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2026.07.08 09:42

AIを使う女性は「無能」、男性は「実利的」と見なされる 職場に潜むジェンダーバイアス

stock.adobe.com

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なぜ女性は男性に比べてAI(人工知能)ツールを使う割合が25%も低いのだろうか。新たな研究は、このジェンダーギャップの原因が、主に女性のAIスキルや関心、アクセスの欠如にあるという考えを覆している。女性がAIの使用をためらうのは、職場でAIを使用する際に直面する「能力評価のペナルティ(competence penalty)」に対する合理的な反応なのだ。

女性労働者がAIを利用する際に被る能力評価ペナルティを示す最新の証拠が、Metaの元ストラテジストでCode For Good Nowの創設者であるゼフラ・チャトゥーによる2026年の研究で明らかになった。この研究では、AIの支援を得て作成された履歴書を提出した女性は、まったく同じ履歴書を提出した男性よりも、能力が低く、信頼性も低いと評価されることがわかった。評価者にとって、女性のAI使用は「能力不足」を意味し、男性のAI使用は「主体性」を意味していたのだ。

この研究は、仕事を効率的にこなすためにAIを利用する女性に対して能力評価ペナルティが科されることを示した過去の研究を補強するものだ。組織が従業員向けのデジタルスキル研修やAI導入促進のためのインセンティブに投資するだけでは、AI利用におけるジェンダーギャップは解消されないことを示している。雇用主は、AIの使用に関連するジェンダーに基づく認知バイアスにも対処しなければならない。

2026年の研究で判明した、AIを使う女性への能力評価ペナルティ

この新しい研究で、チャトゥーはマーケティング職向けのAI作成の履歴書を用意し、2026年4月にイギリスの成人1000人に候補者を評価してもらった。評価者には同一の履歴書が渡され、候補者がAIの支援を利用したことが伝えられた。履歴書の唯一の違いは候補者の氏名だった。評価者の半分にはエミリー・クラークという名前が、もう半分にはジェームズ・クラークという名前が提示された。

履歴書の内容は同一であったにもかかわらず、評価者は女性候補者によるAI支援の利用を、男性候補者よりもはるかに厳しく判定した。

AIが作成した履歴書が女性のものであるとされた場合、評価者が候補者の能力を疑問視する割合は2倍にのぼった。エミリーの履歴書を評価した1人は、「自分で履歴書すら書けないのなら、その仕事を遂行するスキルがあるのか疑問だ」と述べた。

対照的に、AIが作成した履歴書が男性のものであるとされた場合、評価者がその候補者を「主体性がある」と見なす割合は2倍になった。言い換えれば、女性のAI使用は「無能」の証拠とされ、男性がまったく同じ成果物を作るためにAIを使用することは「実践的な問題解決(プラグマティック)」と見なされたのだ。

「明らかになった評価のギャップは、専門的な評価において女性がより厳しく判定されるという、すでに十分に立証されている事実にとどまらない」とチャトゥーは言う。「AIを使用する女性が、まさにその使用を理由に、より厳しく判定されるということだ」

また、AIが作成した履歴書がジェームズではなくエミリーのものである場合、評価者が候補者の信頼性を疑う割合は22%高くなった。「男性がAIを使うとき、私たちはその努力を疑う。しかし、女性がAIを使うとき、私たちはその誠実さを疑うのだ」とチャトゥーは話す。「この違いが、AIを使用することへのリスク認識を変えてしまう」

この研究ではさらに、評価者自身がAIツールにどの程度精通しているかは、他者のAI使用を評価する際のジェンダーバイアスの解消にはつながらないことも判明した。高齢の評価者は、自身もAIを使用する可能性が高いZ世代の男性評価者よりもジェンダーバイアスが少なかった。Z世代の男性の間では、ジェームズを「強力な」候補者と評価した割合が97%だったのに対し、エミリーを「強力な」候補者と評価した割合はわずか76%であり、21パーセントポイントものジェンダーギャップが存在した。

チャトゥーは、AI使用に対するペナルティは、高齢の女性や有色人種の女性、あるいはその他の交差的なバイアスに直面している女性において、さらに大きくなる可能性があると警告している。「この研究はジェンダーという単一の変数に焦点を当てたものだ」とチャトゥーは言う。「人種、民族、年齢、社会経済的背景はすべてジェンダーと相互に作用し、さらに細分化された結果をもたらす。AIに対する評価ペナルティは、これらの側面が重なり合うことで複雑化する可能性が高い」

女性はAI能力評価ペナルティを自覚している

チャトゥーの研究は、職場でAIを使用する女性が直面する能力評価ペナルティを記録した過去の研究を裏付けている。女性はこのジェンダーバイアスに気づいており、それがAI利用率の低さに合理的に結びついているのだ。

「女性の躊躇はスキルのギャップではない。不平等な環境を正確に読み取っている結果だ」とチャトゥーは言う。「上部にある名前に基づいて同じ成果物が異なる評価を受けるのであれば、慎重になるのは論理的な反応だ」

2025年の研究では、従業員にAIツールの使用を積極的に奨励している企業においてすら、女性は職場でのAI使用に対して能力評価ペナルティに直面していることが明らかになった。

この過去の研究は、あるグローバル・テクノロジー企業が、AI導入を促す1年間のキャンペーンを行ったにもかかわらず、女性のソフトウェアエンジニアのわずか31%しかAIツールを使用していないことを発見したことから開始された。同社の幹部は、この期待外れの結果を調査するため、北京大学と香港理工大学の研究者に連絡を取った。

女性エンジニアのAI利用率が男性エンジニアよりも低い理由を評価するため、研究者らは同社のソフトウェアエンジニア1026人に、まったく同じコンピューターコードを評価するよう依頼した。エンジニア全員がまったく同じコードをレビューしたが、そのコードがAIの支援を受けて書かれたものか否か、またプログラマーが女性か男性かについて、それぞれ異なる前提条件が伝えられた。

予想通り、レビュアーたちはすべての条件下で、同一のコンピューターコードの客観的な品質を同様に評価した。しかし、コードを書いたエンジニアに対する評価は大きく異なっていた。レビュアーは、AIを使用していないとされるエンジニアと比較して、AIを使用したとされるすべてのエンジニアに能力評価ペナルティを課した。そして、AI使用に対するペナルティは、男性よりも女性に対してはるかに厳しかった。

男性のAI使用者は、AIを使用していない者に比べて能力評価が6%低かったのに対し、女性のAI使用者は、まったく同じコンピューターコードを作成したにもかかわらず、能力評価が13%低かった。自身がAIを使用していない男性の評価者が、最も深刻なジェンダーバイアスを伴う能力評価ペナルティを課した。AIを使用していない男性は、AIを使用して同じ成果物を作成した女性エンジニアを、同じくAIを使用した男性よりも26%厳しく評価した。

この研究はさらに、女性がAIを使用することで、職場における貢献度がどのように過小評価されるかを明らかにした。エンジニアとAIツールの相対的な貢献度を推定するよう求められた際、評価者は、プログラマーが男性ではなく女性であると信じた場合に、AIツールの作業割合がより大きかったと見なした。「AIの支援は、戦略的なツールの利用を示す証拠ではなく、彼女たちの力不足の『証明』として枠付けされてしまう」と研究者らは結論づけた。

同社の女性エンジニアはこのジェンダーに基づく能力評価ペナルティを自覚しており、それがAIの使用を合理的に躊躇する理由を説明していた。同社のエンジニア919人を対象とした追跡調査では、女性のほうが男性よりも、AIを使用することで管理職による自分の能力評価が下がることを懸念する割合が高かった。そして、その懸念は的中していたのだ。

企業がAI使用におけるジェンダーバイアスを軽減する方法

「AIを使うことで評価を下げるのではないかという女性の恐怖は、主観的な思い込みではない」とチャトゥーは言う。「それは測定可能であり、現実のものだ」。つまり、企業は技術的な研修やインセンティブを与えるだけでは、従業員のAI導入におけるジェンダーギャップを解消できない。雇用主はまた、女性に対して、AIの使用について公平に評価されるという確信を持たせなければならない。

「構造的バイアスは、スキル向上だけで解消できるものではない」とチャトゥーは述べる。「AI導入のギャップを埋めるということは、人々がどのようにAIを使用するかだけでなく、その使用がどのように評価されるかに対処することを意味する」

組織が職場でAIを使用する女性への能力評価ペナルティを軽減するために、3つの実践が役立つ。

1. 従業員のAI使用に関するデモグラフィックデータを収集し、理由を尋ねる

「AIの導入データがジェンダー別に分類されていなければ、ギャップを把握することはできず、対処することも不可能だ」とチャトゥーは言う。「測定を開始することだ」。AIの使用指標は、人種や年齢、その他の能力に対するバイアスを引き起こすステータス別にも細分化することができる。

AIの導入データを収集することは重要なステップだが、雇用主は利用率の格差の原因について思い込みを持つことも避けなければならない。匿名アンケートを活用することで、能力評価ペナルティへの懸念が、特定の労働者の間でAI利用率の低さにどの程度影響しているかを特定するのに役立つ。

2. AI使用者本人ではなく、成果物を評価する

AIの支援を受けた仕事を評価する際に、ジェンダーに基づく能力バイアスを軽減するための効果的な方法は、「ブラインド・レビュー」プロセスを利用することだ。このアプローチにより、評価者は評価対象の成果物をどの従業員が作成したかを知ることができなくなる。ジェンダーやその他のバイアスを引き起こす可能性のある個人的な特定情報を排除することで、AI使用をめぐる公平で一貫した業績評価を強化できる。

ブラインド・レビュープロセスの実施が不可能な場合でも、評価者に対して、労働者自身を評価するのではなく成果物を評価するよう指示することで、バイアスを軽減できる可能性がある。AIが支援したコンピューターコードに関する2025年の研究では、評価者はプログラマーのジェンダーにかかわらず、同一のコードの品質を同様に正確に評価した。AIを利用する女性に対するバイアスは、評価者がプログラマーの能力や貢献度を評価するよう求められたときに初めて現れた。

この知見は、AIツールを使用した労働者の資質を評価するのではなく、AIを活用した成果物の品質を評価するように管理職を訓練することの重要性を示唆している。

3. 客観的な評価指標を用いる

ジェンダーバイアスは、評価者が能力、強み、あるいは信頼性といった主観的な評価基準を用いる場合に発生しやすくなる。雇用主は、採用評価を実際の業務に必要な特定のスキルに基づいて行い、人事評価は生産性や従業員の成果物の品質に関する客観的な測定値に基づいて行うべきだ。

これら3つの実践は、組織がAIを使用する女性に対する能力評価ペナルティを軽減するだけでなく、ステレオタイプが職場の評価を歪めかねないあらゆる文脈において公平性を促進するのに役立つ。従業員のAI使用を公平に評価することを保証すれば、従業員のAIツールの導入もさらに促進されるだろう。

forbes.com 原文

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