従業員の約30%が「静かな燃え尽き症候群」を経験している──しかし、誰もそれを話題にしていない。
自分は燃え尽きているのだろうか。
この問いを自分に投げかける人の多くは、従来型の兆候を探している。たとえばパフォーマンスの乱れ、性格の変化、締め切りの遅れ、職場の交流の場から距離を置くこと、欠勤の増加、熱意の喪失、そして最終的には休職を引き起こすような限界点である。
しかし多くの人は、従来型の燃え尽きに、より気づきにくい「いとこ」のような存在があることを知らない。それが「静かな燃え尽き症候群(silent burnout)」だ。Spring Healthの最新データによれば、燃え尽きている従業員の40%が静かな燃え尽き症候群を経験しており、増加傾向にあるという。
「Spring Healthでは、静かな燃え尽き症候群を、プレゼンティーズム(出勤しているのに本来の力を発揮できない状態)によって『すべて問題ないように見せながら、ゆっくりと進行し、気づかれない消耗状態』と定義している」と、Spring Healthのチーフ・ピープル・オフィサー、カリシュマ・パテル・ビュフォードは語る。
「これはより目立ちにくい燃え尽きだ。静かな燃え尽き症候群の人は、出勤し、締め切りを守り、連絡に返答し、ToDoをこなしているように見えることがある。だが実際には、ガス欠寸前で走っているような感覚で、自分の『タンク』が空だと感じているかもしれない」
誰でも時には疲れる。しかし疲労が常態化しているなら、静かな燃え尽き症候群を経験している可能性がある。そしてそれは、従来型の燃え尽きよりも見過ごされたり隠されたりしやすい分、いっそう危険である。
静かな燃え尽き症候群の要因は何か?
では、もしかするとあなたは静かに燃え尽きているのかもしれない。仕事の責務は果たしているが、同じ水準を維持するための努力が、じわじわと増している。いったい誰の責任なのか。
ビュフォードは、時間をかけて蓄積する、慢性的で管理されていない職場ストレス要因に、責任の大半があるとする。ただし原因は職場ストレスだけではないとも明確にしている。仕事のストレスに加え、個人的な義務も引き金になりうるからだ。
「Spring Healthの調査では、放置されると複合的に悪化しうる要素がいくつかあることが示されている。手に負えない業務量と持続する高いペース、裁量の低さや期待値の不明確さ、管理職の疲弊と支援の不一致、受診へのアクセスや福利厚生の理解におけるギャップ、そして外的負荷(経済的ストレスや介護責任など)だ」とビュフォードは言う。
「燃え尽きの瀬戸際にあるとき、多くの人は踏ん張って乗り切ろうとしたり、隠そうとしたりしがちで、それが静かな燃え尽き症候群のリスクを一段と高める。目に見えるパフォーマンス問題へ移行する前に察知することが、さらに難しくなるのだ」
静かな警告
静かな燃え尽き症候群がそれほど「静か」なら、どうすれば自分がそれを経験していると分かるのか。ビュフォードは、一般的な警告サインとして次を挙げる。
- 有給休暇を取っても続く慢性的な疲労
- 出勤はしているが、精神的には仕事から切り離されている状態(プレゼンティーズム)
- 冷笑的になったり、距離を置くようになったりする
- 集中力や自信の低下
- 睡眠の問題
「実際、私たちの調査では、睡眠問題が従業員におけるメンタルヘルス上の課題の第1位(36%)だった。しかし、人事リーダーの中でそれを主要な懸念として認識している人は、はるかに少ない」と彼女は言う。「このギャップは早期介入を遅らせうるが、早急に埋める必要がある」
さらに言えば、静かな燃え尽き症候群に免疫を持つ人はいない。「どのような属性の人でも燃え尽きを経験しうる」とビュフォードは断言する。「ただし、抱えている責任が多いほど、そして自分に課すプレッシャーが強いほど、起こりやすい」
彼女は、追加の責任こそが、トップパフォーマー、介護の担い手、そして高圧的な仕事に就く従業員が静かな燃え尽き症候群に陥りやすい主因だと指摘する。
静かな燃え尽き症候群を防ぐセーフガード
静かな燃え尽き症候群への最良の防衛線として、ワークライフバランスの習慣が挙げられることが多い。しかしビュフォードは、予防は個人の習慣にとどまらない場合が多いと述べる。
「燃え尽きは、うまく対処できていない慢性的ストレスに根差していることが多い」と彼女は言う。「それでも、私たちは常にメンタルヘルスとウェルビーイングを優先すべきだ」そうした前提のもと、彼女はいくつかの戦略を示す。
- メンタルヘルスの福利厚生を、受け身ではなく能動的に活用する。「多くの組織は雇用主負担の健康保険プランを通じてメンタルヘルスへのアクセスを提供しており、従業員はその資源を活用すべきだ」と彼女は言う。危機が起きるまで待ってはならない。
- 燃え尽きの初期兆候を、弱さではなく情報として扱う。「睡眠やエンゲージメントに苦しさがあるなら、危機が訪れるのを待ってはならない」とビュフォードは促す。「メンタルヘルスの福利厚生、もしくは自身の医療提供者を通じてケアを求めてほしい」
- 燃え尽きが近いと感じたら、上司や人事部門に相談することを恐れない。「新しい業務分担を一緒に検討できるかもしれないし、ただ話を聞いてくれる存在になることもある」とビュフォードは言う。
雇用主ができること
静かな燃え尽き症候群が慢性的な職場ストレス要因から生まれるのだとすれば、雇用主にはどのような責任があるのか。ビュフォードは断固として言う。雇用主は福利厚生の「特典」を足して燃え尽きから逃れられるわけではない。「むしろ、緩和と予防には、システムとしての行動、より早い検知、そして実際のケアへのアクセスの容易さが必要だ」と彼女は言う。
高い効果が見込める取り組みとして、次が挙げられる。
- ケアへのアクセスを容易にする。助けが必要だと感じてから実際に受けるまでの摩擦を取り除くことだ。「人事リーダーから常に聞くのは、既存のメンタルヘルス福利厚生が十分に利用されていないということだ。従業員が支援を必要としていないからではなく、適切な提供者を探すプロセスが分かりにくく、遅く、すでに消耗している状況では労力に見合わないと感じられるからだ」とビュフォードは指摘する。
- 管理職を最前線として整備する。ウェルビーイングのチェックインを行い、早期警告サインを見つけ、従業員を支援につなげるためのトレーニングを行うことを意味する。「そして、管理職自身が苦しんでいるときに頼れる相手がいるようにすることも重要だ」とビュフォードは付け加える。「支援の仕組みを理解している管理職は、従業員がより早く支援にたどり着く手助けができる」
- 職場のプロセスが明確で有効であることを担保する。「役割の明確化、人員配置、業務の優先順位付け、心理的安全性に取り組み、従業員が早い段階で問題提起でき、支援が必要なときに安心して声を上げられるようにする」とビュフォードは言う。
静かな燃え尽き症候群の「沈黙」を破る
静かな燃え尽き症候群は、ニッチな問題ではない。Spring Healthは、従業員のおよそ30%が静かな燃え尽き症候群を経験しており、人事リーダーの約20%は、それが自社の従業員の少なくとも半数に影響していると考えていることを見いだした。
「燃え尽きは、個人の問題で、個人の解決策があるかのように語られがちだ。しかし職場の30%が静かに燃え尽きているなら、それは個人の落ち度ではない。私たち全員が置かれているシステムについてのシグナルだ」とビュフォードは言う。
「現代の働き方のスピード、リモートやハイブリッドが加速させた境界の曖昧化、十分だと思える瞬間を遠ざける経済的圧力。これらは性格の欠陥ではなく、構造的な力だ」
ビュフォードは、静かな燃え尽き症候群は「模範的な従業員」、つまり最も献身的で、最も信頼され、チームが頼りにしてきた人々に最も多いと考えている。「助けを求めないのは、対処できない人間だと思われたくないからだ」と彼女は言う。
「そして、支援を求めたい段階に至ったとしても、予約までの長い待ち時間、合わない紹介先、すでに消耗している中で使いこなせない福利厚生など、さまざまな理由で、助けにたどり着く道のりは必要以上に難しいことが多い。障壁は意欲ではない。アクセスなのだ」
静かな燃え尽き症候群を経験しているなら、沈黙の中で苦しまないことだ。この苦しみに恥はない。すでに用意されている支援を活用してほしい。静かな燃え尽き症候群を止める第一歩は、その沈黙を破ることである。



