L&D(学習・開発)の投資対効果(ROI)を証明するために重要な指標は何かと尋ねられたら、あなたは何を選ぶだろうか。エンゲージメントだろうか。行動変容だろうか。それともビジネスへの影響だろうか。これらは決して悪くも間違いでもないが、おそらくもっと重要な問いがある。「自分がこれから共有しようとしているデータは、自分自身の部門をどのように捉えているかを、実際にはどう物語っているのだろうか」という問いだ。
私たちがまず提示する指標は、経営陣に対し、自分たちがどれだけ影響力を持っていると考えているか、事業にどれだけ近い存在であるか、そして自らの仕事を何だと認識しているかを示すシグナルとなる。エンゲージメント数、修了率、満足度評価、ネットプロモータースコア(NPS)をリーダーたちに提示するとき、私たちが実際に見せているのはL&Dの現在の人気度に過ぎない。だが、それは事業への貢献を測る指標ではない。
経営層に対して「成功の尺度は受講者が気に入ったかどうか」だと伝えるということは、L&Dをサービス機能として位置づけていることになる。そして、いったんその認識が定着してしまうと、覆すのは極めて困難だ。
測定基準に投影されるL&Dの成熟度
提示する指標は部門の成熟度を反映し、その成熟度はこれまでに獲得してきた(あるいは獲得できていない)影響力を反映する。
最も基本的なレベルにおいて、L&Dに期待されるのは研修プログラムの運営と、出席者や修了者の記録である。それに何ら問題はないが、その理由について率直に考えることが重要だ。それは関係者が本当にそれ以上のものを求めていないからだろうか。あるいは、より価値のある取り組みを可能にするための関係性、信頼、そしてビジネスとの距離の近さを、あなたがまだ築けていないからだろうか。
成熟度の次の段階は、組織のリーダーたち、彼らを悩ませる課題、そして組織のどこに軋みが生じているかを示すデータに、より近づくことだ。彼らが「研修の実施や懸念事項への対応を任せられる信頼できる相手だ」と認識すれば、交わす会話の内容が変わってくる。例えば、マネージャーが「コミュニケーションスキルの2日間ワークショップが必要だ」といった、あらかじめパッケージ化された要望を持ってくる代わりに、「今四半期、顧客の解約率が15%急増したが原因がわからない。この問題の解決に協力してくれないか」と持ちかけてくるかもしれない。あるいは、一般的なスキル研修を依頼する代わりに、「多大なコストを伴う業務上の問題が発生している。実際の原因究明のために、内部調査に協力してほしい」と打ち明けられるかもしれない。
指示待ちの「御用聞き」から「信頼されるパートナー」への移行は、日々の会議、人間関係、そして課題解決の積み重ねによって実現する。リーダーたちと良好な関係を築き、本質的な議論に直ちに入るための優れた習慣として、相手がL&Dについて尋ねてくる前に、こちらから「最近のビジネスの状況はいかがですか」と問いかけることが挙げられる。エスカレーターやコーヒーを待つ列、会議の開始前、オンライン会議の場など、顔を合わせるあらゆる機会で実践するとよい。1カ月分の社内レポートを読むよりも、わずか5分間の会話の中に、重要なヒントが数多く隠されていることが多い。彼らの本音を汲み取り、自身の取り組みや支援方法に反映させることができれば、単なる学習の提供者を超え、ビジネスの円滑な運営を支える存在になれるだろう。
目指すべき真の姿とは
では、私たちは何を提示すべきなのか。それは状況によって異なるというのが、最も重要で誠実な答えである。
生み出している影響に関する定量的および定性的なデータを共有することは、成果を明らかにし、主要な関係者の理解を深めるのに役立つ。例えば、組織に人材定着の課題があるなら、指標は定着率に関するものであるべきだ。試用期間中の離職率が問題なのであれば、それが語るべきストーリーとなる。営業サイクルが長すぎたり、新入社員の戦力化に時間がかかりすぎたりしているなら、それらの数値をプレゼン資料に含めるべきだ。理想的には、適切な質問を投げかけ、その回答に真摯に耳を傾けることで、こうした関係者の懸念事項を把握しておくことが望ましい。
しかし、適切なデータを集めることは解決策の半分にすぎない。本当の転換点は、共に働いたリーダーたち自身がそのデータを共有できるようにサポートし、彼らをL&Dチームの強力な代弁者に変えることだ。事業部門のシニアリーダーが同僚たちの前で、L&Dとの連携によっていかに実際の問題を解決できたかを語るとき、それは非常に大きな説得力を持つ。それは単なる支持を超えた社会的証明であり、彼ら自身がその取り組みに関与した証拠となるため、彼らもまた、L&Dの成功に当事者意識を持つようになる。
私がL&Dアドバイザリーボード(諮問委員会)の設置を強く勧め、部門が注力すべき分野やリソースの優先順位を決定するプロセスに関係者を巻き込むことを推奨するのは、このためである。L&Dアドバイザリーボードとは、ビジネス目標が未達に終わったときに最も打撃を受ける、組織内で最も影響力のある意思決定者たちで構成される委員会である。彼らは定期的に(例えば四半期ごとに)集まり、パフォーマンスのギャップを検証し、最も差し迫ったニーズがどこにあるかを議論し、L&Dのリソースをどのように配分すべきかを共同で決定する。最も影響力のある経営幹部たちがロードマップの策定に関与することで、状況は一変する。
しかし、これらすべての出発点は、個々の経営幹部に対し、L&Dがより大きなインパクトをもたらす可能性を理解してもらうことだ。その上で、アドバイザリーボードを通じて、彼ら自身が抱える課題の解決に向けた意思決定と優先順位付けを行えるようにする。
あなたが語ることを選ぶストーリー
数字の裏側で、あなたが行うすべてのプレゼンテーションは政治的な行為である。意図しているかどうかにかかわらず、L&Dとは何か、どうあるべきか、そしてどのような価値があるのかを主張しているのだ。修了率を真っ先に示すとき、あなたは人気度を主張していることになる。しかし、スキルギャップの解消やビジネスへの影響を真っ先に示すとき、あなたははるかに重要なこと、すなわち組織の能力の中心に位置し、真に価値のある仕事を通じて確固たる地位を築く部門としての存在意義を主張しているのである。



