いま、プロテインパウダーがどこにでもあるように感じるだろうか。気のせいではない。従来、プロテインサプリメントはスポーツ栄養や医療栄養療法の領域で定番だったが、いまは消費者が、健康的な加齢、運動後の回復、体重管理、GLP-1の使用、減量中の筋肉量維持、更年期前後のケアといった文脈で、ウェルビーイングの支えとして利用するケースが増えている。
プロテインサプリメント全般の人気は急上昇している。Grand View Researchの最新データによると、世界のプロテインサプリメント市場は2025年に297億8000万ドル(約4兆4000億円)と評価され、2033年には632億2000万ドル(約9兆4000億円)に達する見込みで、年平均成長率(CAGR)は10.3%と予測されている。米国では、プロテインサプリメント市場は2024年に98億8000万ドル(約1兆4700億円)と評価され、2032年までCAGR 11.0%で成長すると見込まれている。バーやRTD(そのまま飲める)シェイク、高たんぱく食品が伸びているとはいえ、このカテゴリーで主流の形態は依然としてプロテインパウダーだ。
ケリ・ガンズ(MS, RDN)は管理栄養士で、『The Small Change Diet』の著者、The Keri Reportのホストでもある。彼女は「食事だけではたんぱく質が不足しがちな場合、プロテインパウダーは必要量を満たすための便利な手段になり得る。たとえばヴィーガンやベジタリアンの食習慣の人、食欲が落ちている人、運動や加齢で必要量が増えている人などだ。ただし、あくまで食事の補助であって、さまざまなたんぱく質豊富な食品を食べることの代替ではない」と話す。
サマンサ・カセッティ(MS, RD)も同意する。栄養・ウェルネスの専門家で、Sam's Plateの創設者、『Sugar Shock』の共著者だ。「プロテインパウダーは加工食品だが、特にバランスの取れた食事ができないときに、たんぱく質の目標量に到達しやすくしてくれる。食欲が低い場合や、たとえばGLP-1受容体作動薬を使っていて大きな食事がつらい場合にも役立つ」
ブランドは、アスリートだけでなく、一般的な健康、利便性、予防栄養に関心を持つより幅広い主流層を狙う傾向を強めている。とはいえ、スポーツ栄養に関心を持つ非アスリートが増えていることもあり、筋肉量、筋力、持久力を最適化して健康と長寿を支えようとする動きが、さらなる成長を後押ししている。かつては主にアスリートや、たんぱく質必要量に影響する持病のある人向けだったプロテインパウダーだが、いまの購買層は、健康を最適化するための手軽な手段を求める、活動的で忙しい人である可能性が高い。
プロテインパウダー選びで確認すべきこと
自分にとって理想的なプロテインパウダーを選ぶ際、管理栄養士はまず目的を考えるよう勧める。次のような問いを自分に投げかけてみるとよい。
- 1日のたんぱく質目標量を達成したいのか
- 取り入れたい(または自分に合わない)たんぱく源はあるか。避けたい成分はあるか
- 第三者検査や成分の透明性をどれほど重視するか
- 求めるフレーバーはあるか(あるなら何か)
- どのように使う予定か
NutritionStarringYOU.comの創設者で、『The Everything Easy Pre-Diabetes Cookbook』の著者でもあるローレン・ハリス=ピンカス(MS, RDN)は、「多くの人は食事だけで十分なたんぱく質を摂れているが、必要量が多い人にとっては、プロテインパウダーが不足分を埋める戦略的な手段になり得る」と話す。彼女によれば、特に意識的に使うことで恩恵を受けやすいのは「減量薬を使用している人、減量手術を受ける人、筋肉を増やしたい・維持したい人、高齢者」だという。たんぱく質摂取量を手早く増やしたい、活動的で忙しい人にとっても便利な選択肢になり得る。
ガンズは、まず食品からすでにどれくらいたんぱく質を摂れているか、目標達成まであとどれくらい必要かを把握するよう勧める。それが、1食当たりのたんぱく質量で製品を選ぶ際の指針になる。
また、多機能をうたう製品が多いものの、カセッティは「プロテインパウダーに何でもこなす万能さは必要ない。優れたものは1つの役割をきちんと果たす。つまり、たんぱく質を届けることだ。バランスの取れた食事をして、さまざまな食材からたんぱく質を摂り、必要なカロリーを満たしているなら、シンプルなパウダー、たとえばたんぱく源に、少量の本物の砂糖とフレーバー程度で十分で、不要な添加物を避けられる」と言う。マルチビタミンの代わりを求める必要もない、と彼女は付け加える。
プロテインパウダーには多くの利点がある一方、注意したい潜在的な欠点もいくつかある。ガンズは「最大の欠点は、プロテインパウダーに頼りすぎることで、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、ホールフードに含まれる栄養素を取りこぼす点だ。加えて、粉末によっては砂糖、糖アルコール、または胃腸の不快感を招き得る成分が含まれる場合がある。さらに品質も懸念点だ。プロテインパウダーは栄養補助食品であり、市場に出る前に安全性や有効性についてFDAの承認を受けるものではない。そのため、鉛などの重金属を含む汚染物質が混入している場合もある」と指摘する。
買い物をする際には、「1食当たりのたんぱく質量が十分で、添加糖がほとんどない(またはゼロ)、原材料表示が短く、NSF Certified for Sport、Informed Choice、USP Verifiedなどの第三者検査があるパウダーを選んでほしい」と彼女は言う。
特定の成分が自分にどう影響するか、また健康目標にどう合うかも意識することが重要だとカセッティは述べる。「結局のところ、その人の価値観と体の反応次第だ。乳製品を取り入れるか、植物性中心の食事か、何らかの過敏性があるか、といった点で変わる。たとえば、動物性・植物性いずれのプロテインパウダーも、1日を通じて十分なたんぱく質とカロリーを摂れていれば、筋肉づくりや食欲の調整を支えられる」
ハリス=ピンカスは、「プロテインパウダーに含まれる成分は大きく異なる」と説明する。ひよこ豆プロテイン、黄えんどう豆プロテイン、大豆たんぱく分離物、ホエイたんぱく分離物といった単一成分のものもあれば、ガム類、増量剤、ビタミン、ミネラル、添加糖、非栄養性甘味料、食物繊維、植物由来成分など、長い原材料リストを持つものもある。どのタイプが自分のニーズに最も合うかは、個々人が選ぶべきだという。
いま、透明性がこれまで以上に重要な理由
最近の分析では、一部のプロテインパウダーに重金属汚染の懸念があることが指摘されており、透明性と第三者検査の重要性は増している。こうした検査を製品に実施するブランドにとっては、それ自体が自然な売りとなっている。
Clean Simple Eatsの共同創業者であるエリカとJJ・ピーターソンにとって、品質と透明性の重視はブランド(およびサプリメント)の中核をなす要素だ。第三者検査、分析証明書、原材料に関する情報を、顧客が簡単にアクセスできるようにしている。
「私たちの顧客はとても賢い」とエリカは言う。「ラベルを読み、プロテイン購入時に何を見るべきかをわかっている」。彼女は、栄養と健全な原材料、そしておいしさを両立させることを目標にブランドを築いてきたと説明し、健康習慣づくりにおいては「継続と持続可能性のために、楽しめることが鍵になる」と強調する。
エリカは、Clean Simple Eats製品の透明性を最近さらに深めたとも語る。「ウェブサイト上で各商品ページに入り、原材料の分析証明書を見れば、私たちが実施した第三者検査を確認できる。ラベルに書かれているものが、パッケージの中身そのものであると消費者が確信できるようにしたい」
他にも、第三者検査を実施し、その情報を消費者に公開しているプロテインパウダーブランドはいくつもある。
進化する消費者ニーズに、ブランドはどう応えているか
2016年のローンチ以来、Clean Simple EatsはTargetでNo.1のプロテインブランドとなり、直近1年でSKU数を10から45へ増やした。さらに米国のWalmart約2000店舗へ展開を広げ、Costcoは南西部の100店舗で、ベストセラーのFrosted Lemonade Clear Protein Sodaを発売した。
自分と家族のために健康的な食の選択をしたい忙しい母親たちが、当初からの中核顧客であり、ブランドは定期的にオーディエンスへアンケートを実施して、何が重要かを把握している。「最近、優先事項の順位付けをしてもらった」とエリカは言う。「1位は完全なたんぱく源だった。私たちはグラスフェッドのホエイたんぱく分離物を使っている。非常に高品質で、必須アミノ酸を含む完全なたんぱく質だという点を誇りに思っている。2位は人工甘味料、香料、着色料を使わないこと。これも彼らが強く重視している点だ」
同社はローンチ以来、消費者の要望に応えるために製品を調整し続けてきた。「今年はキサンタンガムと糖アルコールを取り除いた。研究が進み、理解が深まるにつれて、私たちは常に革新し、進化し、より良くなっていく」
JJはこう語る。「消費者と同じように、私たちは製品に、栄養があり、おいしく、便利であることを求めている。子どもたちや大切な人、コミュニティに届けるためにも、できる限り最良のものにしたい。譲れないこともある。基準は高く保つようにしている」
持続可能性も、重視する消費者が増えている観点の1つだ。
ピーナッツ由来のプロテインパウダーであるScoopsの創業者リズ・レーンは、コンサルティングに転じて自分の製品を立ち上げる前、Magic Spoonを含む食品・飲料業界のオペレーション領域で働いていた。「自分で何かをやるなら、正しいことをやりたいと思っていた。自分自身が本当に大事にしたいものにしたかった」
ピーナッツ分野でさまざまな形態を探る中で、彼女は南米のピーナッツ大手サプライヤーの1社と出会ったという。「彼はピーナッツアイソレートに取り組んでいた。当時は存在しなかったものだ」と彼女は振り返る。「ピーナッツの魅力は、再生型作物である点だ。同じ場所に何度でも植えられる。価格もとても安定している。価格帯が手頃だから、手の届く価格でラグジュアリーな感覚がある」
透明性を重視する消費者に訴求するため、Scoopsは汚染物質についてEU基準で検査していると彼女は述べる。鉛、カドミウム、ヒ素、水銀といった重金属に加え、ほかの潜在的な汚染物質も対象とする。厳格な品質・安全性の基準を満たす製品を提供することが目的だという。
さらにレーンは、消費者が専用のシェイクを用意するよりも、普段食べている食品に自然にたんぱく質を組み込みたいと考える傾向が強まっていることを踏まえ、食行動を変えたり新しい習慣を作ったりしなくても使える製品にしたかった。ピーナッツバター好きがいる場所に、便利な選択肢を届けたいと考えたのだ。「競合を調べた結果、女性消費者により焦点を当て、ピーナッツたんぱく分離物を使って、よりたんぱく質が多い製品を作ることが目標になった」
「ピーナッツパウダーはピーナッツバターの代わりになる」と彼女は言う。「しかもピーナッツバターより使いやすい場合が多い。マクロもずっと良かった」。顧客層に関連する健康目標にも対応したかったという。「私は節度を保つのが苦手なタイプなので、この製品は私自身や友人たち、同じく30代半ばの女性たちにとっても、うまく機能するものである必要があった」
レーンによれば、思い立ってTargetに提案し、他のプロテインパウダー売り場ではなくピーナッツ売り場でScoopsを発売できたことに大きな手応えを感じたという。「余白のある領域で始めるのは意図的だった」。そこでのローンチ以来、Targetの1600店舗超へ拡大した。「Targetは製品とブランドを気に入ってくれて、これこそが消費者が求めているものだと捉えている。彼らがすでに食べていて、すでに日々の習慣の一部になっているものだからだ」
日常生活でプロテインパウダーを使う方法
使いたいプロテインパウダーが決まったら、管理栄養士は取り入れ方も提案している。ガンズは、スムージーに加える、オートミールに混ぜる、水や牛乳に溶かして運動後に飲む、といった方法を勧める。カセッティは、食欲が低く、たんぱく質摂取の助けが必要な場合、すでに日課になっている行動に重ねる形で、コーヒーに加えることをよく勧めるという。
ハリス=ピンカスは、朝食で20〜30gを目標にする際、プロテインパウダーは特に役立つと付け加える。「シリアル、オートミール、トーストのような一般的な朝食では、少し工夫しないとその目標に届きにくい」と彼女は言う。「シリアルの牛乳に1スクープ混ぜる、オートミールに混ぜ込む、コーヒーにブレンドする。こうした方法なら、好きな朝食を楽しみながらたんぱく質を上乗せできる」
プロテインパウダーは有用になり得る一方で、管理栄養士は「必須ではない」と強調する。ガンズは「プロテインパウダーは助けになるが、誰にとっても必需品というわけではない。私の助言は、まずホールフードを優先し、そのうえで食事の不足を埋めたり、必要量を安定して満たしやすくしたりするのに役立つときにパウダーを使うことだ。最良のプロテインパウダーとは、自分のニーズに合い、実際に使い続けられるだけの味で、不要な成分が入っていないものだ」と言う。
目標は「最高の」プロテインパウダーを見つけることではない。必要なたんぱく質を満たすのに役立ち、食の好みに合い、予算的に現実的で、継続して実際に使える製品を見つけることだ。



