フィレンツェのアカデミア美術館でミケランジェロの「ダビデ像」を実際に見たことがあるなら、環境の文脈がいかに重要かを理解しているはずだ。もしこの彫刻が、雑然とした物が積み上がる部屋に置かれていたら、その美しさは損なわれかねない。だが、気を散らす要素が最小限のシンプルな空間であれば、芸術家の卓越した技は真に輝く。
片づけの力とは、重要なものを味わい、それ以外を取り除くことを可能にする点にある。住まいや私生活の片づけを支える産業は数多く生まれてきた。だが、仕事環境を片づけることも同じくらい強力である。意義ある仕事のための時間と心の余白を生み出し、仕事以外の時間においても、過度に消耗しにくくなるからだ。
創業20周年を迎えた成長中のソフトウェア企業のCEOとして、私は仕事と生活の片づけを、キッチンを整えることや芝を刈ることと同じくらい重要だと考えている。ここでは、仕事環境を今日から片づけるために、私が日々の仕事で実践している5つの戦略を紹介する。
記憶を片づける
平均的な仕事の1日で、私たちは大量の情報を取り込まねばならないが、同時に多くを忘れてもいる。ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスは「忘却曲線」という概念を提唱し、新しく学んだ情報は、積極的に復習しない限り、どれほど速く失われるかを説明した。新たな知識の記憶は、意識して見直し、定着させる努力をしないと、わずか1日(24時間)でその多くが失われてしまう。
頭の中が雑事で過負荷になっているとき、自動化は「追加の記憶」として機能し得る。まず、タスクリストの更新やフォローアップのリマインダー送信など、脳のリソースを過剰に占有している雑務を特定することから始めたい。次に、AIや自動化の解決策を探す。例えば、ToDoリストの整理にはAsanaやTrello、ミーティングの調整やメールとの連携にはCalendlyがある。
これは拡張性のある解決策であり、とりわけ成長企業にとって重要である。チームやユーザーが増えるほど、記憶を詰まらせるタスクは増殖する。給与計算や、従業員の誕生日をカレンダーで通知するといったことまで自動化すれば、業務を円滑に回しつつ、従業員への配慮を示すことができる。



