0.25%の拠出案は5カ国が反対、ウクライナ支援は継続
アンカラの首脳会議におけるもう1つの討論テーマは、NATOによるウクライナ支援だ。ルッテは加盟国がそれぞれのGDPの0.25%をウクライナへの軍事支援に割り当てる計画を提案し、7月のアンカラ首脳会議での採択を目指していた。だが2026年5月、この案はカナダ、フランス、イタリア、スペイン、英国の支持を得られず見送られた。
それにもかかわらず、NATO加盟国はウクライナに対して防衛、資金、人道、医療などの支援を提供し続けている。直近では4月に、加盟国はウクライナに600億ドル(約9.72兆円。1ドル=162円換算)の軍事援助を提供することを約束した。これは、2022年2月にロシアによる全面侵攻が始まって以来、加盟国がウクライナに数百億ドル(数兆円)相当の防衛支援を送ってきたという、NATOのこれまでの行動と一致している。また、トランプ政権下の米国も昨年、米国の兵器を欧州のNATO同盟国に売却し、それをウクライナに送るというプログラムを導入した。
ゼレンスキーが出席、NATOウクライナ理事会での約束に関心
2026年の首脳会議について、ルッテは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がアンカラでの2日間のイベントに出席することを発表した。事務総長は、NATOの「安全保障はウクライナの安全保障と密接に関連している」と付け加えた。ウクライナの支持者や防衛政策のアナリストは、2026年NATO首脳会議、とりわけ「NATOウクライナ理事会」や「ウクライナ防衛コンタクトグループ」において、NATOがウクライナに対して他にどのようなコミットメントを示すのかに関心を寄せている。
防衛産業のイノベーションを協議、英企業への研究開発契約も
最後に、NATO加盟国は防衛産業のイノベーションにおけるこれまでの進捗状況についても議論する見通しだ。例えば、NATOの「北大西洋防衛イノベーション・アクセラレーター(DIANA)」は、「同盟に防衛および安全保障上の効果をもたらすためのイノベーションを発見し、加速させること」を目指している。同機関は4月、無人海中システムを専門とする英国のテクノロジー企業に研究開発契約を発注した。DIANAは、他の企業にも研究開発や試作品の契約を発注したいと考えており、これにより加盟国が「行政的な障壁を減らし、導入までのスケジュールを短縮する」ことを支援できると期待している。
さらにルッテは、6月25日のアトランティック・カウンシルのイベントで、加盟国が2026年首脳会議で防衛産業のイノベーションについてさらに議論すると述べた。防衛産業の関係企業や技術専門家らは、NATOが防衛イノベーション、負担分担、および防衛協力において、どのように取り組みを拡大していくのかに注目している。
国防費とウクライナ支援で32カ国の合意へ
要するに、NATO加盟国の代表者は、国防費、防衛イノベーション、国家安全保障が直面している現在の課題に対処することを求められている。あわせて、ロシアによる全面侵攻がなお続くウクライナに平和をもたらすため、NATOによる継続的なウクライナ支援を検証し、他に何ができるかを議論する。
2025年の首脳会議で国防費の引き上げ決定をめぐり多少の論争があったものの、ルッテは、今回のアンカラでの首脳会議において、加盟32カ国すべてが防衛および国家安全保障の優先事項で足並みを揃え続けることを望んでいる。2026年の首脳会議で加盟国がどのような合意に至るのか、その行方が注目される。


