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AI

2026.07.08 17:25

AI時代のインフラ戦略、クラウドファーストを超えて求められるもの

stock.adobe.com

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長年にわたり、「クラウドファースト」は企業のモダナイゼーションにおける標準的な設計図であり、コスト削減、柔軟性の向上、そして実質的に無制限の拡張性を約束するものとされてきた。しかし、EYの調査によると、65%の組織がクラウドに戦略的投資を行っている一方で、期待していたビジネス成果を達成していると答えた組織は32%にとどまる。多くの組織にとって、このギャップは、従来のクラウドに関する前提と、AIがもたらすインフラ、ガバナンス、データ要件との間に広がるミスマッチを示している。AIがインフラに新たな要求を突きつけるなか、ビジネスリーダーは、クラウドに移行すべきかどうかという単純な問いよりも切迫した課題に直面している。AI主導の世界において、従来型のクラウドファースト戦略はなお目的にかなっているのか、という問いである。

多くの組織は当初、コストと柔軟性を求めてクラウドへ移行した。しかし、スピード、データグラビティ、規制当局の監視によって特徴づけられるAI主導の世界では、それだけでは不十分である。同時に、GPU不足や、ハイパースケーラーのインフラが米国に集中していることにより、企業はもはや単一のクラウドプロバイダーがあらゆる運用上または戦略上のニーズを満たしてくれると想定できなくなっている。こうした力学により、組織はクラウド、オンプレミス、ハイブリッド環境にまたがるワークロード配置について、はるかに意図的であることを迫られている。問題はますます、組織がクラウドへ移行したかどうかではなく、そのインフラ戦略がAIの実際の動作と合致しているかどうかになっている。

AIは「優れた」クラウドアーキテクチャの姿を変える

従来のクラウド環境は、予測可能な企業需要を前提に設計されていた。AIワークロードは、多くの従来型エンタープライズアプリケーションよりも予測が難しく、計算負荷が高く、レイテンシーに敏感である。その結果、かつてはモダンとみなされていたクラウドアーキテクチャが、いまでは運用上のボトルネックとなり、パフォーマンスを制約し、モデルのトレーニングを遅らせている。

モダナイゼーションへの圧力は、常に企業のテクノロジー戦略を作り変えてきた。AIにおいては、それはインフラが大規模な導入をどう支えるかを再考することに帰着する。シニアビジネスリーダーの85%という驚くべき割合が、自社の既存テクノロジーインフラではAIを支えられないことを懸念しており、組織は画一的なクラウドモデルから、特定のワークロードやビジネスニーズに合わせた環境へと向かっている。

さらに、この変化によって、長年続いてきたパブリッククラウドのアプローチも試練にさらされている。Cloudianの2026年の調査によれば、企業の79%がすでにAIワークロードをパブリッククラウドから移行したと回答し、73%が今後2年以内に追加のワークロードをオンプレミスまたはハイブリッドインフラへ移す計画だとしている。AI導入が進むにつれ、インフラに関する意思決定は、データがどこに存在し、どれだけ迅速にアクセスおよび処理できるかと密接に結びつくようになっている。ただし、リーダーにとってのリスクは、ある厳格なアプローチを別の厳格なアプローチに置き換えてしまうことだ。リパトリエーションは万能の解決策ではない。組織がパフォーマンスや柔軟性に対するより大きなコントロールを得る助けにはなるが、コスト、人材、統合、コンプライアンスをめぐる複雑性を新たに生む可能性もある。

結局のところ、これはリーダーがクラウド戦略から後退すべきだというサインではない。狙いは、ビジネスとガバナンスの優先事項を満たす、意図的なワークロード戦略を構築することにある。しかし、より大きな問題は、多くの組織がなおAIをインフラとガバナンスの課題ではなく、スケーリングの課題として捉えていることだ。実際には、AIの成功は、企業が単にクラウド容量を拡大するのではなく、コンピュート、データアクセス、ガバナンス、運用上のコントロールを整合させられるかどうかに、ますます左右されている。

クラウド、データ、ガバナンスをもはや別々の戦略にできない理由

組織がAI時代に向けてインフラを見直すなか、リーダーは、強固なデータおよびガバナンスポリシーを伴わずに拡張すれば、実行の分断やリスク露出の拡大といった連鎖的な課題が生じることにすぐ気づく。

EYグローバル・バイスチェア、クライアントテクノロジー担当のメアリー・エリザベス・ポレイ氏は、組織はAIが企業の運用要件を根本的に変える度合いを過小評価していると考えている。彼女はこう説明する。「AIは単なる新たなアプリケーションではない。AIは組織に対し、クラウド戦略を単なるテクノロジー上の意思決定ではなく、ビジネスコントロール上の課題として再考することを迫っている。成功する企業は、可視性、ガバナンス、信頼を見失うことなく、AIを効果的に拡張できる企業だ」

AI導入が多くの組織が関連リスクを管理できる速度を上回って加速するなか、こうした協調的な監督の必要性は一段と差し迫ったものになっている。EYの調査では、リーダーの78%が、自組織のAI導入はAIに関連するビジネスリスクを効果的に管理する能力を上回るペースで進んでいると答えている。AIリスクを効果的に管理するには、組織はどのようなAIシステムが存在し、それらがどのデータに依存し、より広範なビジネスシステムやワークフローとどう相互作用しているかを追跡できなければならない。経営層もそれに同意している。筆者の会社であるProsper Insights & Analyticsの最近の調査によれば、経営幹部および事業主の32%が、AIに関連するデータの可視性の問題を懸念しており、組織はAIが使用するデータについて、より高い透明性を必要としていると考えている。

同時に、AIが事業部門やチーム全体に民主化されるにつれ、ガバナンスの分断はさらなる運用リスクを生んでいる。より強固な連携がなければ、AIの取り組みは、サイロ化した実験、一貫性のない統制、分断されたツール群へと急速に退化してしまう恐れがある。それらは測定可能なROIをもたらせないだけでなく、組織がAIを責任ある形で監視、監査、拡張することを困難にする。AIから長期的価値を生み出す組織とは、インフラに関する意思決定を、ガバナンスおよびビジネス上の優先事項と効果的に整合させる組織であり、それらを別個の取り組みとして扱う組織ではない。

信頼、コンプライアンス、コントロールのためにAIクラウド環境を設計する

企業リーダーは、信頼、セキュリティ、コンプライアンスを、後から重ねるのではなく、最初からAIクラウドインフラに組み込んで設計しなければならないと認識し始めている。

組み込み型ガバナンスの必要性は、組織がAIアシスタントを超え、システムやワークフローを横断して行動を取れるAIエージェントへと進むにつれて、とりわけ切実になる。Prosper Insights & Analyticsの最近の調査でも、ビジネスリーダーおよび経営幹部の34%がエージェント型AIは良い考えだと答えており、それがもたらし得るガバナンス上の課題にもかかわらず、組織がより自律的なAIエージェントへ急速に向かっていることを浮き彫りにしている。

ポレイ氏はこう付け加える。「私たちは、企業内で稼働するAIエージェントの数が、従来の人による監督モデルだけでは効果的に管理できないほど急速にスケールする未来へと急速に向かっている。それはアイデンティティ管理、モニタリング、監査可能性、ポリシー実施に関する新たな要求をもたらし、インフラの見方を根本的に変える。信頼性と株主の信認を維持するためには、当初からガバナンスを組み込むことが不可欠だ」

こうしたガバナンスおよびコンプライアンス要件は、インフラに関する意思決定にますます影響を及ぼしている。例えば、組織は関与するデータの機密性に応じて、AIワークロードを異なる場所に配置する場合がある。コンテンツ生成ツールはパブリッククラウド環境で稼働する一方、財務記録、顧客データ、規制対象情報を分析するAIシステムは、データレジデンシー、監査可能性、または規制要件を満たすために、プライベートクラウドまたはハイブリッド環境に展開される可能性がある。データレジデンシー、主権、規制要件は、AIシステムがどこで稼働できるかを左右することが多い一方、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境は、可視性とガバナンスの一貫性をめぐる新たな課題を生む。その結果、信頼、コンプライアンス、コントロールは、二次的なIT上の検討事項ではなく、現代のAIクラウド環境における中核的な設計原則として浮上している。

今後12カ月:クラウド成熟度はスピードとレジリエンスで測られる

AIが組織のクラウド環境の設計と運用を作り変えるなか、クラウド成熟度は、規模だけでなく、弾力性、可用性、スピードを中心に測られるようになる。ワークロード配置、データガバナンス、インフラ戦略は今や、別々のテクノロジー施策ではなく、根本的に相互につながった意思決定である。これらの領域を効果的に連携させられる組織は、AIを責任ある形で拡張し、展開を加速し、測定可能なROIを生み出すうえで、より有利な位置に立つだろう。それができなければ、組織はAI主導の意思決定を説明、監査、または自信を持って統治することができない状況に陥る可能性がある。

AI主導の経済において、クラウド戦略はもはや単なるモダナイゼーションの問題ではない。それは、どの組織がAIを大規模に運用化でき、どの組織が後れを取るのかを左右する決定要因になりつつある。

開示事項:上記で言及した消費者心理調査は、筆者の会社であるProsper Insights & Analyticsが実施したものである。これは全米小売業協会が使用しているものと同じデータセットであり、経済ベンチマーキング用としてAmazon Web Services、Bloomberg、London Stock Exchange Groupからも利用可能である。

forbes.com 原文

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