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AI

2026.07.07 08:01

気候変動のためのAI:先駆的な5組織から得られる3つの教訓

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「ロンドンは煮えている」。今週、クライメート・アクション・ウィークの開幕に際して国連事務総長アントニオ・グテーレスがこう語った。これは比喩ではなく、観測に基づく表現だ。ロンドンは6月の気温記録を更新し、スペインも同様だった。欧州が燃えている。科学者によれば、これは2カ月連続で記録を塗り替える熱波であり、欧州が7月を迎える前に、過去最高記録がさらに破られる可能性がある。世界は2024年に気温上昇の1.5℃閾値を超えた。科学者が長らく「後戻りできない地点」と呼んできた線である。世界気象機関(WMO)は、この夏にエルニーニョ現象の条件が出現する確率を80%と見積もっており、悪化する軌道を示すさらなる兆候となっている。

それでも今週、取締役会の議題をのぞけば、気候アクションではなく人工知能(AI)が並んでいる可能性が高い。AIをめぐる熱狂を考えれば理解できる。しかし地球温暖化の現実は、もはやその「ぜいたく」を許さない。スイス再保険は、2025年の自然災害による経済損失総額が2200億ドルに達したと報告している。最大損失シナリオでは、保険損失だけで2026年に3200億ドルに達し得るという。ストックホルム環境研究所の最新レポートによれば、気候リスクはいま、世界のサプライチェーンを連鎖的に揺さぶっている。食料、エネルギー、鉱物のシステムを混乱させ、保険料を押し上げ、信用へのアクセスを引き締め、労働生産性を損ねる。その影響は、従来のリスクモデルがようやく捉え始めた段階にすぎない。

企業が気候アクションから離れ、AIへと舵を切るいま、立ち止まってこの誤った二者択一──「AIか、気候アクションか」──を見直す価値がある。朗報もある。研究者、非営利団体、そして分野横断のパートナーシップが増えつつあり、まさにこの交差点で活動している。彼らはAIを論点としてではなく、気候危機に対する実務のツールとして投入している。

気候変動のためのAI領域をつくるのは誰か:道を切り開く研究者と非営利団体

AIを気候変動対策として大規模に展開するには、誰かが地道に領域を整備する必要がある。課題を整理して地図化し、研究資金を投じ、科学者とエンジニアを結びつける「下支え」の仕事だ。少数の非営利団体が、まさにそれを担っている。

Climate Change AI(CCAI)は、この領域における最重要の「接続組織」と言ってよい。2019年に、機械学習研究者と気候科学者──共同創設者兼議長を務めるMIT(マサチューセッツ工科大学)教授のプリヤ・ドンティを含む──によって設立されたCCAIは、これまで6年にわたり、ほとんど会話することのなかった2つのコミュニティを橋渡ししてきた。機械学習が気候課題に意味のある差を生む領域を特定し、研究に資金を提供し、学術界・産業界・政策の間で協働するための基盤を構築している。ドンティは技術を過度に売り込まないよう注意しており、AIの気候分野での可能性を「有望である一方でリスクもあり、多くの用途ではまだ実証途上」と表現する。この繊細な見立てこそが、この領域の真剣な担い手と、誇大宣伝とを分ける。

Climate TRACEは、同じく基盤となる取り組みを進めている。排出を可視化することだ。100以上の大学、科学者、AI専門家に支えられた非営利連合は、衛星画像と機械学習を用い、世界で7億4500万超の排出源からの温室効果ガス排出量を独自に追跡し、データを無償で公開している。

COP30でClimate TRACEは、同団体が世界で追跡する主要な排出源それぞれに、脱炭素化の潜在的ソリューションを対応づけて地図化するツールを公開した。診断から処方へと踏み出した形だ。なお、AIによる排出モニタリングは依然として成熟途上である。Climate TRACEの車両排出データの正確性に疑義を呈する向きもあり、同団体はこれに反論している。こうした検証の目、そして限界に関する透明性は、真剣な気候データの仕事がグリーンウォッシングと異なることを示す指標でもある。

英国拠点の非営利団体OpenClimateFixは、AIが研究から運用へ移ると何が起きるかを示す、おそらく最も明快な例を提供している。同団体のQuartz Solarツールは、AIツールを基盤とし、送電網(グリッド)の運用者が「太陽光発電がいつ、どれだけ利用可能か」を予測できるようにする。これは現在、英国のNational Energy System Operator(国家エネルギーシステム運用者)に組み込まれており、年間の送電網コストを推計3800万ドル回避し、年間30万メトリックトンのCO₂を削減している。2035年までに、節約額は年間1億9000万ドルに達すると見込まれている。同様のアプローチはGoogle DeepMindとの提携により、インドの送電網にも適用されつつある。詳細は次章で触れる。

気候変動のためのAIパートナーシップが、実際の成果をどう生んでいるか

気候変動のためのAIで最も重要な仕事は、単一組織の内部で起きているのではない。非営利団体、テクノロジー研究所、そして最も切実に解決策を必要とする産業──その接合部から生まれている。

OpenClimateFixとGoogle DeepMindのパートナーシップは、その典型例である。2026年1月、両組織はDeepMindのWeatherNext AIモデルをインドの電力系統運用に統合したと発表した。これは、2030年までに再生可能エネルギー設備容量500GWを導入するというインドの目標に直結する。この目標が達成されれば、太陽光が同国の電力の約4分の1を供給することになる。中核課題は単純だ。再生可能エネルギーの出力は天候で変動し、供給を正確に予測できない系統運用者は、高コストで炭素集約的なバックアップ発電に頼らざるを得ない。WeatherNextはこの問題を正面から解決する。すでにインドの州系統運用者に対し、風力発電の予測精度を最大8%向上させ、コストのかさむ系統不均衡を減らし、より多くのクリーンエネルギーをシステムに取り込むことを容易にしている。

Google Researchの洪水予測は、このアプローチを別の、そしてより緊急性の高い規模へと拡張している。WMOによれば、鉄砲水は世界の洪水関連死者の約85%──年間5000人超──を占める一方、予測が最も難しい災害の1つでもある。12時間の警報でも被害は60%減らせる。2026年3月、GoogleはAI駆動の「Flood Hub」を拡張し、150カ国の都市部を対象に鉄砲水予測の提供を開始した。ここでは、公式データが乏しい地域の洪水パターンを特定するため、260万件の過去ニュース報道を活用する手法が用いられている。成果はすでに具体的だ。南部アフリカでは、地域の災害当局がベータテスト中にFlood Hubのアラートを捉え、現地で発生を確認し、洪水がピークに達する前に対応チームを派遣した。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のテクノロジー構築・デザイン部門であるBCG Xは、異なるが同様に重要な入口を示す。すなわち、こうした取り組みが企業規模へ届く経路である。BCG Xのマネージング・ディレクター兼パートナーであるデイビッド・ポテレは、AIと衛星データの組み合わせが、これまで監視が難しかったセクターにおける気候アカウンタビリティ(説明責任)を根本から変えつつあると公に指摘している。衛星ベースのAIシステムは、エネルギー関連のメタン排出が、各国が国連に公式報告している数値より80%高いことを明らかにした。米国に限れば、EPA(米国環境保護庁)の推計の4倍である。これは丸め誤差ではない。企業の気候リスク、規制上のエクスポージャー、サプライチェーンの説明責任に直結する、体系的な盲点だ。Googleと共同で作成されたBCGの分析は、AIが2030年までに世界の温室効果ガス排出の5〜10%の削減に寄与し得ると推計する。これは欧州連合(EU)の年間排出量全体に相当する。

気候変動のためのAIが、あなたのビジネスに意味すること:3つの要点

ここで取り上げた組織には、プレスリリースには現れない共通点がある。領域を定義する研究を構築し、国家規模でツールを展開し、政府が過少報告する排出を追跡し、気候科学と企業の意思決定の間をつないでいる。そして決定的に重要なのは、彼らがそのどれも単独では成し遂げていないことだ。本稿で紹介した意味のある成果はすべて、セクター、専門分野、地域をまたいだ協働から生まれている。それがモデルである。そして、企業リーダーにとって3つの含意がある。

第1に、関与するかどうかにかかわらず、アカウンタビリティのインフラは構築されつつある。Climate TRACEは7億4500万の排出源を独自に追跡している。衛星システムは公式報告をはるかに上回るメタン濃度を明らかにしている。Flood Hubは150カ国の物理的リスクを地図化している。規制、投資家の精査、保険料設定をますます左右するデータ層は、すでに工事中だ。問題は、それが自社に影響するかどうかではない。影響が顕在化する前に、自社のエクスポージャーを理解しているかどうかである。

第2に、最も持続性のある気候変動のためのAIソリューションは、単一組織ではなくパートナーシップから生まれている。OpenClimateFixは、インドでの展開を単独で成し遂げたわけではない。Google Researchの洪水予測は、政府によるデータ共有と人道支援の対応ネットワークに依存する。BCG Xの衛星関連の仕事は、データが示す事実に基づいて行動する意思のあるクライアントを必要とする。こうしたエコシステムに、パートナーとして、顧客として、あるいは資金提供者として早期に関与する企業リーダーは、完成品を待つ企業より優位に立つ。

第3に、AIは気候戦略の代替ではない。それを加速する触媒である。本稿の組織は、AIを用いて特定のことを、より速く、より良く行っている。再生可能エネルギーの予測、排出の追跡、洪水到来前の警報でコミュニティを守ること。重要なのは、その「具体性」である。最大の恩恵を得るのは、広くAIを追いかけるリーダーではなく、自社のオペレーション、サプライチェーン、市場の中で、AIが現実の気候課題を解く箇所を特定できるリーダーである。

静かな革命は、すでに始まっている。問われているのは、あなたがそれに目を向けているかどうかだ。

forbes.com 原文

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