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テクノロジー

2026.07.14 15:00

ロボットに「記憶」を持たせる──ロボティクスの次なるフロンティア

stock.adobe.com

ロボットに記憶が必要な理由

例えば倉庫ロボットが、7番通路をふさぐパレットを見つけた場面を想像してほしい。パレットを1度しか見なければ、それを迂回するだけかもしれない。しかしパレットを記憶していれば、将来的にそのパレットを避けられるだけでなく、同じ7番通路が今週3回、いずれも夜勤後にふさがれていたと管理者に伝えることもできる。これにより、ロボットは単なるナビゲーションを超え、真の業務インテリジェンスを提供できるようになる。

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MITの発表によれば、「この進歩により、工場作業員はロボットの助手に対し、『昨夜組み立て始めた部品を取ってきて』と頼むだけで、そのアイテムを回収しに行かせることができるようになる」という。

発表によると、DAAAMは高度な地図表現と、「ロボットが長期間にわたって移動しながら収集する環境に関する豊富な説明」を組み合わせた新しい手法である。

4Dシーングラフが物体・場所・時間の変化を地図に結ぶ

これが空間記憶のシンプルな定義だ。つまり、機械が「モノ」「場所」「時間」を把握し続けることを意味する。DAAAMは、研究者らが「4Dシーングラフ」と呼ぶ手法でこれを実現している。分かりやすくいえば、ロボットは、ある場所にどのようなオブジェクトがあり、それがどこに位置し、その状況が時間とともにどう変化するかを把握する地図を構築するのだ。プロジェクトページによれば、このシステムは、ロボットがいつでも、どこでも、あらゆるものを記述できるようにするための記憶を構築する。

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ロボットの記憶という言葉は、実際にロボットが使われている現場を見るまでは学術的な話に聞こえるかもしれない。国際ロボット連盟(IFR)の発表によると、2024年の業務用サービスロボットの販売台数は約20万台に達し、9%増加した。輸送・物流分野がこのカテゴリーを牽引し、10万2900台が販売され、業務用サービスロボット市場の半分以上を占めた。

これらのロボットは、1日中変化し続ける環境の中を移動する。だからこそ、記憶は現実世界での自律動作をつなぐ結合組織となり、市場で存在感を強める新たな種類のフィジカルAIを支える可能性がある。こうしたSFさながらの機械には、ヒューマノイドロボットから自律型の芝刈り機や掃除機、重要なタスクをこなす大型の産業用ロボットまで含まれる。複雑な環境でこれらを機能させるために、ユーザーはエラー(例外処理)の削減、紛失する資産の減少、混乱した機械を救出するための人間の呼び出し回数の削減を求めている。記憶はこれら3つすべてに役立つ。

ロボットの脳と体に「記憶のノート」を加える

DAAAMは、ロボティクスにおけるより広範な変化に合致している。Google DeepMind(ディープマインド)の「RT-2」は、視覚言語モデルがロボットに画像、言葉、行動を結びつける手助けをし、機械が新しいオブジェクトや新しい指示によりよく対応できるようにする方法を示した

エヌビディアはヒューマノイドやその他の機械向けのロボティクスプラットフォームを構築しており、開発者が物理システム上でロボットの知能を訓練、テスト、実行できるツールを提供している

アマゾンは、触覚を使って在庫を扱うように設計されたロボット「Vulcan(バルカン)」で、自社の倉庫ロボティクスを前進させた。しかし、これらの取り組みはロボットの「脳」と「体」を扱うものだ。長期的にロボットの行動をより予測可能で有用なものにするために必要なのは、「記憶のノート」なのである。

例えば、荷物をつかめるロボットは有用だ。しかし、どの梱包タイプが1週間を通じてピッキング失敗の原因になったかを記憶するロボットは、プロセス改善に役立つかもしれない。記憶は、孤立したロボットの行動を職場の継続的な記録へと変える。

「ロボットが人間と並んで働き、人間とよりよく対話できるようにしたいのであれば、ロボットは人間と同じ言語を話さなければならない。ロボットは、人間と同じように時間と空間について推論できなければならない」。MIT航空宇宙工学科(AeroAstro)准教授で、情報意思決定システム研究所(LIDS)の主任研究員、MIT SPARKラボのディレクターであるルカ・カルローネはそう述べている。

次ページ > 誤った記憶と監視に備え、ロボットの記憶を管理する

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