戸松:AIが自動車産業に与える変化については、どのように捉えていらっしゃいますか。
赤石:AIは開発のプロセスにも、工場でのものづくりにも、車そのものの制御にも入り始めています。最大の変化は、車が出荷された時点から進化を続けるということです。走行データから学習し、ソフトウェアの更新によって性能が進化し続けます。
ただ、そうなると従来のやり方だけでは品質を保証しきれない領域が出てきます。AIそのものの変化の速度も加速しており、技術の導入とビジネスモデルの変革を同時に進めなければ対応できません。
戸松:日本にはこれだけの技術力がありながら、国として社会実装の力が弱いという課題をずっと感じています。もはや一社だけでは完結しません。同じ方向を見ている相手と組むことの重要性が、かつてないほど高まっていると感じます。
赤石:自動車の外側にあるさまざまな領域の人たちと方向をそろえなければ、技術が社会のインフラとして定着することはありません。我々には多くの外部企業の方々と仕事をしてきた歴史があり、それは間違いなく強みです。一方、エンジニアはどうしても社内の技術課題に目が向きやすいので、外との接点を意識的に増やしていきたいと考えています。
ビジネスはタイミングです。技術は世の中のさまざまな条件とかみ合って、初めて花を開きます。過去から脈々とつながってきた技術、そして棚に置いてある技術、外にある技術、それらを紡いで未来を創っていきたいと思っています。
赤石永一(あかし・えいいち)◎1966年生まれ。1990年東京大学大学院航空宇宙工学修了、日産自動車入社。北米日産の車両開発統括、EV開発担当常務執行役員、三菱自動車との合弁会社NMKV社長を経て、2025年4月より執行役CTO。2025年6月より取締役。
戸松正剛(とまつ・せいごう)◎NTTドコモビジネス株式会社統合マーケティング部長。NTTグループ各社でマーケティング/新規事業開発に従事。米国留学(MBA)を経て、2021年に事業共創プログラム「OPEN HUB for Smart World」(現:OPEN HUB for Plural Futures)を設立、代表に就任。Forbes JAPAN Xtrepreneur AWARD 2026審査員。


