ウクライナ南部ヘルソン市で7月1日、通勤客らを乗せて市中心部を走っていた民間のミニバスがロシア軍のFPV(一人称視点)ドローンに攻撃され、乗客2人が死亡、9人が負傷した。この攻撃は、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が「民間人を狙ったサファリのような狩り」と表現するものの最新事例だった。これは単発の事案ではなく広範な戦略の一環で行われているものであり、それに基づく攻撃はウクライナの前線地域の様相を変えつつある。
ロシア軍は現在、FPVドローンや砲撃、滑空爆弾、遠隔散布式の対人地雷を組み合わせて、前線地域のコミュニティーを居住不可能な状態にするための組織的な作戦を展開している。通常の砲爆撃にとどまらず、現地の交通網や救急サービス、人道支援活動、商業活動を妨害することで、民間人を退去せざるを得ない状況に追い込む狙いだ。
ヘルソン州軍行政府のオレクサンドル・トロコンニコウ副長官は5月、ロシア軍による同州へのドローン攻撃が1年前の週約2500件から現在は約5500件と2倍超に増加していると書いている。トロコンニコウによれば、ロシア軍のドローン部隊は輸送・兵站網を重点的に狙うようになっており、今年4月だけで少なくとも230台にのぼる民間車両や緊急車両が損傷するか破壊された。
こうした動向を確認しているのはウクライナ政府の報告だけではない。国連のウクライナに関する独立国際調査委員会は2025年5月、ヘルソン州での民間人を狙ったロシア軍のドローン攻撃は広範かつ組織的に行われており、人道に対する罪としての謀殺にあたるとの結論を下した。
調査官らは歩行者や自転車利用者、民間車両、救急車、救急対応要員に対する度重なる攻撃を記録し、一連の攻撃について、現地住民の間に恐怖を広め、同州からの退去を強いることを狙ったものだと断定した。
ヘルソンを拠点とする米国人ジャーナリストで、ドキュメンタリー映画『Kherson: Human Safari』の監督でもあるザリーナ・ザブリスキーは、ロシア軍の主眼はたんに目標を攻撃することから都市生活の基本的な機能を混乱させることに移っていると説明する。
「目的はその地域をドローンの包囲下に置くことにあります。物流・兵站を破壊し、移動を制限し、士気をくじくことで、大幅な人口流出を強いる狙いです」(ザブリスキー)



