兵器の頭脳を担うマーキュリー、300超のプログラムに搭載
あらゆる自律型兵器には頭脳が必要だ。標的を追うドローン、飛来する「シャヘド(イラン製の自爆型ドローン)」に接近する迎撃ミサイル、マッハ5でミサイルを追跡するレーダー。いずれもセンサーデータの奔流を生み出し、機体内部の何かがその奔流を瞬時に判断へと変換しなければならない。しかも妨害され、過熱し、砲撃を受け、時速数百マイルで振り回されながらだ。こうした条件を耐え抜き、なおデータセンター並みの速度でデータを処理するコンピューターを作ることは特化した事業であり、それこそがマーキュリー・システムズの本業である。
マサチューセッツ州アンドーバーに本社を置く同社は、その事業を「エッジへのミッションクリティカルな処理能力の提供」と表現している。実際にはレーダー処理、ミッションコンピューター、そしてセンサーデータを判断に変換する信号連鎖である。同社のハードウェアは35カ国の300以上のプログラムに配備されている。その中には、陸軍のLTAMDS防空・ミサイル防衛レーダーや海軍のSEWIP電子戦アップグレードも含まれる。1月には戦略兵器プログラムと宇宙向け耐放射線処理に関連する6000万ドル(約97億2000万円)を超える新規契約を獲得した。マーキュリーの製品はすべて他社のプラットフォーム内部に搭載されるため、単一の機体に賭けるのではなく、次々と入れ替わる装備群の全体から需要を集める形になる。
受注が過去最高で73.7%増、売上に先行するシグナル
防衛支出の入れ替わりが本物であれば、公開市場ではマーキュリーのような供給業者の受注帳簿に最初に現れるはずだ。売上高に反映されるずっと前の段階である。今日獲得された受注は、その後数年にわたって計上される売上へのコミットメントだ。
そのシグナルは、5月5日に発表されたマーキュリーの直近四半期に現れた。受注額は過去最高の3億4800万ドル(約563億7600万円)、前年同期比73.7%増。受注対売上比(book-to-bill)は1.48に達し、マーキュリーが請求した1ドル(約162円)につき、顧客は1.48ドル(約240円)の新規受注を約束したことになる。受注残は過去最高の16億ドル(約2592億円)に達し、うち8億9100万ドル(約1443億4200万円)が12カ月以内に売上に転換される見込みだ。売上高はオーガニックで11.5%増の2億3600万ドル(約382億3200万円)。端的に言えば、受注は同社が売上に転換できるスピードより速く到着しており、コミット済み将来業務の待ち行列はかつてないほど大きい。
損益計算書の残りは忍耐を求める。マーキュリーはビル・バルハウスCEOの下で再建2年目にあり、当四半期もGAAPベースで300万ドル(約4億8600万円)の純損失を計上した(前年同期の1900万ドル[約30億7800万円]からは縮小)。フリーキャッシュフローもわずかにマイナスだった。調整後EBITDAは46%増の3600万ドル(約58億3200万円)。決算に現れたシグナルは需要である。しかし規律として忘れてはならないのは、受注残は同社がまだ実行しなければならない約束だという点だ。


