベルの従業員からなる社内パイプラインが含まれていないのであれば、今こそそれを変える時である。


