5月19日、グーグル(Google)は、25年以上にわたり比較的安定していた検索の仕組みの転換を発表した。これは、我々のような代理店が何カ月も前からクライアントに伝えてきた「グーグルは現在、AIエンジンである」という事実を裏付けるものだ。見慣れた検索窓からAIモードへと、オンライン検索のあり方は変化した。
何が具体的に変わったのか?
「AIモード」と「AI Overviews(AIによる概要)」がグーグル検索にさらに深く統合され、ユーザー体験は従来の検索結果の上に構築された、リンクのリストから要約された回答レイヤーへと移行した。
最も目に見える変化は、やはり検索窓だ。何十年もの間ほとんど変わらなかったが、グーグルはいまやユーザーを新たなAI主導機能へ直接誘導している。単なるオートコンプリート(自動補完)候補にとどまらず、ユーザーにはGeminiモデルへのアクセス、画像や文書のアップロード、ChatGPTを彷彿とさせる会話型プロンプトへの導線が提示されるようになった。それだけではない。グーグルは現在、短いキーワードベースの検索ではなく、長文の対話型クエリ(検索質問)を積極的に推奨している。検索エンジンは、これまでにない形でユーザー行動に適応しているのだ。
見落とされているかもしれないその他の変化
検索のアップデートと並行して、グーグルは米国におけるAIモードの利用実態に関するインサイトも共有した。現在、音声検索と画像検索が検索全体の6分の1以上を占めており、画像検索は前月比で40%以上増加している。より対話的な検索への移行も明らかになっており、AIモードでの平均検索クエリの長さは従来の検索クエリの3倍に達している。おそらく最も興味深いのは、過去6カ月間で「計画に関連するクエリ」が80%増加したという報告だ。
つまり、多くの人々は単に疑問に答えてもらうためにAIモードを使っているのではなく、特定の成果を達成するために使っているのだ。彼らは、かつてなら人に尋ねていたような、本物の質問を投げかけている。これらは、複数の段階や、考慮すべき複数の制約条件を伴うクエリである。旅行先に関する個別の質問(例:「パリを訪れるのに最適な時期」「パリのおすすめホテル」「ピガール近くのおすすめレストラン」)をする代わりに、人々はAIモードを使って旅行全体の計画を立てている。そのクエリは、例えば次のようなものだ。「予算は2,000ドル(約32万円)、7月か8月なら時間が取れる、アートが好き。パリを訪れる1週間の計画を立ててほしい」
これらの変化はブランドにとって何を意味するのか?
現在、ユーザーのカスタマージャーニー全体が検索エンジン内で完結するようになりつつある。スパークトロ(SparkToro)による2024年の調査では、米国におけるグーグル検索全体の58.5%がゼロクリック検索(ウェブサイトに遷移しない検索)であったことがわかっている。グーグルの検索革命により、この割合は今後さらに上昇する可能性が高い。
このシフトはユーザーの利便性を高めるために設計されたものだが、マーケターにとっては状況をはるかに困難にする可能性がある。AIエージェントが自社サイトからユーザーとのインタラクション(相互作用)を奪い、検索エンジン内で一元化するようになると、これまでのユーザーデータの追跡・分析方法は通用しなくなる。ウェブサイトのセッション数やUTMパラメータ、明確なクリック経路に依存することはもはやできず、現在のアトリビューションモデルの大部分は時代遅れのものとなる。
どう対応すべきなのか?
グーグルの全面刷新は、カスタマージャーニーの捉え方、オンラインでのブランドプレゼンスの構築、そして成功の測定方法における新たな局面を意味しているが、検索の基本は変わっていない。グーグルは今でも、顧客を理解し、他者から信頼されている質の高いブランドを重視している。ただ、進化するユーザーの期待や行動に対応するため、より洗練されたシグナルを開発したにすぎないのだ。
適応を始めるためのいくつかの方法を以下に紹介する。
オーガニック、有料広告、AI検索の戦略を統合する
オーガニック検索、有料広告、AI検索を別個のチャネルとして議論するのをやめるべきだ。露出(ビジビリティ)はチャネルの縦割りから統合されたシステムへとシフトしている。AIは複数のソースから情報を合成するため、PR(広報)、SEO、ペイドメディア(有料広告)、コンテンツはすべて、その根底にある同じエンティティ(実体)シグナルに供給されることになる。
掲載順位へのこだわりを捨て、ブランドの「エンティティ」を最適化する
露出の対象はウェブページからエンティティへとシフトしているため、ブランド、製品、経営陣、拠点は、ウェブ全体で一貫したシグナルを発信する必要がある。AIは特定の検索順位の高いURLを1つだけ選ぶのではなく、複数のソースから情報を引き出し、合成して、ブランドを包括的に理解するからだ。
AI検索とGEOを切り離さず、組み込む
AI検索のための独立した戦略というものは存在しない。AEO(回答エンジン最適化)やGEO(生成AIエンジン最適化)は、本質的にはAIのインターフェースに適用されたSEOにすぎない。グーグルは依然として、ユーザーに役立つ、構造化された、信頼性の高いコンテンツを評価するが、現在は情報の明確さと抽出のしやすさをより重視している。
クリック数ではなく、因果関係による「成果」の測定を始める
AI検索やゼロクリック検索の環境下では、ユーザーはサイトを訪問しなくても影響を受ける可能性がある。クリック率やセッション数だけでは、もはや全体像を把握することはできない。代わりに、ブランドリフト効果、インクリメンタル(増分)コンバージョン、地域別実験、間接コンバージョンなどに焦点を当てるべきだ。
対話の全プロセスにおいて、ブランドを存在させる
検索は計画や意思決定のインターフェースへと変わりつつある。ユーザーはもはや単に質問をしているのではなく、検索の中で課題全体を解決しようとしている。そのため、ブログコンテンツで個別のクエリに答えるだけでは不十分だ。比較検討クエリ、制約条件付きクエリ、推奨主導クエリにおいて、自社ブランドが確実に表示されるようにし、ユーザーの意思決定を支援する必要がある。
グーグルがユーザーをプラットフォーム内に留めるように適応した以上、もはや単一のウェブページや検索順位に依存することはできない。複雑な計画プロセスの全体にわたってブランドが存在できるよう、オンライン上のフットプリントを最適化する必要がある。単一の質問に答えるだけでなく、後続のプロンプト、比較、絞り込みの段階でも一貫して自社ブランドが表示されるようにしなければならない。
今回のアップデートは、技術的な変化をはるかに超えている。行動の変化である。検索は、ユーザーが情報を見つけるのを助けるシステムから、意思決定を助けるシステムへと移行している。問うべきことはもはや「どうすれば順位を上げられるか」だけではない。「意思決定が行われている間、どうすれば存在し続けられるか」である。私たちは皆、いまこそもっと注意を払うべき時だ。



