悲観論者たちが衰退すると断じていた金融街シティーでは、雇用が史上最高の水準にあり、銀行の利益も過去最高を記録している。また、世界からおよそ16兆ドル(約2600兆円)にのぼる資本を集め、世界2位の国際金融ハブの座を占めている。
金融やビジネスサービス、旅行・観光などで構成される英国のサービス部門も堅調を維持しており、EU向けサービス輸出は2015年から2025年までの間に約60%増加した。
#4 世間の声は間違っているときほど大きくなりがち
世論は移ろいやすいものだ。調査会社イプソスの最近の世論調査によると、いまでは英国民の60%近くがEUへの再加盟に賛成票を投じると回答している。また、およそ半数が、遅くとも2029年8月までに実施される次の総選挙後に新たな国民投票を行うことを支持している。
しかし、その人たちにユーロ導入や国境開放、欧州委員会による社会主義的な規制も受け入れるのかと尋ねると、賛成者の割合は下がる。
10年前、多くの人は英国が経済的自殺をしたと言い立て、リセッション(景気後退)が間近に迫っていると断言していた。だが、これは間違いだった。一部の人はいま、ブレグジットは間違いだったと、それを後悔する「ブレグレット」の声を上げている。はたして、今度は彼らの見方は間違っていないのか。
もとより、人々がどう思っているかについて、わかっているようなふりをするつもりはない。一方で、筆者がひとつ知っているのは、世論がいちばん盛り上がっているときこそ、実はトレンドの曲がり角であり、直後にそれが間違いだったことがわかるケースが少なくないということだ。
だからこそ、世間の騒ぎに流されて取引する前に、一度立ち止まって考えてみるべきだと思う。本物の投資家は、大衆とは逆の行動をとることを学ぶものだ。つまり、世間一般の人々が「根拠なく熱狂」(アラン・グリーンスパンよ、どうぞ安らかに)しているときにはやや警戒し、反対に根拠なく悲観しているときには少し前向きに機会を探る。
10年前、人々は英国について大騒ぎしていた。いまは別のことについて騒いでいる。金はそうしたことを気にしないし、読者もそうする必要はない。


