誤った記憶と監視に備え、ロボットの記憶を管理する
すべてのAI(人工知能)および機械学習ソリューションと同様に、信頼とプライバシーは主要な懸念事項として残る。信頼に関しては、カメラがオブジェクトを誤認識したり、視覚モデルが金属製カートを医療用カートと記述したり、ロボットが部屋の一部しか見えていなかったりすることがある。これらの誤りが記憶に蓄積されると、システムは誤った情報を正しいと確信し、時間の経過とともにその間違いを繰り返すようになってしまう。
研究者らはすでにこの問題に取り組んでいる。新たに投稿された「UQ-DAAAM」という論文を含む追加の研究では、ロボットの記憶に不確実性を組み込む。保存されたオブジェクトの説明が信頼できない可能性がある場合にシステムがフラグを立て、より良い視点から再確認できるようにしている。
プライバシーやデータガバナンスの問題につながる、家庭・病院・職場の記録
永続的な記憶はもう1つの問題をもたらす。監視である。オブジェクトを記憶するロボットは、人や日常の習慣、機微な空間も記憶する可能性がある。家庭では、本来は私的なままにしておくべき家族の習慣を意味しかねない。これは、ロボットが患者の動きを記憶する可能性がある病院や、従業員の行動を記憶する可能性があるオフィスといった環境でも懸念事項となる。これにより、ロボットの記憶は単なるエンジニアリング上の課題ではなく、データガバナンスの問題へと変わる。
市場にはガードレールが必要になる。一部の記憶には期限を設け、一部の空間は記憶の対象外にすべきだ。法人顧客は、カメラ、アクセスログ、職場分析で使われるものと同様の管理機能を求めるだろう。
これはまた、スタートアップやテクノロジー企業に追加の機会をもたらす可能性がある。ロボットの記憶には、ストレージ、検索、権限管理、セキュリティ、圧縮、監査ログ、開発者ツールが必要になる。言い換えれば、このカテゴリーはロボット・ハードウェア企業というよりも、動く機械のためのインフラソフトウェアに近いものになるかもしれない。
ロボティクスは実用段階へ、DAAAMはまだ研究段階
ロボティクス業界は実用フェーズに入りつつある。問われるのは、単に作業をこなせるかではない。完璧ではない人間、変化するレイアウト、不完全な指示が存在する現実の環境で働けるかどうかへと、焦点が移っている。記憶を持つロボットは、建物を知り、何が変わったかを覚え、どの詳細が重要かを学ぶ同僚になり得る。
MITのDAAAMはまだ研究段階にある。完成した製品やプラットフォームでもなく、テクノロジー企業が自社のロボット実装で試すと決めた段階にすらない。この研究は最近、コンピュータビジョン・パターン認識会議(CVPR)で発表された。論文には、カルローネに加え、筆頭著者であるMIT大学院生のニコラス・ゴルロ、元MIT研究員で現在はドイツのニュルンベルク工科大学教授であるルーカス・シュミットが名を連ねている。


