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経営・戦略

2026.07.10 13:00

「技術の日産」が事業共創を推し進める理由──赤石CTOに「技術を紡ぐ」哲学を聞いた

日産のDNAが受け継がれるスポーツカー「フェアレディZ」のエンジンについて語る赤石CTO(右)と戸松部長(左)

日産のDNAが受け継がれるスポーツカー「フェアレディZ」のエンジンについて語る赤石CTO(右)と戸松部長(左)

企業が持つレガシー(資産)を業界の壁を越えて掛け合わせ、社会課題の解決に挑む事業共創プロジェクトに光を当てる「Forbes JAPAN Xtrepreneur (クロストレプレナー)AWARD 2026」(NTTドコモビジネス共催、経済産業省後援)。4回目を迎える今年、新たな連載企画がスタートする。本連載では、初回からアワードの審査員を務めるNTTドコモビジネス統合マーケティング部長の戸松正剛がモデレーターとなり、共創事業の現状と未来を展望する。

第1回は、日産自動車CTOの赤石永一氏を対談相手に迎えた。経営再建のさなかにあっても、外部との事業共創を推進し続ける「技術の日産」。その決断の裏には、どのような思想があるのか。英国AIスタートアップとの自動運転における協業事例などを交え、共創の実践者である戸松が、トップが持つべき「共創の思考法」を深く引き出す。


自動運転で英国AIスタートアップを選んだ理由

戸松正剛(以下、戸松):2025年12月にWayveとの協業契約締結を発表されました。自動運転の領域では世界中に多くのプレーヤーがいますが、そのなかでWayveを選ばれた理由はどこにあるのでしょうか。

赤石永一(以下、赤石):一つは、彼らが持つAI技術そのものの水準が非常に高いことです。もう一つは、その技術と我々の車づくりの組み合わせが、今後かみ合って成長していけると判断したことにあります。

技術の高さだけで相手を選んだわけではありません。我々はイギリスのWayveと組む以前から、運転支援システム「プロパイロット」を軽自動車からフラッグシップモデルまで幅広い車種に搭載してきました。自ら開発し、量産し、実際の道路で走らせてきた中で蓄積された知見があるからこそ、相手企業のエンジニアと技術的な対話が成り立ちます。

一方でWayve側から見ると、彼らは優れたAI技術を持っていますが、自分たちだけでは車を作ることができません。誰と組めば、自分たちの技術を早く、いいかたちで世の中に届けられるか。2027年度に、WayveのAIを搭載した次世代「プロパイロット」の最初のモデルを国内で発売する計画です。相手の会社の性格や成り立ちまで含めた相性は、協業において非常に重要な要素だと捉えています。

赤石:日産自動車の根底にあるのは、「人間を科学する」という考え方です。人がどう感じるか、どういう車の動きなら安心できるか。自動運転にしても、技術として走らせることが目的ではなく、乗る人が本当に安心できるかどうかを起点にしています。そのうえで、これは社会にとって価値があると確信できたら、まだ誰も手をつけていない領域であっても踏み込んでいく。我々にはそうした企業文化があります。

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